●エピソード7「難聴者の孤独な心理」
昔、日本人は外国人から話し掛けられると、なんとなくニヤニヤしてあいまいな対応をする、と批判じみた言い方をされたことがあります。けれどもあれは、わたしのような劣等生から言わせれば、聞き取ることもできないような英語で話し掛けられたら、そう応対せざるを得ないのではないかと思うのです。別に、ニヤニヤしたくてニヤニヤしている訳ではありません。相手が何か一生懸命に話し掛けて来るのですがまったく聞き取れないので、止むなくそうしているだけのような気がします。そのくせそんな対応をしている時の心の中は卑屈で、孤独感でいっぱいです。
耳の聞こえない人というのは、そのような英語の劣等生が外国人から話し掛けられた時のような、孤独なつらい気持ちで毎日を過ごしているのではないでしょうか。
同じ日本人なのに、話し掛けられてまっとうな対応ができない。止むを得ず、なんとなく笑みを浮かべてつらい時間をやり過ごす。そのような日々が続いたとしたら、心理的にも影響があると考えるべきでしょう。
鈴木淳一はその著書「伝音性難聴へのアプローチ」(篠原出版)の中で、難聴者の心理・性格・行動の傾向について、以下の特徴を挙げています。
a劣等感,卑屈,羞恥心
b性格への影響
c単調な表情,微笑を絶やさない傾向
d抑うつ症,仮面うつ病
e非社交的,友人の減少,対人恐怖
f被害者意識,被害妄想,追跡妄想
g自責感,自罰的,克己心
h意欲の低下,中途半端に片付ける
i遠慮,臆病,孤独癖
j自信欠乏,自殺念慮
老人性難聴となったお年寄りたちも、こうした心理傾向となって来る可能性を否定はできません。難聴というのは、耳よりもむしろ心の病気である側面も併せ持っているようです。
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