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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集


医療経営情報2月号

お医者さんの情報誌 医療経営情報2月号の取材を受けました。
取材内容をご紹介します。

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特集 医者が求める医療情報と提供方法 

三好耳鼻咽喉科クリニック(仙台市泉区)

医学コミックの応用や、
その広報への活用で情報開示。
ニーズの掘り起こしには
オリジナル情報が不可欠。

 院長 三好 彰氏

                 
昨年五月、三好耳鼻咽喉科クリニック院長・三好彰氏の監修・解説による、いびきと睡眠時無呼吸症候群をテーマにした医学コミックが発刊された。子どもから大人まで手に取りやすく、わかりやすい方法で病気の啓発・予防に役立たせようというのである。加えて、このコミックを材料としてマスコミに話題を提供、ちょうどいびきや生命にかかわる睡眠時無呼吸症候群が社会問題化しかけているタイミングを逃さず、各方面で取り上げてもらうことに成功。

こうして、いびき・睡眠時無呼吸症候群の危険性について、より多くの人の知るところとなった。同クリニックには九州など遠隔地からいびきの患者が多数来院するようになり、受診者数全体も増加しつつあるという。

三好氏の監修・解説による医学コミック発刊は、実はこれが初めてではない。

95年にスギ花粉症マンガを創刊し、96年ピアストラブル、98年浸出性中耳炎、99年にはカラオケポリープとつづき、今回のいびきコミックはシリーズの第5弾なのである。

これらのマンガは、同クリニックのインターネット・ホームページにも公開されダウンロードやプリントアウトもできるし、実際の診察時にはクリニック特製の小冊子として患者に手渡される。

コミックの内容は、よく見かけるような病気そのものの解説にマンガが付随しているかたちではなく、病気の成り立ちや、それに関する対応理由を盛り込み、ストーリーがつくられている。丸暗記的な医学知識の断片的押し付けではなく、読者の「なぜ?」に答えるよう構成されているため、読み進むのに苦痛を感じない。コミックとしての完成度が高いといえよう。

 

95年からシリーズが始まる

病気や治療の解説にコミックを使うというアイデアは、全国の地方紙に掲載された「みみ、はな、のどの変なとき」がベースになっています。1992年に共同通信社から依頼があって、最終的に週1回・35週連載となったこのコラムは、全国の25紙に掲載されました。合わせると1000万人以上の読者の目に触れた計算になります。

この連載終了後の93年12月、山形市に本社がある出版企画会社から、これは単行本として刊行されています。連載と同じタイトルのこの本では、医学知識を、いわば「ひらがな語」で誰にでも理解できるように解き明かしてみました。医療関係者の口にする用語は、知らず知らず専門用語を駆使していことがあって、知識のない人には理解しづらいものです。それを誰にでもわかる言い回しで書いたんです。

それが終わって、今度はマンガで医学書を書こうかと。子どもにだってわかるようにできた医学書というのも素敵ですから。
そんなことがあって、95年春に『スギ花粉症・ハクションコミック美人アナ花子さんの場合』が出版されました。原作の山形三吉さん、先に触れた山形の出版企画会社の関係者で、ウマが合うというのか、このあとの一連のシリーズも一緒にやることになります。

「花子さん」が発行された95年春は、スギ花粉が猛威を振るった年でした。スギ花粉飛散量は、前年夏の最高気温に左右されます。94年夏は猛暑だったので、95年春はスギ花粉が凄かったんです。

10冊セットで図書館へ、の構想

「花子さん」は、そんなわけで出版のタイミングとしてはたいへんよかったこともあって評判を呼び、引き続き96年に『ピアストラブル』98年には滲出性中耳炎を扱った『中耳炎ワールドの冒険』、99年には嗄声についての『カラオケポリープは踊る』つづきました。そして昨年の『いびきをかく夜は恐ろしい?』を、いびきカウンセラーの池松亮子さん(池松武之亮いびき研究所所長)の協力で発刊しました。

これからの企画もほぼ決まっていて、次は心因性めまいを訴える「五月病」について、さつきさんという女性を主役にしようと。その次は「ダニアレルギー」を予定しているのですが、主人公の名前は何にしようか。「ダニ子さん」では、まずいし?。
いずれは、コミック10冊を組本として各地の図書館に置いてもらい、病気の知識普及に役立てたいと空想しているんです。

自身の研究成果を知ってもらう

このように、病気についてコミックを書く場合、既存の知識を何の疑いもなく紹介しているわけではありません。常識のウソという言葉もありますが、世間一般で信じ込んでいる医学知識には、先入観にもとづく誤解もふんだんに紛れ込んでいます。
私はこれまでいくつか、世間一般の「常識」を検証し、覆したこともあります。

たとえば数年前、寄生虫の少なくなったことが日本のスギ花粉症激増の原因だといわれたことがありました。これに対して私は、日本に比べて花粉症の少ない中国で寄生虫のとアレルギーの検査を行い、寄生虫はアレルギーを改善しないことを実証しました。つまり、日本の花粉症増加は、寄生虫減少の結果ではないのです。私の主張は学会で認められ、いまでは寄生虫はだれ一人見向きもしません。

また、その発見以来何十年か日本特有の花粉症と信じられてきたスギ花粉症が、中国にも存在することを私は南京医科大学で発見しました。そしてそれは、スギが地上に出現した200万年前には日本と中国(アジア大陸)が陸続きであったためであることを、両国の樹齢千年以上のスギのDNA分析から明らかにしました。これらの研究の結果を現在"ネイチャー"誌に投稿すべく原稿執筆中です。

医学コミックは、誰にでも理解できる広報として有効な手段であるだけに、思い込みで間違った知識を披露すると、それまでが誤ったままで広がってしまいます。伝えようとする医学知識が正確なものかどうか、自分自身の目できちんと確認できるだけの能力をもち、実際にチェックしながらでなければコミックを書く資格はない、そう思っています。そんな意味もあって、こうして繰り広げている自分の研究内容に妥協はありません。世界で通用するだけの、独自の成果を挙げつつあるのではないでしょうか。そんな観点から見ると、自分が独自に積み上げてきた研究成果をコミックなどさまざまな媒体を利用して、私は広報をしていることになるのかも知れません。

「わかりやすく」がキーワード

自分が言うとおかしいのですが、「ひらがな語」路線からマンガへと、よりわかりやすい説明を心がけたことに対して、ある程度の反響があったと思います。

 


診察机の横に置かれた特性のコミック雑誌。
必要に応じて付箋をつけ患者に手渡す

もともと医学というものは、明確なファクトがあって、その積み重ねで理論が成り立っているため、そもそも極めてシンプルな真理の蓄積なのです。ところが、丸暗記に代表されるように、理解しないままに虚憶えしたことを相手に伝える、そんな態度が部外者には医学を理解不可能な小難しい聖域に変えてしまいました。しかし、実際には医学的知識はすべて筋が通っていて、理を明らかにしてひとつひとつ説明すれば、たいていは誰にでも安易に理解できる内容ばかりなのです。一見謎めいた病気の構造を自分の目で真理を確認しながら日常的なわかりやすい用語で解き明かす。それがコミックを使った医学書の目的であり、私の試みがある程度反響を呼んでいる理由ではないかと、考えています。

コミックでマーケットを開拓

現在の財政状況のなかにあって、医療も経済的に縮小せざるを得ない状況です。しかし、一流の医学的レベルを保持しながら診察を行ってゆくには、経済行為としての医療に余裕が必要です。そのためには、一流の医療を必要としているできるだけ多くの方に、自分の診療内容を知っていただき、自院へ足を向けてくださるよう促す努力も不可欠です。自院を必要としてい患者さんの要望をニーズと表現します。しかし、このニーズは治療して治癒させてしまえばサプライしたことになり、ニーズは消え去ります。さらに新たなニーズを喚起し、いっそう多くの方に自院を利用していただけるには、シーズやウォンツ段階にある患者さんに、自院の価値を理解していただくことも重要です。ここでいうシーズとは、たとえばいびきのように困っているけれども、どこで治療してくれるのか、誰も知らない。そのような潜在的ニーズのことです。

また、ウォンツとは、一例ですが、ピアスを初めてつけたいけれども、安全ピアッシングはどこでやってくれるのか、その知識がない。そういう、やはり隠れたニーズのことです。こうしたシーズやウォンツの段階にある患者さんにコミックで自院の医療内容を伝えることができたとしたら、それはそのまま自院に対するニーズになります。コミックは実は、そんな役割をも担っているのです。整理して、言い換えましょう。


三好クリニック・ホームページで公開されている「いびきをかく夜は恐ろしい・・・」(一部)

私は国際的に通用するレベルの研究を推し進めることで、自院の商品価値を高めています。その商品価値はコミックなどを通じてマーケットに流れ、ニーズのある顧客が当院を利用します。ニーズは満たされ消失するように見えますが、手渡した冊子やホームページにより情報がさらに広がり、シーズやウォンツ段階の顧客を目覚めさせます。そうやって、マーケットが広がる、その手助けをコミックが果たしているのです。

 

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