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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

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6.中国のスギ花粉症

中国でもスギ花粉症の多発する可能性がある、と書いた。

はてな、と思う読者もおられるかも知れない。


図5

なぜならスギ花粉症はその発見以来、日本特有のアレルギー疾患と考えられて来た(図5)。中国になど、発生し得るものだろうか?

スギ花粉症の原因である日本杉が、わが国特有の植物と信じられて来たことこそ、どうやらスギ花粉症も日本にしか存在しないと誤認されていた原因のようである。

けれどもわれわれが中国各地でアレルギー調査を行なうと、スギ花粉に陽性反応となる被験者も多々見られる(表1)上、柳杉という中国産杉の花粉が中国のあちこちで飛散している記録(図6)も出版物に掲載されている。
この柳杉がもしも日本杉と同じものならば、あるいは同じ性質を持つものならば、中国でもスギ花粉症は発生するはずである。


図7

われわれは中国において柳杉の天然林として有名な天目山(図7)と、日本の屋久島の天然林からサンプルを採取して両者のDNAを分析した(図8)。すると両者のDNAはほとんど同じで、もともと両者は同一のものであったらしいことが判明した(表2)。

考えて見れば、これは当たり前かも知れない。200万年前に杉が地上に出現した頃(表3)、中国(アジア大陸)と日本とは地続きであった(図9)。その頃、ナウマン象やマンモスが日本に来ており、その化石が日本で見つかってさえいる。

それに人類だってその時代、陸伝いに世界を闊歩していた(図10)。現在でも南米の現地人に蒙古斑の観察されるのは、こうしてアジア系の民族が歩いて南米まで移動したためと言われている。杉だって中国と日本に、地続きに連続して生えていたと考えることは、決して不可能でない。

氷河期が1万年前に終わって海面が上昇すると大陸棚は水没し、それまで湖だった部分が日本海となる。この日本海によって日本の杉と中国の杉は分かたれ、別々の種類であるかのごとく錯覚されるが、もともとは同じ起源であったに過ぎない。

そしてわれわれは、南京医科大学にて世界で初めて日本以外の国におけるスギ花粉症を発見した。
症例は32歳の女性で、1990年春に中山陵(孫文の墓)で遊んでいたところ、くしゃみ・鼻汁・鼻閉が止まらなくなり、この症状は年々増強して来た。この症例は1998年われわれの外来を受診し、アレルギー学的検査にてスギ花粉症と診断された。

この、日本以外の国における世界初のスギ花粉症は、実は200万年前にその原因があったことになる。

中国のスギ花粉症については公衆衛生情報みやぎ 〜世界の花粉症調査(1)〜もご覧下さい。

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