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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集




鼻血が出たとき、どうすればいいの?

はじめに

あれれれ、ぼくはどうしたの?
ぼくの鼻から鼻血がポタリ。ぼくもびっくり、お母さんは大慌て(図1)
落ち着きが、そういうときこそ重要です。
焦ってみんなで大騒ぎ、ぼくもなんだか胸ドキドキ、なかなか鼻血が止まらない。
そんな混乱おこさぬように。

● 解剖

鼻は左右に仕切られていて、真ん中の仕切りに相当する壁を鼻中隔と称します。

この鼻中隔は骨で構成されている部分と、軟骨により出来ている部分とに分けられますが、鼻入口部すぐの軟骨部には鼻内の血管の密集している場所があります。

この部分をキーセルバッハ部位(Locus Kiesselbachi)とよぶのですが(図2)、血管の密集地だけにちょっとした刺激で傷つきやすく、出血しがちな部位なのです。右上にあります写真は、このキーセルバッハに見られた血管の怒張(ふくれあがる)を示していますが、いかにももろく、そこから血が出るのも無理がなさそうです。

実際、高血圧などの背景疾患がとくに見当らない鼻血では、そのほとんどがこのキーセルバッハ部位からの出血であることがわかっています。

● 病態

子どもの鼻血に多いのは本態性という言い方をしますが、とくに背景に大きな病気の存在しない鼻血です。

とはいえ鼻に炎症があったり、血液の病気であったりして鼻血となる事もゼロではありません。あまり繰り返すようでしたら、耳鼻科のお医者さんに行って一度は見てもらうほうがよいでしょう。

鼻の炎症として、いわゆる洟垂れ小僧さん(図3)となってしまう慢性副鼻腔炎(畜膿症)や、花粉症などのアレルギー性鼻炎が、鼻血の原因となりやすいものです。

副鼻腔炎では、図3のように鼻汁が鼻の外まで垂れて出てきますからついそででそれをぬぐい、そでがテカテカに光ってしまうことになります。その際に、鼻入口部粘膜を強くこすることもありますから、キーセルバッハ部位の血管を傷つけて出血する事がことがあります。

アレルギー性鼻炎においては、鼻がかゆいために子どもは無意識に顔をゆがめたり手でこすったりしがち(図4)で、このときにキーセルバッハ部位を刺激するわけです。

ダニによるアレルギーのある子どもなどでは、夜眠ってしまう最中に寝具内で繁殖したダニに反応し、鼻がむずがゆくなることがあるようです。無意識に指を鼻の穴の中に突っ込んでほじり、枕を血だらけにしたというエピソードを時折耳にします。

なお子どもの年令においては、鼻血は女子よりも男子に多いことがわかっており、これはこの年齢層においてはアレルギーが女子より男子に多発することと関係するようです。

血液疾患による鼻血では、鼻血以外に熱が出たり、全身症状が目立ちますので、おおよその区別はつくものです。

● 応急処置

子どもの鼻血は、ほとんどがキーセルバッハ部位からのそれですので、この場所に対する応急処置が重要です(図5)。勘違いして鼻の固い部分を押さえないよう、落ち着いて対処してください。

子どもは決してあおむけに寝かせたりせず、座位のまま軽く俯いた状態で処置します。あおむけに子どもを寝かせると血液がのどに下がり、胃に入って吐き気をもよおすことがおおい為です。

鼻血だけでもいら立つのに、胃液のためにどす黒くなった血液を子どもが吐くと、傍らで見ている親の焦りが募ります。その焦りが子どもに伝わり、子どもも興奮してしまうと鼻血は止まりにくくなります。

血液嘔吐の場合でなく、鼻血の為に慌てることはあって、血圧上昇から出血がさらにひどくなることが推測できます。こんなときには、鼻根部えを冷やして気分を落ち着かせることも一つの方法です。

オキシドールと綿もしくはガーゼなどが手元にあるようでしたら、綿などにオキシドールを含ませ軽く絞ります。その綿を鼻入口部から鼻中隔にあてるように挿入し、鼻の外から指で圧迫すると一層効果的です。オキシドールは血液に触れると泡を発生しますが、この泡にはキーセルバッハ部位の損傷血液をふさぐ作用があり、有用です。

鼻血の際に首の後ろをたたく人もいますが、ビールの栓を抜く前に栓抜きでキャップをたたく習慣みたいなもので、どのような鼻血に効くのか了解しかねる面があります。

● 耳鼻科における治療法

応急処置で充分止血できない場合、耳鼻科できちんと止血しなければなりません。

それに、鼻血の背景になんらかの病気が潜んでいる可能性についても、きちんと調べて対処しなければなりません。

耳鼻科では鼻血の人に対して、血液検査と出血時間の検査、それにアレルギー学的検査を行い、鼻のレントゲン写真を撮ります。

こうした精密検査と並行して、キーセルバッハ部位の血管に対する止血処置を行います。

薬液を塗布して怒張血管を処理するほかに、図6のような電気焼灼(しょうしゃく)以外に、しつこい出血に対してガーゼ挿入を行うことも、よく行われます。

出血部位がキーセルバッハ部位に限局している場合、ガーゼ挿入は出血部位を的確に圧迫するだけでも効果が上がりますが、出血点不明の鼻出血もときに見られます。そんな場合には、べロックのタンボンと称し鼻腔全体にガーゼを何枚も挿入して完全にふたをしてしまう手法を、選択せざるを得ないこともあります。

そして止血剤と呼ばれる、血管強化剤や血管凝固剤を点滴や内服を行って、その効果を確認することになります。

おわりに

ぼくの鼻から鼻血がポタリ。ぼくもびっくり、お母さんは大慌て。
そんなときこそ落ち着きが、いちばん大切です。
ここではそんな鼻血に対する心構えと、応急処置について触れました。
鼻血が出たら、慌てず、騒がず、落ち着いて手当てをしましょう。

 

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