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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

小国町におけるアレルギー予防の試み、特にスギ花粉症について
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小国町におけるアレルギー予防の試み、特にスギ花粉症について
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写真:講演会場にて
講演会場にて、手前より上田伸男先生(宇大)、鈴木淳一先生(日本ヒアリングインターナショナル)、今野昭義先生(元千葉大)、三好
 
写真:三好の開会あいさつ
三好の開会あいさつ
座長:ただ今から白川太郎先生のご講演を承りたいと思います。私は今ご紹介いただきましたように、2年前に千葉大学を定年退職してから郡山の病院で耳鼻咽喉科医として仕事をしております今野でございます。

白川先生はこのような会でお話をお伺いできるとは思ったこともないような、世界的に大変有名な先生でございます。アレルギーの会でありましたらば白川先生のご紹介なんか全く必要なくて、白川先生を知らなかったら偽者だと言われるような先生でございます。先生は、この経歴を見せていただきましても、まだ京都大学を卒業して20数年しか経っていない若い先生なんですけれども、世界的にたいへん有名な仕事をいくつかなさっております。私が最初に、だいぶ前の話ですけれども、先生のお仕事に感激したのは、ひとつはアレルギーという病気が発症するのに、遺伝子の異常がどのようにして関わってくるのか、それを世界で初めて見つけた先生なんですね。あともうひとつは、現在先ほどの高岡先生のお仕事とか三好先生のお仕事で、抗原であるダニとかスギというのは非常に大事で、それが増えてることが現在アレルギーの病気が増えてることにあるんだ、それは勿論当然なんですけれども、それ以外にわれわれの体が、特にわれわれの体の中のリンパ球という細胞がその性質を変えてるんだと考えられております。その原因として、かつては感染症が非常に重要で、それと戦うためにはわれわれの体の中のリンパ球が一生懸命頑張ったんだけれども、感染症の重要性が低くなったためにリンパ球が今度それ以外のいろんな抗原といわれる物質に作用するためにアレルギー疾患が増えているんだ、そう現在考えられております。その考えの基になったといいますか、そのデータをまた白川先生が出しておられまして、これもだいぶ前なんですけれども、ツベルクリン反応が陽性の方、体の中に結核菌が入った、結核菌の刺激を受けた方ですね、その方と受けない方でスギ花粉症の患者さんのアレルギーの比率が違うんだ、ですから感染症にかからなくなったことがスギ花粉症の増加に関わるんじゃないかと、現在一般的に考えられているその背景となるような仕事をなさった先生でございます。

先生、いろんな称号を受けていらっしゃいますし、また京都大学の教授のほかに英国のウェールズの大学の教授をなさったり、南京医科大学の教授をなさっていろいろほんとに忙しい先生なんですね。あとまた現在私、厚生労働省のかなりの研究費用、いろんな研究者に分けて研究してもらっているんですが、その業績を評価する審査員をやらせていただいているんですけれども、おそらく白川先生はアレルギーの研究の中で日本でいちばんたくさんの研究費用、厚生省からもらって研究している方だと私は思っております。

ま、私があまり無駄口をたたいてもあれなんで、白川先生さっそくよろしくお願いいたします。

―――― 拍手 ――――

講師:京都大学の白川です。残念ながら最後のところだけは事実ではございませんでね。高岡先生は30周年だそうですが、私まだ30年経ってないのでもう少し頑張りたいと思いますけれども。きょうは小国町における予防の試みということでお話をさせていただきますが、私大法螺をふくのが大好きな人間でございますので、きょうも徹底的にやろうと思ったら、その関係者がずらっとそこにいるということでございますので、残念ながら嘘はつけないということで、慎重に話をすることにしたいと思います。スライドお願いします。


ただ今ご紹介ありましたように、アレルギーの本態とはなにかということにつきまして、ほぼ大体現在の時点で皆さんがそうだねと言ってることがありまして、それは体の中の血液の中には血の色をするための赤血球、これは酸素を運んでおりますね。もうひとつは白血球というのがございまして、その白血球にもいろいろな役割を持った細胞がいっぱいおります。その中のリンパ球というのがございまして、これはほかの白血球にこういう仕事をしろということを命令するものがございます。そのリンパ球の中にも2種類ございまして、癌やウィルスが入ってきた細胞を直接殺すためのリンパ球と、ほかのリンパ球が仕事をしやすくするためにそれを助けてやるリンパ球というのがございます。これをヘルパー細胞といいますけども、そのヘルパー細胞にさらにまたややこしいことに2種類ございまして、ここに書いておりますけれどもTヘルパー細胞Thですね。1型と2型がある。アレルギーの人では喘息の方の肺を調べさせていただくと、この2型の細胞が1型の細胞よりはるかに強い能力を持っていたり数も多くなっているということが分かりまして、これこそがアレルギーの本態であるということが分かったわけです。すなわち、こちらの細胞が優勢になりますと、先ほどから高岡先生がご説明になったダニに反応するIgEという体の中を流れている免疫グロブリンが非常に強く産生されまして、それが引き金となってアレルギー反応がいろいろ起こる、こういうことになっています。従いましてアレルギーの患者さんがどうしてアレルギーになるかという原因は、これが非常に強くなるんだ、そのために遺伝的な要因、すなわち今まで体質と呼ばれてきたものと、それから皆さんが住んでおられる環境、そして皆さんがどのようなライフスタイルを取っているか、タバコを吸うかお酒を飲むか、ストレスがどのくらいあるか、どのような家に住んでいるか、田舎にいるか、カーペットがあるかないか、そういうようなことが合わさりましてこういうことが起こるということが分かったわけですね。

そこでわれわれ研究者としましてはアレルギーを予防しようということになりますと、遺伝子を変えるのはなかなか不可能です。何十年先か、あるいは百年先かに、こういう病気の遺伝子を変えるということは夢物語、ブラックジャックの世界で言えば可能かもしれませんが、現在私が思うにはこれはとても皆さんが目の黒いうちは無理だし私の目の黒いうちも無理だと思っております。従いまして、予防には環境を変えるしか方法がない。

いま高岡先生が、例えば徹底的にダニを駆除することによってかなりの数、半分近くの患者さんの症状を和らげることが出来る、極端に効く場合はほとんど症状を完全にフリーにすることが出来るというところまでいけるということですね。 ここにある環境・ライフスタイル要因、じゃあどういうものが原因であるかということで、先ほど高岡先生がおっしゃった住居が変わって非常に密閉空間になったのでダニが増えた、だからそれを徹底的に直せばいいということでやったら予防できた、これはひとつですね。

それから大気汚染がひどくなってる、従って街を離れて田舎へ移ったら確かによくなった、こういうのもあります。それから食事が変わってきた、昔の日本食をやめてファーストフードを食うようになったのでそうなった、じゃあ食事を元に戻してみたらそれがよくなった。そういう症例がいろいろあります。われわれがその中でいちばん今まで注目しているのは…。

ここに書いてある衛生仮説というのでありまして、これは今を去ること約十数年前にロンドン大学の教授だったストラッチャン先生というのが、アレルギーの発症しておる子どもさんの家族をよく見ましたところ、非常に面白いことに兄弟のたくさんいる子どもさんの家ほどアレルギーが少ないということに気づいたわけですね。これはなにを意味するかというと、つまり兄弟間で、要するにお互いに風邪をうつし合いっこしたり、そういう感染症をうつし合いっこしてるので、うつってそのためにもしかしたらアレルギーが出なくなっているのではないかという、そういうことなんですね。だからそれを衛生仮説といいまして、反って逆に衛生状態が悪いほうがアレルギーが少ないんだ、そういう説を出したんですね。

つまり赤ん坊がいて、いまから50年前ぐらいにはこの赤いのがばい菌だとしますと、体の中にばい菌がいっぱいいた。実はさっき説明しませんでしたけれど、これを殺すのに非常に重要な役割を担っているのが先ほど紹介しましたTh1細胞という細胞でして、この細胞の助けがないとこういう菌がうまく処理出来ないということですね。従って昔は非常にこのTh1細胞というのが活躍する場があった。ところが今は体の中にこのばい菌がポチョポチョとしか入ってこないので、こういう細胞が使われなくなってしまった。そこでその相方であるところの2型のTh2細胞というのが勢力を増大してきて大きい顔を始めた。で、この細胞の働きによってIgE抗体とかいろいろなものが作られて、それで子どもさんがアレルギーになってしまうんだ。こういう仮説だということになります。これにわれわれはある程度関わってきたわけです。これはある程度正しいということが現時点では証明されています。
写真:座長の今野先生と高橋先生   写真:佐々木秘書
座長の今野先生と高橋先生   座長の高橋先生を紹介する佐々木秘書
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