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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

「3. スギ花粉症はどうしておこるのか?」へ

4. アレルゲンの検索

先に述べたように、花粉症といっても様々な花粉で同じような症状が起こってくるので、現在おこっているアレルギーがどの花粉によるものかを知ることは大切なことである。例えば、スギ花粉の飛ぶ時期には、ヒノキ、ハンノキ、ウメなどの花粉の飛散と一時期重なっているし、これらの花粉によっても、同じような症状をおこしてくる。現在の症状がどの花粉で起こっているのかについて知ることをアレルゲンの検索と呼ぶ。検索方法にはいくつかある。

(1) 皮膚テスト(皮内テスト、スクラッチテスト)
花粉のエキスを皮内に注射したり、注射針の先などで皮膚を浅く傷をつけ、そこに花粉エキスを落とし、約15分ばかり待つと、正常の人では何もおこらないが、花粉症の人では原因の花粉エキスを反応させた時のみ、その部位が腫れたり、赤くなったりすることを利用する方法である。その腫れかたや発赤の大きさは原因花粉の感作の程度を示している。この検査では、発疹、喘息発作、血圧の低下などのアナフィラキシーショックを誘発する危険もまれにある。

花粉のエキスで市販されているものがないことも多く皮膚テストのできないときも多い。このような場合、自分が近づいたり、その花粉を吸ったりすることで、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの鼻症状や目のかゆみ、流涙などの眼症状をおこしてくる花粉を予め少し針先などで傷を付けた皮膚に直接こすりつけて、その反応を簡易的に見るのも一つの方法であろう。ただし、アナフィラキシーショックなどの危険を防止するため医師の監視下に行うのが安全である。

(2) 血清学的検査
日常診療で一般的に行われる方法である。血液をとり、それを遠心分離した上澄み(血清)の中にスギ花粉特異的IgE抗体があるかどうかを検出する方法で、血清中にある特異的IgE抗体とスギ花粉抗原(アレルゲン)の抗原・抗体反応を利用した検査方法である。測定方法は、CAP-RAST(ファルマシア社)、MAST・26(日立化成工業株式会社)、AlaSTAT(ヤトロン社)、ルミワードイムノアッセイ(塩野義株式会社)など各社のものがある。皮膚を利用した方法と比べ、採血時の痛みやショックなどはないが、検査に要する値段が高く、結果がでるまで数日を要するという欠点がある。

(3) 誘発検査
誘発試験は皮膚テストや血清学的検査よりも直接的な検査法である。鼻誘発試験では花粉エキスを染み込ませた濾紙を誘発ディスクとし、それを鼻の粘膜の上に置き、5分後の鼻の_痒感、くしゃみ、鼻汁の分泌増加、鼻粘膜腫脹の有無を確認する。一方、皮内反応に用いるアレルゲンの約10倍から100倍濃度の花粉アレルゲンエキスを眼瞼結膜に点眼して_痒感や結膜の充血を見る眼誘発反応も眼科の先生によって行われている。誘発試験とは、この様に、鼻や眼の粘膜と花粉アレルゲンを接触させることで、実際にアレルギー症状がおこるかをみることで、原因花粉を確定する方法である。どの花粉が花粉症の原因花粉かを確定ことは花粉症に対するセルフケアを立てる上でも重要であるので、耳鼻咽喉科医や眼科医などのアレルギー専門医によく相談することを勧める。

 
文 献

1. The inverse association between tuberculin responses and atopic disorder.
Science 275:77・79,1997.
2. Ile50Val variant of Interleukin-4(Il-4R) α chain upregulates IgE synthesis by
B-lymphocytes and associates with atopic asthma. Nature Genetics 19:119・120,1998.
3. Dominant effect of Ile50Val variant of the human IL-4 receptor α chain in IgE synthesis.
J Immunol 1227・1231,1999.
4. スギ花粉症と結核感染.JHONS 18:56・60.2002.
5. 防御器具の有効性の検討.医学のあゆみ 200:429・432,2002.
6. スギ花粉症の最近の知見 日本医事新報 No.4065,18・23,2002.


榎本 雅夫(えのもと ただお)
1968年  和歌山県立医科大学卒業
和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科入局
1971年 和歌山県立医科大学 応用医学研究所、免疫アレルギー部助手
1976年 「扁桃の免疫機能に関する研究」で学位
1980年 和歌山赤十字病院 耳鼻咽喉科 部長
1995年 日本赤十字社和歌山医療センター耳鼻咽喉科部長
(1995年6月1日から病院名改称)
現 在 和歌山県立医科大学 非常勤講師
京都大学 非常勤講師
鳥取大学 非常勤講師
日本アレルギー学会評議員
日本アレルギー協会評議員
日本アレルギー学会認定指導医
NPO花粉情報協会理事
1987〜1997年3月:厚生省班研究、主として、「花粉症」に研究に従事
平成8年から科学技術庁「スギ花粉症克服に向けた総合研究」班研究に従事

著書 総合診療ブックス「花粉症の質を高める」内科医への20の診療ナビゲーション、医学書院(2000)
鼻アレルギー診療ガイドライン。通年性鼻炎と花粉症、ライフサイエンス(2002)

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