大人の急性中耳炎
大人でも冬に風邪をひいていたりすると、急性中耳炎を起こして耳の痛くなることがあります。大人では子どもほど頻度が多くなく、子どもほど痛まないのが普通です。
けれども、中耳炎を起こしかかっているときに飛行機に乗ったりすると、大人でも相当痛みます。飛行機に乗ると急激な気圧の変化を体験しますが、通常は前述の耳管がうまく鼓膜内外の気圧を調節してくれます。ところが急性中耳炎になりかけると耳管が炎症性に腫れ、気圧の変動に応じた鼓膜内外の気圧調節をスムースに行なえなくなります。その結果、子どもの急性中耳炎とそっくりの、鼓膜緊張状態を引き起こしてしまう訳です。このような場合には、鼓膜切開術を施行して気圧調節を助け、抗生物質・消炎鎮痛剤を処方すると、かなり楽になります。
一方、スキューバ・ダイビングでは深く潜るとき、耳抜きと言って水圧に応じた気圧を、耳管を通じ鼓膜の内側に送る動作をします。この際、耳管の機能が落ちていたり、炎症で耳管が腫れていたりすると、やはり鼓膜内外の気圧の調節がうまく行きません。結果的に、鼓膜が水圧により強く内側に圧迫されて、鼓膜緊張状態となります。これも、子どもの急性中耳炎のときと同じような、耳の痛みを引き起こします。鼓膜の緊張状態が痛みの原因ですから、やはり鼓膜切開術と抗生物質・消炎鎮痛剤の処方や、耳管に対する処置で楽になります。
飛行機における耳の痛みを航空性中耳炎と呼びますが、ダイビングの痛みには名前はまだ無いようです。病態は、いずれも同じく耳の外側の急激な圧の変化に、耳管を通じた鼓膜内側の気圧調節が応じ切れない状態なのですが。これに対するセルフ・コントロールの方法として、先に述べた耳抜きなどがあります。これは鼻を摘んで思い切り息むことによって、鼻から耳管の中へ強制的に空気を送り込む方法です。これ以外にも、耳管を開放させて鼓膜内外の気圧調節に役立てる手法として、あくびをする、嚥下する(つばを飲み込む)などの方法があります。飛行機に乗ると、スチュワーデスさんがキャンディーを配ってくれることがありますが、あれも実は嚥下を促し航空性中耳炎を予防する一つの手段なのです。これはしかし、ダイビングには応用できそうにありませんね。
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