3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集


病院・診療所経営に直結する医事業務総合情報誌、医療経営最前線の医事業務編で、当クリニックが紹介されましたので、ご紹介します。



患者のための医療をめざして


クリニック経営の戦略と実践

 

三好耳鼻咽喉科クリニックに学ぶ

藤原ENTクリニック 事務長 木村結花

1. 三好耳鼻咽喉科クリニックの概要

2000年2月に、新たに移転した三好耳鼻咽喉科クリニック(宮城県仙台市)の院長・三好彰先生との出会いは、もう8年ほど前になります。

当クリニックが現在の場所(銅座町)に移転する前に、同クリニックを見学しておきたいという院長の強い希望で、仙台市を訪れたことがありました。

当時から子供たちが怖がらない診療の工夫をされ、診察室からは子供たちの笑い声が聞こえるほどで、私にはそれが大変印象的でした。当クリニックでも子供の扱いには苦労していたため、私はそのヒントを教えていただきました。そこでは、子供たちにアメをあげたり、オリジナルのシールを与えたりして、子供たちの気持ちをグッと引きつけていたのです。しかし、何よりも子供たちが安心して診療を受けられるように、院内の雰囲気も大切にする院長やスタッフの心配りが一番だと感じました。このヒントをもとに、当クリニックでも治療を嫌がる子供たちに「がんばったご褒美シール」をあげるようにしました。

新しくなった三好耳鼻咽喉科クリニックは外観もわかりやすく、大きなガラス張りの建物で、1階が患者専用の駐車場とテナント、2階が診療所と待合室になっており、明るく広いスペースのフロアです。もちろん、移転前のクリニックのコンセプトがそのまま受け継がれており、子供たちのお気に入りのアニメのビデオが放映され、玩具道具も置かれています。また、このフロアのもう一つの特徴は、子供たちの騒がしさを防ぐ別の小さな待合室もあり、まさに患者さんに合わせた徹底した対応がなされていると感じました。3階はクリニックの管理部として、管理室と研究室があります。ここには三好院長が中国の南京医科大学国際鼻アレルギーセンターで教鞭を執られていることから、日本でも併設されているのですが、そのセンターが、さらに仙台いびきセンター、仙台ピアスセンターが開設されています。

また、最近の診療における取り組みとして、「いびき専門外来」があり、遠くは福岡県からも患者さんが来院するということです。

さて、三好院長の活躍はさることながら、このクリニックを支える原動力となっているのは、元気なスタッフたちです。今回、私は院内勉強会にお招きを受けました。第一印象は、一人ひとりのスタッフの表情が明るく、職場における自分の役割を理解して、組織の一員として、業務に取り組む姿勢をもっているということでした。診療所ではなかなか難しいところがありますが、組織作りが確立されていることが、このクリニックの業務運営に大きな力となっていると感じます。


2.3443通信

「3443通信(みよしさん)」は、
三好耳鼻咽喉科クリニックのホームページ(http://www.mars.sphere.ne.jp/miyoshia)にアクセスすると見ることができます。毎月の発行部数1,500部、8面の2色刷りで、1部70円くらいのコストがかかっていると聞いています。編集委員の構成は2名、編集長となって制作に当たっているのが、木村麗美さん(医事課)で、漫画担当は吹越真祐子さん(医事課)です。木村麗美さんの話では「制作時間は記事を集めて原稿にまとめ、5時間くらいかかります。あとは、業者へ依頼して校正をお願いしています。印刷までは何度もやりとりを行い、納得のいくまで校正に時間をかけています」ということでした。また、当クリニックもそうですが、決してスタッフレベルで進めていくのではなく、あくまでも全体の責任者である院長のアドバイスは欠かせないということでした。

発行当初から「3443通信」にはインパクトがありました。患者さんが知りたい情報がわかりやすく書かれているため、読みやすく親しみやすく、また、患者さんのニーズに合わせた最新の記事を掲載するなど、常に患者さんの目線に合わせた院内広報誌になっています。決して、自院のPRばかりではなく、三好院長が国内外で調査研究を続けられている研究報告を兼ねて「チベット紀行」の話などの寄稿も掲載されています。

「3443通信」が、患者さんが医療に求めている診療のプロセス、アウトカムの評価などに視点が置かれている点は、同クリニックの医療に対する本質を感じます。


3.院内勉強会から

何よりも私がこのクリニックのスタッフに感心したことは、機会あるごとに文章をよく書いているということでした。これは、三好院長が医療雑誌などのメディアを通して、日ごろから執筆されていることや耳鼻咽喉科関連の書物を上梓されているといった、恵まれた影響にあるからだろうと思いましたが、スタッフ一人ひとりが、実によく勉強していることに驚きました。

同クリニックでは、職員の知識・技能の向上のために、院内勉強会を定期的に開催しています。毎週水曜日の昼休みにスタッフ全員で『みみ、はな、のどの変なとき』(院長、三好 彰先生著)を教材にして、勉強会を行っているそうです。また各部署の主任・副主任が参加する会議も月1回設けられています。この会の進行役は、持ち回りで各部署の主任が行い、会議の議事録はその部署の中で当番制となっているそうです。ここでは、月の予定・院内の問題などを話し合うそうです。このみごとな院内勉強会の進行は、やはり組織力によるものと感じました。


 院内勉強会の事例

同クリニックの院内勉強会の一つに、ビデオ鑑賞会を実施して、全員がその感想を報告するという企画があります。今回の鑑賞ビデオは「スーパーの女」(故・伊丹十三監督作品)でした。ご存じのとおり、ある落ち目のスーパーが、安売りの競合店に買収されかかった時、その経営者が幼なじみの主婦と出会い、店の再建に大きな力になって、消費者に愛される店に変えていくといった話です。おそらく、この作品を勉強会のテーマにされた理由に、消費者(顧客)と患者さんとダブらせたのでしょう。

地域でナンバー1になるためには、クリニックとしてどうしたらいいのか、を考えることができたと思います。それは、病院としての施設の規模、スタッフの対応(接遇)、医療の質(内容)、通院しやすい施設(利便性)など、ナンバー1の可能性を列挙することはできますが、その病院の独自性を出すことこそ、患者来院数の増加につながることを、この作品からスタッフの方々が理解されたのではないでしょうか。また、この作品を通じて「お客様にとって日本一の店」は「患者さんにとって日本一のクリニック」というビジョンをスタッフの方々が意識され、日々の業務の中で、患者志向を考える足掛かりになったようにも感じました。

なお、参考として、私宛てに送られてきたスタッフの「スーパーの女」を観ての感想文を紹介します。


 感想文「スーパーの女」を観て

このビデオを見たのは3回目である。しかしながら、すべてのシーンがここまで自分のことのようにひしひしと迫ってきたのは初めてであった。観る者のその時々の立場や状況により、同じ映画を観ても、こうも感じ方や受け取り方が違うものかという発見と驚き。

今井五郎が店長を務めるダメスーパー「正直屋」と新しくオープンした「安売り大魔王」との戦い。井上花子なる女主人公が、今井五郎と共にダメスーパーを立ち直らせていく仮定には、お客をひきつける数々の商売のエッセンスが含まれていることに、誰もが気付くことだろう。そして、最後に勝つのは、名前が象徴的であるとおりに、「正直屋」なのである。決して最初からそうだったわけではないが、従業員一同の営業努力によって、最終的に、お客様に「本物」を提供するに至った「正直屋」。結局のところ、最後は、お客様に提供するものが「本物」か、どうかが、鍵なのだと思った。

三好院長や管理職には、この作品から従業員の意識改革、経営再建の戦略に関して、多くのヒントが得られたのではないかと想像します。映像を通しての院内勉強会は、スタッフにも好評で、早速、当クリニックでもこの方法を取り入れることにしました。


 4.主任の役割

日本の企業社会は、タテ型社会と言われています。おそらく、組織の中では、上司が優位に立ち、指示や命令を行う立場にあり、部下がそれに従うといった構造になっているのではないかと思います。三好耳鼻咽喉科クリニックの組織は、院長、室長、事務長といった経営者、管理職とスタッフ、そしてスタッフの中にリーダーたる部署の課長(主任)を置くといった、実にシンプルな構成です。総務課、看護課、医事課、秘書課の4つの課で構成されています。

診療所レベルで、このように組織構成が確立されているところは多くないと思います。当クリニックでも、まだまだ組織力は弱く、三好院長の組織作りに学ぶところがありました。

次に、同クリニックの主任の役割に注目しました。4課のリーダーとしての主任(副主任)の資質はすばらしく、集団を統率するリーダーとしてふさわしい方々でした。リーダーとしての人当たりもよく、課のコミュニケーション回路となっているように思えました。

日本のタテ型社会のリーダーは、ときに部下に指示のみ与え、職場で汗にまみれようとはしないともいいます。同クリニックの組織構成はそれとは違い、リーダー自ら課(部署)にとけ込み、自らの課のメンバーとして率先し、業務に当たっています。また、主任の話から、各課での話し合いの場には、メンバーの自主性を促すために、あえて提案には助言することだけにとどめているということでした。また、仕事における分担も公平で、主任もメンバーの一員となっているようです。

いろいろな考えがありますが、三好耳鼻咽喉科クリニックの組織構成と職場の雰囲気から、診療所の場合は、主任クラスのリーダーの役割がいい職場環境を作れるのではないかと思いました。


 5.まとめ

三好彰院長の言葉を介して、三好耳鼻咽喉科医クリニックの医療における本質は「楽しく」「わかりやすく」であると思います。当クリニックもそうですが、スタッフが院長の意図を十分理解したうえで、患者さんに、診察の中で十分理解していただくことが前提です。しかし、現実は限られた時間の中では説明不足になることさえあります。三好耳鼻咽喉科クリニックでは、その時間を補うため、文章や漫画で、患者さんに必要な情報を小冊子にして配布しています。診察室の傍らでは、休むことなくコピー機が稼働し、コピーされた印刷物は、看護師たちが、手作業で小冊子にします。私はこの姿を見て、こうしたスタッフの皆さんは患者さんに近い、外来診療にプライドを持った看護師であると感じました。

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