(2) 聴神経腫瘍
- 解剖・生理・病態
- 内耳道内を通過する聴神経(前庭神経と蝸牛神経)そして顔面神経のうち、前庭神経の神経鞘から発生する良性腫瘍。
- 内耳道から、頭蓋内の小脳橋角にかけて進展する。発育は緩慢で、このためめまいや顔面神経麻痺は発生しにくく、耳鳴・難聴を初期症状とする。
- 発育するにつれて小脳橋角に存在する脳神経、すなわち三叉神経・顔面神経・外転神経・舌咽神経・迷走神経の症状が出現、小脳の症状も明確となる。
- 近年はCTやMRIの普及で発見が早く、重篤となることはまず無い。それ以前には、脳室を圧迫し頭蓋内圧亢進(IICP)のために、末期には脳幹障害で死に至ることもあったとされる。
- 温度眼振検査で患側の高度反応低下や反応廃絶が見られ、聴力がさほど低下しない時期でもABRにてT−X波間隔の延長を認める。難聴の形は後迷路性で、補充現象は観察されず、Bekesyの自記オージオメトリではV型もしくはW型の出現が見られる。
- 語音弁別能も、純音聴力検査の域値に比べ悪化していることが多い。
- 注意すべきは、突発性難聴と同様の急性感音難聴で発症する聴神経腫瘍症例の存在することで、これは緩慢に発育していた聴神経腫瘍内部の血管が破裂し、急激に腫瘍径が増大するために起きる現象と理解されている。
- 耳断層X−Pで、患側内耳道の拡大の見られることが多いが、未だ小さな腫瘍ではこの所見は明確でないこともある。
- CTでは、像影剤の使用が必要となることもある。
- MRIが現時点では、聴神経腫瘍の検出に非常に有用である。
- 治療
- 巨大化してから発見された聴神経腫瘍では摘出手術が、現在でも必要である。ただし、近年はごく小さな段階で腫瘍の発見されることも多く、ガンマナイフで対応したり、あるいは経過観察も一つの方法と考えられるようになって来た。
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