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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

毎年スギ花粉症だけでなく、カモガヤの花粉症にも悩まされてきました。 妊娠の可能性のある場合、どのような治療法があるのでしょうか?

 

A:妊娠と花粉症が問題となるのは、花粉症始めアレルギー疾患と性差に意外と密接な関連があるからです。

花粉症など典型的なアトピー性(専門的には高いIgE反応性を示す遺伝素因のことで、気管支喘息やアトピー性皮膚炎そして花粉症などアレルギー性鼻炎の基礎となる体質のことです)疾患では、10歳未満〜10歳台は男子に多く女子に少ないとされています。

実際われわらがアレルギーの疫学調査を実施すると、日本の小中学生では明確な性差が見られ、男子に有意に多いのです。

ところがこの比率は20歳台と30歳台に逆転し、女子の頻度が男子より多くなるものと推測されています(実際に疫学調査でこれを証明した報告は未だありませんが)。

そしてその原因は恐らく妊娠・出産など、体内の内分泌環境の変化(簡単に言うと女性ホルモンのせい)に起因するものと考えられているのです。

実際それまではなんとも無かったのに、妊娠した途端に花粉症がひどくなったりする女性のいることは、ときどき臨床(簡単に言うと診察の時に、という意味)でお目に懸かります。  

もちろんこれにはいくつかの考え方があって、妊娠すると鬱血し易くなり静脈血の環流が悪くなる(簡単に言うと赤ちゃんがお腹に居るので、それに圧迫されて体内の血のめぐりが悪くなること)ために、鼻の粘膜も鬱血して腫れてしまうせいだとも言われます。  

でもそれで説明できる以上に症状が悪化する方もおられますし、妊娠していない時期でも生理の周期に一致して花粉症のひどくなる女性もいます。  

残念ですがこの機序に関しては、これまでに明確なデータも示されていません。それは妊娠中の女性では、そんなに詳しい検査を無理をしてまで行なうことができない、そんな事情からなのですが。  

ともあれ、妊娠と同時に花粉症のひどく悪くなる方のおられることは事実で 、その対策はちゃんと考えておかねばなりません。  

だって大きなお腹を抱えて、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりに苦しんでおられる未来のお母さんたちの姿は、やはり余りにも悲惨だからです。   

花粉症などアトピー性アレルギー疾患は、抗原抗体反応が基礎となっています。ですから抗原に接触しなければ、疾患も発症しません。  

その意味では花粉症のシーズンに外出を控えることや、外出するなら花粉飛散量の多い晴れの日や朝方(カモガヤは早朝に花粉を飛ばします)を避ける。外出はマスクや眼鏡を活用する。外出から戻ったならば、衣服や髪の毛などに付着した花粉を払い落としてから部屋へ入る。部屋に紛れ込んだ花粉は掃除してきれいにする(掃除機はセントラル型がベストですが、いずれにしても排気が屋内をかき回さないものを選ぶ必要があります)。花粉症のシーズンは布団干しを控えるか、カバーを掛けて行なう。可能であれば布団は丸洗いとし、外に干さない。そうした心がけが重要です。  

薬剤を使用しての治療ということになると、選択肢がやや狭まるのは止むを得ません。「クスリはリスク」とのだじゃれが示すように、良く効く薬剤ほど人体に及ぼす影響は大きい訳ですから。  

使用できる薬剤は、漢方薬の小青竜湯を基調に点鼻薬の体内に吸収され難いタイプの併用が主となります。点眼薬も、同様の選択をします。  

こうした薬剤は、逆に言えば安全性が高い替わりに効き目の現れるのもやや遅い、そういう傾向にあります。まあ、仕方ないですけれども、ね。  

ですから妊娠中の花粉症対策は、何よりも抗原となる花粉の曝露を避けることです。その上でいくつか副作用の少ない薬剤も、最小限にして使用することだと思います。  

もちろん、地域によりまた個々のケースによって対策は異なりますから、地域のドクターに相談して見られてはいかがでしょうか。

三好耳鼻咽喉科クリニック院長 三好 彰

関連リンク: 用語集 花粉症

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