1.百年の恋も醒める病気
百年の恋も醒める。もしもそんな病気があるとすれば、それは間違い無くスギ花粉症などのアレルギー性鼻炎である。
なぜならくしゃみ・鼻汁・鼻閉がひどく、涙もぽろぽろ。かゆい余りに目や鼻を擦って目蓋も腫れ上がり、まるで四谷怪談のお岩さんそっくり。
どんな美男や美女も、突然この発作に襲われたらひとたまりもありゃしない。素敵な恋など、とてもじゃないけど語れなくなる。
まさに百年の恋も醒めてしまう。
そんな有害そのものと思われる花粉症の発作だが、これらの症状は本当に有害無益なのだろうか。
花粉やダニなどによる鼻のアレルギー反応を、アレルギー性鼻炎と呼び、花粉だけが原因の場合花粉症と称している。そしてその原因物質(アレルゲン)であるダニや花粉は、人体にとっていわば異物であり、役に立たない物質である。
それら異物は、理想を言えば余り人体内に入って欲しくないのが、正直なところではある。
人体はとても賢くできている。こうした異物が鼻の穴から人体内に入ろうとすると、ちゃんと防御するシステムが作動する。
それが鼻の場合には、くしゃみ・鼻汁・鼻閉となって表われる。
なぜならくしゃみは、爆発的に空気を押し出して、異物を鼻の粘膜上から人体外へ吹き飛ばしてしまう役割を担っている。
鼻汁は異物を洗い流し、体外へ排除しようとする生理的役割を果たしている、とも考えられる。
そして鼻閉は、それこそ異物が体内に入らぬよう、鼻という外へ向かって開かれたドアを閉じようとする、合理的な反応である。
その意味ではこれらの症状は、本来は人体にとって有益な反応であったと、理解できなくもない。
とはいえこれら本来有益な反応も、過ぎたるは及ばざるがごとし、である。逆に人体に過剰なまでの負担がかかってしまう。
それが鼻の場合には、百年の恋を一夜にして醒めさせる、そんないたずらをする訳だ。
こうやって考えてみるとアレルギーとは、実は人体を本来なら守るべき機構が、過剰防衛のためにむしろ人体に害を与えている、そんな病態だと理解することができよう。
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