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声が擦れる(嗄声)

声が擦れる、しわがれ声になる、それを嗄声(させい)と言います。これがあまりにひどいと、終にはまるで声が出なくなります。この嗄声は年令によって病態も、もちろん対策も異なります。年代別に、ご説明しましょう。

学童期の子どもで、声が擦れている子を時に見かけます。これは多くは”学童嗄声”と呼ばれるものです。つまり学校などで、すごく活発に遊ぶ余り大きな声を出し過ぎ、結果的に嗄声に至るものです。親としては子どもの声が擦れているとびっくりし、何事かと心配になりますが、のどを休ませれば治って行きます。とは言え、子どもに遊びの場で大声を出すなと言うのは、実際上ちょっと困難です。

小学校高学年から中学校にかけての男子で声がヘンになったら、それはやはり変声期(声変わり)をまず疑うべきです。この時期に男子の体は大きく変わり、二次性徴であるのどぼとけは大人と同じ形態へと発達します。これに伴い声帯も長く大きくなり、発生時の振動周波数が変化します。これが声の変貌として現われるのが、つまり声変わりです。この期間は発声時くれぐれも無理をせず、声帯に負担のかからぬよう心がけてください。  10歳代後半から成人以降で、良く声を使う人の嗄声は謡人結節の疑いがあります。この結節は、声楽を習っている人に見られることもあり、保育所の保母さんや幼稚園・学校の先生などで、半ば職業的に認められることもあります。保育所や幼稚園で、小さな子どもたちを相手に大きな声を張り上げている光景が目蓋に浮かぶようで、微笑ましいような気もしますが。

謡人結節では声帯の両側に、対称性に良性のごく小さなポリープが出現します。声帯の安静を守ればかなりの頻度で治るものですが、職業的にそれが難しいこともあります。そんなときには、切除するのも一つの方法です。しかしその後も、当然ながら発声に気を付けねばならず、発声訓練が必要となる例もあります。要は、のどに無理な力をかけず腹式呼吸で発声することが重要なのです。

政治家など、声の安静なんて言っていられない人では、結節を通り越して声帯自体がポリープ化していることもあります。この場合には、そのポリープを切除せねばなりません。切除すれば声はきれいになるのですが、昔は「それでは演説に迫力が無くなる」と、耳鼻科医にタダをこねる政治家もいたとか。 成人病年令以上の人で特にヘビースモーカーでは、喉頭の悪性腫瘍も考えねばなりません。肺癌と並んで喉頭癌は、タバコとの関連が非常に強く疑われる腫瘍です。思い当る方は、常々注意を怠らないようにしてください。まあ、タバコを止めるのが一番の予防ですけれど。それができるくらいなら苦労は要らない、そう言いたい方もおられそうです。

嗄声の原因として、声帯の運動麻痺の見られることがあり、反回神経麻痺と呼ばれます。反回神経とは、声帯の運動を司っている神経の名前です。この神経は胸廓の奥を走っているために、胸廓の疾患に際して麻痺を生じ、嗄声となることがあります。ここで言う胸廓の疾患とは、具体的には肺癌や食道癌などのことです。嗄声に伴って嚥下困難など他の症状が見られた場合には、要注意です。

故・池田首相のダミ声を憶えておられるでしょうか?あの特有の嗄声も、下咽頭癌によるものでしたね。次項では、それについて述べましょう。

 
声が擦れる(嗄声)についてはコミック「カラオケポリープは踊る!!!」もご覧下さい。
 
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