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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集



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咽頭痛

のどの痛みは耳に響くことが良くあり、耳そのものの痛みと勘違いされることも少なくありません(これを放散痛と言います)。耳が痛いときには耳自体の疾患と共に、のどの炎症などの可能性も、頭に入れておく必要があります。

そう言えばアレルギー性鼻炎に際して、耳の痒くなることがあります。これも外耳道のアレルギー性疾患だけでなく、鼻からのどにかけてのアレルギーによる掻痒感を、耳の痒みと感じている。そんな機序も考えられます。こういうときに耳を掻きむしる人がいますが、もちろんいくら引っ掻いても、痒みはまるで治りません。

ついでに付け加えれば、歯の噛み合わせが悪いために耳痛の発生することがあります。あごの運動に偏位が生じ、顎関節に無理のかかることから、耳前部に痛みを感じるのです。これは顎関節症と呼ばれる疾患ですが、物を噛むときに痛みが増強するので、比較的診断は容易です。この疾患の場合、精査と治療は歯科が主体となります。

のどの上の方、上咽頭と呼ばれる部分に炎症がある(上咽頭炎と言います)と、のどの痛みはもちろんとして、耳や後頭部に放散痛を感じることがあります。上咽頭部は鼻の奥まっ正面の、口蓋垂(いわゆる”のどちんこ”です)の陰に当たる部位です。ですから、専門の耳鼻科医以外には、この部を確認するのは結構難しいのです。結果的に原因不明の頭痛や血痰に悩まされる、そういうこともあります。こうした症状のある方には、早めの耳鼻咽喉科受診をお勧めします。

冬のとても寒い時期、あるいは夏の暑くてたまらない時期に、のどのすごく腫れてひどい痛みの生じることがあります。食事など、とても摂取できません。これは扁桃周囲膿瘍と言って、扁桃の周りの軟らかい組織に膿の貯留した状態です。この状態は実際本当に痛くて、何日間も食べ物がのどを通らなくなります。対抗策として点滴を十分に、それも有効な抗生物質を注入して行ないますが、頑張って食事を摂ることは重要です。体力回復の程度が、ケタ違いに良いからです。

なお、扁桃周囲膿瘍の腫れが余りに極端な場合には、切開して膿を排泄してやる必要もあります。また時に膿瘍が自壊(ひとりでに破れてしまうことです)して自然に膿が出、楽になってしまうこともあります。

もう一つ、のどの強い痛みで重要な疾患に、喉頭蓋膿瘍があります。喉頭は気管の入り口で、食道との分岐点です。このため、飲み込んだ食物が気管へ入って行かないように、ふた(喉頭蓋)が付いています。そしてここに感染が生じ膿瘍ができると、さぁ大変。痛いのはともかく、この部は気管の入り口、空気の通り道です。腫れると、呼吸がとても苦しくなってしまいます。早期に診療を受けることができず、適切な治療が間に合わないと、気管切開(くびの前の皮膚を切り、気管に呼吸のための孔を開ける手術です)が必要となります。それくらい呼吸困難がひどくなる、ということなのです。

のどの痛みは、早めに耳鼻咽喉科へどうぞ。

ところで子どもの頃から、扁桃の炎症を時々繰り返す人がいます。40度近い熱が出てのどが痛み、食事も摂れません。このような何遍も繰り返すのどの炎症を、習慣性扁桃炎と呼んでいます。

そう言えば、昔は良くこの習慣性扁桃炎に対して扁桃腺(以前は口蓋扁桃のことを扁桃腺と呼んでいました)の手術が行なわれましたが、この頃はどうでしょう。子どもの体に扁桃は有用で、子どもが小さいうちは取らない方が良い、そんな意見も時々聞きます。

扁桃は、上咽頭のアデノイド(咽頭扁桃)や舌扁桃などと共に、リンパ組織から成っています。そしてそれは、空気や食物が体内に入る際に、ばい菌やウィルスが体内に取り込まれないよう、まるで関所のような役目を果たしているようです。実際にこれら咽頭のリンパ組織は、輪状に咽頭を囲んでいて、関門を思わせる位置関係にあります。そしてこの輪は、ワルダイエルの咽頭輪と称されます。その意味で、確かに扁桃を切除するのは好ましくありません。

けれどもこれら咽頭のリンパ組織が、全身の抵抗力の低下しているときなどに、余りにも忠実に防衛隊としての任務を履行すると、それはそれでしんどいものです。過ぎたるは及ばざるがごとし、ということでしょう。なぜなら、いつも外から入るばい菌との戦いが扁桃を戦場として行なわれ、扁桃は膿つまりばい菌と白血球の死骸でいっぱいとなってしまいます。熱も上がります。体には負担がかかります。習慣性扁桃炎とは、言わば扁桃がそんな常戦場になっている状態なのです。それではもちろん、全身に持続的な悪影響があります。

従って扁桃を摘出するかどうかは、この両者の兼ね合いから検討せねばなりません。もちろんその前に、抗生物質などの内服薬がどの程度有効なのか、確認すべきです。習慣性扁桃炎が昔ほど目立たなくなった背景に、食事内容の改善と抗生物質の発達とが関係しているからです。

その上で、例えば私たちの扁桃摘出術の基準はこうです。これを参考に、主治医とご相談ください。@1年間に5〜6回以上扁桃炎をこじらせるとき、A普段から血液検査にて、異常の認められるとき、B子どもで扁桃の肥大が強く、夜間の睡眠障害から発育障害に至るとき。

以前ほど多くないとは言うものの、今でも扁桃を年に何回もひどく腫らす人を見ます。前記@は、そんな人のことです。またAのように血液検査で異常が見られると、病巣感染と言いますが、扁桃の炎症が体の他の部位の強い病的反応を引き起こし、例えば腎臓を痛めたりします。さらにBに述べたように子どもで扁桃が余りに大きいと、睡眠時にいびきが凄まじく、時に呼吸の止まることがあります。睡眠時無呼吸症候群と呼ばれるこの状態は、夜間の酸素欠乏から発育障害を惹起し、子どもの成長や発育に妨げとなります。なんとか、手を打ちたいところです。

なお、この呼吸異常を引き起こす扁桃やアデノイドの肥大は、幼稚園から小学校低学年までの時期が最大で、それ以降は縮小します。手術のタイミングについては、それを考慮して決定すべきです。

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