3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
講演会
「めまい」

 

 

愛知医科大学耳鼻科学講座助教授

中山 明峰 先生

今日はめまいについて話をさせていただきます。

これまでめまいを経験されている方の中には病院に行ったけれども訳がわからなくて診断がつかなかったという方がいらっしゃるかと思います。これはよくあることで、その大きな問題はめまいという病気が複数の病域をまたいでいることにあります。今の医学はどんどん専門化してきており、隣の植木をあまり勉強したがらないという悪い癖があります。このめまいに関連するところは、脳を心配するので脳外科、それから血圧も関係します。耳鼻科も当然関係します。場合によっては気持ち的な問題のこともあります。つまり、めまいというのは複合体なのです。九州にはちゃんぽんという有名ならーめんがありますが、それと同じようにめまいもいろんなものが混ざり合っています。めまいがひどくひっくり返っている時には病院には来られませんから、我々の病院には症状が落ち着いてから来られます。そうしますと、どうしても推測して治療する形にならざるを得ないという問題点があります。その推測に一致した治療ができてない傾向にあるというところがめまいの難しさです。私達はめまいを100%わかったうえで治療をしているかというと、そうではありません。その中でも医学が進んできて、だいぶわかってきた面もあり、努力すればかなり治せる病気であることをお話ししていきます。

私達の愛知医大は大学病院ですから、入院施設もありめまいで倒れられた患者さんが入院された時にどういう病気があるかということについて調べた結果があります。そうしますと、約75%が耳の病気で、頭から来ているものは約20%程度しかありません。皆さん、めまいがあると一番心配されるのが、脳腫瘍や梗塞になって死んじゃうんじゃないかということですが、私の経験から言うとめまいで来られて亡くなられた方は殆どいらっしゃいません。私達が調べた400人の中に死亡例は全くなく、25%は脳血管の障害の問題が多いです。その中で脳腫瘍が見つかるのは10年に1回ぐらいしか無いのです。ですから、めまいから脳腫瘍が見つかるというのはそんなに頻繁にあるわけではないのです。めまいを起こした時の簡単なチェックの方法として、手足の指を1本ずつ自分の思ったとおりに動かすことができるかどうか、もしできればそんなに大きな心配はいりません。それから、しゃべってみてろれつが回るかどうか。めまいがしたら友達などに電話をして、自分がしゃべっていることがわかるかどうかを確認し、わかれば大丈夫。時々自分ではちゃんとしゃべっているつもりでも相手に伝わらない時があります。皆さんもお年寄りと一緒に住まれている方はよくわかると思いますが、お年寄りがろれつの回らない時がありますよね。それと同様の症状が起きる場合があります。後はボールペンなどで自分の手足をつっついてみて感じるかどうか。こういうことを感じて手も足も曲がる。しゃべってみて脳も大丈夫。ということであれば、一般的にはそれほど心配することはないと思います。怖い病気からきているめまいだとしても、その場ですぐ亡くなるということはまれですから、まず落ち着いて病院に来られるのがいいと思います。よく逆に「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ。」と走り回っている間に不安がつのって、玄関の角に頭をぶつけて血を出したりする方が大変だと思いますので、落ち着いて病院に来てください。

実際患者さんがかかられた脳の病気というのは、比較的頻繁にあるのでは循環系の病気です。実際、脳梗塞になってしまった方の例をお見せしますが、小脳やめまいを一番起こしやすい脳幹部のあたりで広く脳梗塞を起こしてしまった症例です。椎骨動脈と言って首の骨、椎骨の中をくねくね通っている動脈で、それが年をとりますと背骨が曲がるように椎骨がずれてきます。ずれてくると椎骨動脈は狭窄してめまいを起こしやすくなります。ある程度年齢をとられてくると、誰しも一回はめまいを経験しているということがいえます。この方はたまたま2本ある椎骨動脈のうち1本がとぎれました。このように怖いのは、めまいを起こしていることのほかに椎骨動脈の一本がとぎれていたり、めまいとは関係無いような大脳などの場所にも脳梗塞を起こしている場合があります。そうしますと、脳梗塞はめまいと非常に関連していることがあります。ところが脳梗塞から起こしているめまいというのは、非常に治りにくいのです。それは我々医者の間でも非常に悩んでいるところなのですが、脳梗塞になってしまったものを良くすることはできないのです。逆に言いますと、まだ脳梗塞になられていない方は今から予防的なことが必要になっていきます。それは食事の塩分を減らしたり、コレステロールを上げないようにしたりという内科的な話になりますので、ここでは紹介申し上げません。

頭の病気は置いておきまして、頭の病気でめまいになることはそんなにないものですから、一般的にあるめまいというのは耳から来ている病気が多いのです。耳から来ている病気というのは、実をいうとそんなに心配することはないのです。もっとも正直な話を申し上げますと、時々聴神経腫瘍という耳の聞こえと関連とする腫瘍があるのですが、その腫瘍を手術すると結果的に内耳神経を全部とる形になる時があります。すると最初のうちめまいがひどくても1、2ヶ月で治ってしまいます。それはどうしてかと言いますと、音を聞くには神経が1本しかありませんが、バランスを保つにはいろんな神経があり、耳の中の神経が1本無くなったとしても眼を開けていればバランスをとることができます。しゃがむことによってもバランスをとることができます。だから、耳からきているめまいについてはそれほど心配しなくても、他のセンサーが代理をしてくれ、オーソドックスな治療をしていても1、2ヶ月位で治るということが多く見られます。

それでは、耳からきているめまいにはどのようなものがあるか、具体的に説明していきたいと思います。

まず1つ目に、良性発作性頭位眩暈(めまい)症についてお話していきます。これは英語で略してBPPVといい、昔からある病気なのですが、数年来ものすごく注目されテレビでも特集を組んで取り上げられたりしています。この病気は、朝起きたときや夜寝たとき目がぐるぐる回るという症状があります。治りが早いために病名に良性とつきます。

たまに年配の方が起きてすぐではなく、しばらくしてからトイレに行き、トイレで倒れられることがあります。特に皆さんの場所柄、冬場は非常に寒さが厳しいですから、こういう場合は脳梗塞や脳障害の怖さがあります。さきほどのめまいとの違いを言いますと、良性発作性は布団から起きてすぐに目が回ります。しばらく経ってトイレまで行ける余裕がある方はBPPVとは異なります。トイレで倒れるのはどうしてかといえば、布団で温まっていた体をトイレに行くことで冷やしてしまい、瞬間的に血管が縮まり脳梗塞を起こしやすい理由をつくります。年配の方にはこういう症状を起こさないように2点気をつけて欲しいことがあります。1点はトイレの周りを暖めておくこと。トイレと布団の中の温度差を減らしておくことが大切になります。もう1点は、夜トイレに行くのが嫌だから夜は水分を摂らないという方が多いのですが、これは実は大きな間違いで、トイレに行ってもいいから水を飲んで欲しいと思います。よく考えると昼間は水を飲むのですが、夜6時に夕食を食べた後、次の朝の7時位までは12時間以上も何も水を摂らないのです。ただでさえ食事量が少ない年配の方が、12時間以上水分を摂らないと、翌日の明け方に脳梗塞になられる方が多いのはそのせいです。そばに水を置いておき、飲まれると良いと思います。どんな水分を摂ればいいのかとよく質問されますが、私自身はあまりお茶をお勧めしません。お茶は利尿作用があって、1杯のお茶を飲むと2杯のおしっこが出てしまいます。お茶を飲まれるのであれば、利尿作用があまり無い麦茶やカフェインの少ないものがいいと思います。一番良いのは、スポーツドリンクです。それは血液とほぼ同じ成分につくってあります。年配の方が倒れたりふらついたりしたら、まず1杯スポーツドリンクを飲んでみてください。スポーツドリンク1杯を飲むと点滴1本をしたのと同じ効果があるのです。

BPPVという病気について説明をしますと、これは立ち上がって1秒位したら目がぐるぐる回るタイプのめまいです。これはなぜ起きるかというと、半規管に原因があります。私達がぐるっと回ると半規管の中の水が重力に引っ張られてその場に留まろうとするため、水の動きは逆に動く形になります。コップを回すと中の水が渦ができるのと同じ現象で私達は右に回ると体は左に回れよという不思議な現象があるのです。

(実演)目を閉じて同じ場所に立って足踏みをしてみてください。そうすると、平衡感覚が良い人はなんとか同じ場所に立っていられます。次に目を閉じたまま5回右に回ってください。そして足踏みをすると・・・体が左へ少し回って行くのがわかります。体は半規管の中の水の流れに反応して動くのです。例えば電車に乗っているとします。電車が急ブレーキをかけ前方に傾いた時に、私達も同じ方向に傾くとしたら、そのままぱたんと倒れてしまいます。ところが、電車とは逆の方向に傾けば倒れないのです。それと全く同じような原理で、彼女もこっちに回ってもらっていたのを、体が左へ回っていけば真ん中に戻るという現象を与えてくれます。こういう不思議な臓器が耳の中にあります。これがぐるぐる回る半規管なのです。私達は回る時にこの半規管の水が回って、直線に動く時には耳石というものがあります。耳石は直線加速度を感じて、半規管は回転することを感じます。半規管と耳石は全然違うところにあるのですが、耳石という石は時々剥がれて落ちてくることがあります。これがBPPVという病気を作るのです。一般的には半規管は水のわずかな流れを感じる繊細な神経細胞なのに、ここに石が落ちてくるものですから、すごく激しいめまいを起こすという病気であるとわかっています。少し話が複雑になりますが、この石が落ちてくることが病気であると1970年にシュクネヒトという偉い先生が見つけました。長い間、私が医学生の時はずっとその説を信じていました。1980年位にDr.イプリ−というアメリカの偉い先生が、それは違うよ、この石は相手側から落ちてこちら側に溜まっているものだ、という説を唱えました。この説が証明されるのに20年かかり、やっと1999年の後半になって爆発的にこの説が多用されるようになりました。それは、この石を逆回転でこちら側に出してくれば病気が一日で治ってしまうという説なのです。これは最先端の学問で一番研究されていますが、難しいところで私たちも分からないところを残しながら頑張って研究しているところです。ここでわかっていただきたいのは、めまいは怖い病気ではなくてその日その場で治るめまいもあるということです。その典型が頭を振り回す小さい振動で治ってしまうという、びっくりする方法で、それでこの病気が爆発的にマスコミに取り上げられることになったのです。難しいことを簡単にやろうとする、コロンブスの卵の原理ですが、そこが非常に受けているのです。これがイプリー先生なのですが、私は個人的に先生と仲が良くて、来月(9月)にまたアメリカで一緒に学会で発表する予定です。彼の施設には半規管と同じように作ってある大きな器があり、これを回すと実際に人が動いた時に耳石がどのように動くかというのがわかるようになっています。

去年の9月にアメリカの一番大きい学会で、イプリー先生と私で発表したものについて話したいと思います。(VTR)ここに先程の椅子があります。夜寝た瞬間に、これだけ目がぐるぐるまわったら恐ろしいですよね。ということは、これと同じスピードの椅子に乗せられて回されてるのと全く同じ状態なんです。こんなに恐ろしいことはないです。これほど激しく恐ろしいめまいが、ころっと治ってしまう。だから、めまいの激しさと病気の大変さは全然比例しないということです。

次にメニエール病について話したいと思います。

メニエール病というのは、皆さんがあちこちの病院で、もしかして非常に頻繁に診断されている可能性があります。ところが、このメニエール病というのは、私は1回や2回では診断がつかないと思っています。内科の先生にメニエール病と言われた時には、その先生がもし過去に耳鼻科のトレーニングを受けられて聴力検査をやっているのであれば信頼できますが、そうでなければ厳密とは言えません。メニエール病は内耳の浮腫のためにめまい、耳鳴り、難聴が生じます。この浮腫に対して脱水剤で脱水すると良くなることがわかります。それと聴力が駄目になってる方がいますが、そうするとめまいだけが残っている場合があるのです。そんな時は耳の中に薬を入れて前庭神経細胞を障害するという治療もあります。もしくは、手術をすることもあります。この写真の先生がアメリカでメニエール病の手術をやられたアレンバーグ先生で、最近ある装置を発明しました。内耳の小さな窓にチューブをとりつけて、内耳に間接的に脱水剤を入れてやると、内耳の浮腫が治まるという治療方法を考えられたのです。これはアメリカ先端的な治療ですが、日本にはまだ入っていません。我々は耳の中に薬を入れても耳の管があり鼻に抜けてしまうので、この機械ですと24時間液を入れ替えることができるという新しい治療方法があります。これはめまいの治療がここまで進んでいるという話を少しさせていただきました。

話かわります。先程のアレンバーグ先生ですが、画家のゴッホは耳をそぎ落として精神科の病院に入れられて、最後は自殺するという激しい人生を過ごしたが、ゴッホはメニエール病だったという論文を書かれたのです。それに非常に感銘を受けました。ゴッホはうすうすめまいをおこしているのは耳だと気づいて耳をえぐったのではないか、というように考えられています。それで私がいつも教訓に考えているのは、我々医者が診断を間違えると、こういう天才の画家を1人犠牲にしてしまうという可能性があるということです。確かにゴッホは精神状態が悪かったのは悪かったらしいです。どうも私達のめまいをたくさん見てらっしゃる先生からお話を聞いても、めまいをいっぱい起こすと精神状態が悪くなってくるようであるということです。どうして精神状態が悪くなるかというと、以前ラジオでそういうテーマで話をしたことがありますが、めまいが起きると一番の問題は、この苦痛を人にわかってもらえないという辛さがあります。人に理解してもらえなくて、あの人おかしいんじゃないかと言われ続けているうちに、誰でもおかしくなってくるという気がします。けれど、めまいが精神状態を悪くしてるのか、精神状態が悪いからめまいを引き起こすのかという、問題点ができてきます。実はめまいというのは謎が多く、なかなか診断がつかないということが多いです。そこで最近年々感じるようになってきましたのは、私とは全然申し合わせもなく、三好先生が書かれた本にも出てきますが、そうこうしているうちに精神症状なのかめまいなのかわからない領域の病気があるというのを感じます。それをどう打開していったらいいのかと悩んでいた頃に、一冊のうれしい本と出会いました。フロイトという有名な精神科の先生がいまして、精神科の領域を開拓したといってもおかしくない先生です。そのフロイトの生涯が描かれた本です。フロイトは、気性の合わない上司の元で働いていた時にめまい体験をしたと本に書かれていました。嫌な相手と働いていると、どうもめまいがして、何度も繰り返す。実はフロイトは精神科の先生になる前に、神経内科の先生だったわけで、自分であちこち反射を調べて脳腫瘍でもないし、神経の病気でなく、身体的な原因でないことを確信していました。精神的な憂鬱や不安があったりするとめまいを起こす。めまいを起こすと憂鬱になり、憂鬱になるとまためまいを起こす。それでいつまで経っても治療が終わらなくなってしまう。耳鼻科の領域の中で咽喉頭異常感症の症状など精神症状がいっぱい出てくる疾患があるのです。めまいは代表的なものです。耳鳴りもその一つです。特に耳鳴りがすると言われる方の聴力検査をやると、何も症状が出ず聴力も全く問題ない方がいます。年を取れば難聴が当然起きてくるのですが、難聴の後にくるめまいを何とかしてくれと言われた方の中にも、どうもこの様子が当てはまっていく方がいます。

もう一つは、喉に物がひっかかっている、痒いと言う方が来る場合もあります。どうしたらいいかといえば、たぶんご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、一昨年前に当初、精神療法というのは耳鼻科でやらないとまずいということで、学会で集団療法を発表し、その年雑誌にピックアップされ掲載されました。精神的なことをケアしていかないと良くないと気付いて、次のようなことを始めました。
ここで皆さんのご理解を整理してもらうために、どうもめまいはややこしそうだ、しかしめまいの中には治るタイプもあるから、診断が必要。精神的なことも関係がありそうだ、ということがあります。

ここからのお話でご理解いただきたいのは、めまいは即ち精神状態が悪いとは考えてほしくないのです。おかしくはなりやすいのですが、めまいは頭のおかしい人がなる病気というのは100%違います。私達の間で、探っても探ってもどうも耳でもない頭でもない、なんだろうなといった時に、気持ち的なものではないかという風にもっていくのは悪い方法ではないと思います。不定愁訴と言ういろんな訴えがある方、実は精神的な絡みで来る患者さんであるかチェックするのに簡単な方法があります。本当に困っているのはめまいだけだろうか、この他にいらいらしたり、心臓が急に慌てたり止まった感じがして、心電図をとると正常であったり、夜寝ようと思うと足が冷えてきたり、そういう症状がチェック項目の中で上から下まで10個ぐらいあったら、それは心の中の軸にある部分が狂ってきているのではないかと思います。不定愁訴の病気には、いろんな精神的タイプがあります。私達は時々あえて用いてチェックする時があります。アンケートである程度の体と精神のバランスがわかることもあるからです。

次に薬についてお話ししていきたいと思います。具体的にこういう薬を使っていくといいよという話をさせていただきます。

少し安定剤系のものを使うと、どんなめまいの場合でも、楽になります。めまいというのはぐるぐる動きがあると、誰でも不安になります。患者さんがずっとめまいがとれなくなる理由の一つに、最初の診断がうまくいかなかった為に不安が続いてしまうことがあるのです。ただ、少し不安をとってあげることから始めると非常に良くなる場合があります。一番初期の頃には私はどうしてるかというと、安定剤を出しています。安定剤は精神安定剤と「精神」という言葉がつくものですから、一般的に患者さんが嫌がることがあります。しかしこれは上手に使うと実は非常に良く働きます。副作用などを心配されますが、皆さんもっと心配されるのが、精神安定剤を飲んでいたらそれなしには眠れなくなるのではということですが、今言ったような飲み方をされれば大丈夫です。場合によっては、安定剤の中に肩こりをとってくれる場合があります。めまいが起きて、訳がわからなくなってくると、怖くて筋肉が緊張することで肩こりが起こり、めまいの患者さんには肩こりが絡まってきます。めまいがとれないと言いながら、いろんなそれに絡まってくる症状を気にしている場合がありますから、少し肩こりを和らげると、めまいがとれましたと言われる方もいらっしゃいます。ただ、安定剤には一つ問題点がありまして、うまく使わないと眠気が強く、うとうとしてしまいます。安定剤には1時間効くものから190時間効くものまであるのです。実際、内科の先生から、めまいの薬を変えたと言われたけれども、それからめまいがひどくなったと言う方がいた話を聞き、その薬を見せてもらいました。それは122時間効くもので、1錠飲めば下手すると1週間効いているのです。最初めまいが強い時には効く時間の短いものから始めるといいのです。少しずつ症状がとれてきたら、時間の長いものに徐々に切り替えてゆけば、中毒症状にならず、さりげなく症状をとることができます。安定剤の中には、筋弛緩作用というものがあって、これは肩こりをとるものなど、いろいろあります。

安定剤はどうしても睡眠作用が強いので、どうしたらいいかということについて、次に抗うつ剤の話をしたいと思います。抗うつ剤というと、皆さんピリピリして私はうつじゃない、と言いたくなるかもしれませんが、これは頑なに拒む必要は全くありません。うつであることは全く恥ずかしいことではないのです。髪の毛が白くなるように、人間年をとればうつ傾向になりやすいのです。私達の頭の中で考え事をする神経は、年とともに少なくなります。だから、抗うつ剤というのは名前を聞くと怖いのですが、そうではなく、悪い方へ悪い方へ考えていくのを、良い方へ考えてくれる要素を増やしてくれると考えればいいのです。しかし、この抗うつ剤というのは、昔非常に副作用が強くて1錠飲んだらどうにもならないということはありました。それが、今では非常に副作用が少ない抗うつ剤が出ています。ところが、薬によっては年配の方があまり長く飲むと、パーキンソン病のように手が震えたり、逆に震えが出てきてめまいがひどくなったということもありますから、それも手加減しなくてはいけません。それから、若いお嬢さんだと、胸から分泌物が出たりするときがあります。薬から正常の体に戻してあげるのが私の考えていることですから、それには患者さんの努力も必要であり、私が患者さんに使う安定剤は短いものから長いものに変えていく。薬の他、時間をかけてカウンセリングをする場合もあります。患者さんと話すことは私達の医療を助けてくれますので、患者さんにも沢山話してくださるようにお願いしたいと思います。実はめまいというのは、そんなにすっきりわかるものでもないのですが、頑張れば最終的に治るものだと思います。

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