3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

「2.過剰な免疫能力」へ

3.花粉症のルーツ

さてそれではそのようなアレルギーは、どうしてこんなに増えたのだろうか。その原因を、今では国民病とさえ形容される花粉症などアレルギー性鼻炎について、探ってみよう。

実はこの花粉症やアレルギー性鼻炎、今でこそ日本の代表的な病気だが、そのルーツは英国にある(イラスト3)。

19世紀の始め頃、英国の農民が牧草を刈り取って乾燥のためにサイロに収納する際、人によっては鼻からのどにかけて焼け付くような痛みとかゆみが生じ、くしゃみ・鼻汁・鼻閉のとまらなくなることが知られていた。

そして当時この症状は熱っぽくなることからか、枯草熱と呼ばれた。

それを医学的に初めて報告したのは英国の学者ボストークで、同じく英国のブラックレーは枯草熱がイネ科植物の花粉に起因していることを、明らかにした。

もちろん当時未だアレルギーという概念は存在しなかったから、その本能が理解されるまでしばらく時間は必要だった。

こうした英国における花粉症は牧草であるイネ科、ことにカモガヤによるアレルギーであった。英国には牧草地が多く、花粉症の原因であるカモガヤが繁殖し易いのである。

事実、英国の牧草地の面積は国土全体の45%にも達しておりこれは世界最大と言われる。それに対して英国の森林の面積は、国土の9%に過ぎない(図2,写真1:ロンドンからオックスフォードへ向かう車中から、写真2:サフォーク州の牧草地にて、子どもの背丈ほどの枯草ロールがあちこちで観察される)。現在の英国には、ロビン・フッドの住んでいるシャーウッドの森は見られないのである。

それにはこんな、背景がある。

英国がスペインの無敵艦隊を撃退し7つの海を支配しようとしていた頃、英国内の森林は軍艦の製造その他の目的に使用され、ほとんど消滅しかかっていた。なにしろ大きな軍艦を一隻作るためには、樹齢百年以上のオークの巨木が2000本は必要だったと言われている。

それはスペインも同じで、スペインの無敵艦隊が復活できなかったのは、国内に軍艦製造のための木材が無くなってしまったためとさえ、伝えられる。

英国では幸いその後産業革命が起こり、木造船の時代は終焉を迎えた。大英帝国は引き続き、その春を謳歌することができたことになる。

そんな歴史の痕跡が、9%の森林面積、そして45%の牧草地となって残り、英国ではカモガヤが大量に繁殖することとなった。

それこそが、世界初の花粉症出現の、最大の理由なのである。

「2.過剰な免疫能力」へ

「スギ花粉症」メニューへ戻る

トップページへ 次へ「スギ花粉症」メニューへ戻る