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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集


保険医新聞の紹介文

平成13年9月札幌で第16回保団連医療研究会が行われ、当院いびき相談室の大澤ふぢ子が「いびき外来について」発表してきました。その内容をご紹介したいと思います。

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保団連医療研究会演題発表 「いびき外来について」 

 三好耳鼻咽喉科いびき相談室 大澤 ふぢ子

いびきの音がうるさい、旅行などで他の人に迷惑をかける、呼吸が止まるので妻が心配するなどで外来を受診されます。自覚症状がないのが一般的で、こちらから訊ねると昼間の眠気、疲労感が残るなど訴えることが多いです。出張先や旅行などでいびきがうるさくて朝起きたら誰も部屋にいなかったなどという話もめずらしくはありません。あるとき、骨折で入院した患者が「いびきがうるさいので、今日中に手術をして治してこなければ退院だ」といわれ受診され対応に困ったことがありました。当CLにいびきを主訴に外来受診される方は、昨年の2月に新築移転に伴い正式にいびき外来をスタートしてから300名をこえています。

.外来を受診されますと

院長診察 視診 レントゲン アレルギー検査 ファイバースコープ

  • 鼻、咽喉に構造的な異常の確認
  • いびきの原因疾患の有無 アデノイド、慢性副鼻腔炎、肥厚性鼻炎、
    アレルギー鼻炎、鼻中隔彎曲症、鼻茸、腫瘍、扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎、口腔の炎症、など
いびき外来の流れと説明と検査、カウンセリングの日程調整
 
内科受診
  • MRI
  • 高血圧症、虚血性心疾患、心不全、糖尿病などの成人病を合併することが多い。
アプノモニター スクリーニングとして2泊
  • 一晩の無呼吸回数、無呼吸の長さ、酸素飽和度、体の向きなどを知
    ることができる。

アンケートの記入、録音テープをとる。

  • いびきの音源、無呼吸の有無、狭窄部位の推定
池松先生のカウンセリング(月に1回第4日曜日)
 
治療方針、精密検査の方は日程の調整
精密検査:ポリソムノグラフィー(PSG)にて確定診断
  1. 睡眠深度(脳波、眼球運動、顎筋電図にて睡眠段階、中途覚醒の判定)
  2. 呼吸(無呼吸の有無、無呼吸型の判定)
  3. 鼾音(骭の程度の評価)
  4. 心電図(不整脈の有無)
  5. 前頚骨筋(下肢筋ミオクローヌスによる中途覚醒の判定)
  6. 血中酸素飽和度(夜間の低酸素状態の判定)
治療(単独で行うより併用されることが多い)
  精密検査:ポリソムノグラフィー(PSG)にて確定診断
  • 家庭療法
  • 歯科的なスリープスプリント
  • 耳鼻科的に手術
  • CPAP療法

 

〈カウンセリングとは〉
耳鼻科の検査結果、アンケート、顔やのどの形、いびきの録音テープ、これらをもとにイラストや模型を使い、いびきのメカニズムを説明、精密検査、治療などについても本人の希望により納得のいく方法を探り、他の医療機関の紹介、いびきの制御方法、枕の正しい使い方を説明する。

〈治療方針とは〉

家庭療法とは(単純いびきに有効)

時々録音テープで
いびきの音を確認する
  • 口を閉じ鼻呼吸にする(口にいびき抑制テープ「ネルネル」を貼る)
  • 横向きに寝るための正しい枕の使い方
  • ダイエット
  • ストレスをためない
  • いびき体質の改善
    • 塩水でうがい
    • 口を開いていないかチェックする
    • お酒を飲んですぐに寝ない
    • 子供は固い物を、食べさせて顎をしっかり発達させる
    • いびきをかいたらすぐ刺激を与えてもらうなどでいびき癖をつけない

〈スリープ・スプリント〉
睡眠中に上下の唇が開き易く下顎が後退して舌の付け根が沈下していびきを誘発している時、上顎前突、小下顎症、骨格性開咬、歯列不整、歯間離開などに有効。
マウスピースのような装置を口にはめ、口を開きにくくして下顎を少し前に出すことにより、喉に奥行きが出て舌根部の気道空隙が広がり空気抵抗を減らし開口睡眠を防ぐことによりいびきを防止する。スリープ・スプリントはどこの歯科でもよいという訳ではなく熟練を要するので専門の歯科を紹介する形になる。

〈耳鼻科的手術〉

  • LAUP・・・口蓋垂が長い、口蓋弓が張っていてそれが振動して音源になっている場合
  • 下甲介切除術・・・鼻がつまって空気の通りが悪い
  • 鼻茸切除術・・・鼻茸があることによる鼻閉
などを外来にて出血もなく痛みも少ないレーザーにて実施しています。扁桃腺摘出術の場合は入院が必要なので紹介となります。

〈CPAP療法(経鼻持続陽圧呼吸療法)〉
CPAPの適用となる患者さんは、夜間にいびきとともに呼吸が止まる、睡眠時無呼吸症候群の方達です。いびき=無呼吸症と云うのではなくいびきをかく方の10人に3人は無呼吸症の疑いがあると云われています。健康な人にも無呼吸はあります。入眠初期、REM睡眠時で身体中の筋肉が弛暖している時に表れる10秒以内のものは生理的無呼吸で心配ないとされています。病的な無呼吸(治療が必要)は、10秒以上続く喚起の停止が、1時間に20回以上あると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。最も気をつけなければいけないのは合併症です。無呼吸症の40%?70%(45%?90%という数字を出す専門家も)の方が高血圧症を、20%が不動脈を、10%?20%が虚血性心疾患を、その他に心不全、糖尿病など、成人病への危険、叉は精神面への影響が心配されます。CPAP療法とは、睡眠時に鼻にゴムマスクのようなものをつけ、空気を鼻から上気道に送り込むことによって、上気道の閉寒を防ぐという方法で、中?重症の睡眠時無呼吸症候群の治療方法です。これを使って眠ることにより閉寒性無呼吸がなくなり、深い眠りをとることができるようになります。ただし根本的な治療法ではないためダイエットなどで呼吸状態が改善されないかぎり使い続けなければいけません。機械の大きさ、音など家で使うにはよいが、出張や旅行先ではどうもと、抵抗を感じる方もおられますが、一度使ってみるとその日から効果がはっきりあらわれます。頭がすっきりして仕事にやる気が出てくるなど、有効な治療効果が期待できます。

〈CPAPの種類〉
一定圧、バイレベル、オートシーパップ、などがあります。
CPAP療法は在宅医療で月に1回通院が必要となります。外来時に体重の増減、血圧測定、マスクから空気がもれていないか、いびきの音は聞こえていないか、マスクの圧迫による発赤、昼間の眠気などをお聞きして、内科的疾患のある方は通院状況などを、教えていただきCPAPの使い勝手などレンタル業者とのパイプ役をつとめます。

おわりに
いびきの患者さんは、自覚症状のない方がほとんどです。昼間の眠気にしても長い間その状況の繰り返しですと、そんなものだと思っているようです。いびきの音も自分で聞くことがないので、隣で休んでいる人の悩みも心配もわかろう筈がありません。自分で自分のことが解らなければ病院に行く必要も感じません。大切なことは録音テープにいびき音を取って本人に聞いてもらうことです。まず自覚を促すことが大切です。自分のいびきがわかれば病院に行くことも、検査も、治療も協力的でスムーズに進みます。患者さんが一歩を踏み出したら、家族の協力が次の一歩につながります。これらのことに手を貸して、手伝ってゆくことができるように、クリニック全体で取り組んでいびき外来を充実させてゆきたいと思っています。

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