●エピソード12「ロックコンサートでめまいを起こした女子大生」
宮城県民会館で行なわれたロックコンサートで、大きな音で音楽を楽しんでいた22歳の女子大生が、突然難聴となりました。この方は卒業試験のために睡眠不足で、食事も充分に摂っていなかった、とのことでした。
この方の語るところによると、コンサートの開始後20分くらいしてから、聴いている音楽の歌詞がはっきりしなくなり、冷汗が出て気分の悪くなるのが自分でも判りました。県民会館の外へ出てみると、普通に歩いているはずなのに足元がしっかりせず、まるで雲の上を歩いているような感じがします。おまけに左耳の聞こえが悪く、耳鳴りもするのです。
この方はその足で私のもとを訪れ、さっそく治療を受けることになりました。これは後から判ったことですが、その日のコンサートでは他にも耳鳴りや耳の違和感を訴える聴衆が何人かいたそうです。
この方は両側の感音難聴のみならず、平衡機能検査でバランスをとる検査を受けたときに、体全体が左側へ倒れる傾向のあることも判りました。
その後この方は、安静にしビタミン剤やステロイド剤の点滴を受け、幸いにも聴力と平衡機能が元に戻りました。
内耳には大きな音に対する防御機構が、本来備わっていると考えられています。けれどもその機構は、体調が万全の時にうまく作動するものと思われます。つまりこの方のように睡眠不足だったり空腹だったりする場合には、必ずしも本来の働きをする訳では無さそうです。
その際この方のように、大音響による蝸牛への衝撃で難聴となるだけでなく、隣接する前庭まで打撃が及びめまいを生じることもあり得るのです。ロックコンサートなどのように、強大な音量に暴露されることが予め判っている場合には、体調をできるだけ整え決して無理をしないよう心懸けねばなりません。
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