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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

アレルギーと乳酸菌製剤「食べて治そう、花粉症」

百年の恋も醒める病気

花粉症を食べ物で治す。

一言で言うのは簡単ですが、そんな夢みたいなことが現実に可能なのでしょうか?

でも、そもそも花粉症はじめアレルギーって何なのでしょう。ここでは私たち耳鼻科の扱うスギ花粉症など、アレルギー性鼻炎を話題の中心にして考えてみます。

この花粉症には、実は「百年の恋も醒める病気」というあだ名が付いています。なぜならくしゃみ・鼻水・鼻づまりがひどく、涙もぽろぽろ。かゆいあまりに目や鼻をこすって目蓋も腫れ上がり、まるで怪談みたいです。どんな美男美女もこの発作に襲われたらひとたまりもありません。素敵な恋など、とうてい語れなくなります。まさに、百年の恋も醒めてしまいます。そんな有害そのものと思われる花粉症の発作ですが、これらの症状は本当に有害無益なのでしょうか。

花粉やダニによる鼻のアレルギー反応を、アレルギー性鼻炎と呼び、花粉だけが原因の場合、花粉症と称します。そしてその原因物質である花粉などは、人体にとっていわば異物であり、役に立たない物質です。それら異物は、理想を言えばあまり人体に入ってほしくないのが正直なところです。

しかし人体は、とても賢く出来ています。こうした異物が鼻の穴から人体に入ろうとすると、ちゃんと防御するシステムが作動します。それが鼻の場合には、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりとなって現れます。なぜならくしゃみは、爆発的に異物を鼻の粘膜上から体外へ吹き飛ばしてしまう役割を担っています。鼻みずも鼻づまりも、同じく異物が鼻より体内へ侵入しないよう、防御的な役割を果たしています。本来はこの発作、人体にとって有益な反応だったのかもしれません。

原因は免疫機構の過剰防衛

とはいえ、こうした本来有益な防御反応も、過ぎたるは及ばざるが如し、です。逆に人体に過剰なまでの負担がかかってします。それが鼻の場合には、百年の恋を一夜にして醒めさせる、そんな悪さをするわけです。

こうやって考えてみるとアレルギーとは、人体を本来なら守るべき機構が、過剰防衛のために逆に人体に害を与えている、そんな病態だと理解することもできます。

こうした過剰防衛反応には何か特別な意味があるのでしょうか。

人類は自己の生存と種族の保存のために、多大な労力を費やしてきました。長い間、この目的を果たすのに最大の敵は感染症でした。ことに食物が豊富でなく人類が飢えに直面していた時代には、人体内の防衛つまり免疫機構も充分な力を発揮することができず、多くの人間が感染症で死にました。

それに対し近年の日本は、平均寿命が大幅に長くなり長寿国となりました。その原因である乳児死亡率の激減は、衛生環境の改善によって感染源となる病原菌が減少し、栄養の改善によって人体の免疫機能が高まったため、と推測されています。つまり人間の体は、防衛能力が高くなったと表現できるのです。

解決には食生活への配慮が不可欠

繰り返しますが、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりの花粉症症状は、本来ならば正当な防衛反応です。しかし現代人ではこの機能が過剰となっているために、いわば過剰防衛の状況にあります。

人間でもなんらかの危害を加えられそうになったとき、相手を押し戻すのは正当防衛です。けれどもその人間が自分の知らないうちに、旺盛な体力を持つようになってしまったとしたら、相手を押し戻すつもりで無意識のまま危害を加えてしまうことだって、考えられます。ですから正当な人間の防衛努力も、やり過ぎると過剰防衛と認定され逮捕されたり、自身に不利な結末を迎えることとなります。

鼻粘膜もそうです。本来ならば病原菌やウイルスなど、人体に害を及ぼす異物の鼻から体内への侵入を阻止するべき防衛反応は、さほど人体の防御力が強くない間は正当防衛に終始します。ところが人体が、食生活の変貌つまり動物性脂肪の摂取量増加などにより旺盛な体力を有するようになっていたとしたら、鼻粘膜は過剰防衛に走るかもしれません。

皮肉というべきでしょう。衛生状況の改善に伴い、有史以来人類の宿敵であった病原菌やウイルスはその数を減じ、人体の免疫能力は敵を見失い力を持て余しています。その鼻粘膜に花粉など無害な物質が接触したとしても、それを阻止すべく力をふるう過剰防衛反応によって、人間は自身にまで損傷を与えるに違いありません。

アレルギー反応はこうやって考えてみると、少なくとも花粉症など典型的な抗原抗体反応については、人体の過剰防衛反応であり、本来は自己を守るべき機構が暴走して自身に危害を加えている状態であると、理解することができます。そしてとても重要なことはこれら人体の過剰反応が、食生活の変化によってもたらされた可能性が高いことです。

そのような思考過程から、アレルギーの解決には食生活への配慮が不可欠であることは、充分に納得できます。

紙面の都合上、作用機序について詳細なご説明は難しいのですが、このような観点から乳酸菌製剤の摂取がアレルギー治療に期待されています。これら乳酸菌製剤の中でも、私たちが臨床応用を試みているLFK製剤はその効果が実際に立証されており、日常の食生活に取り入れて花粉症発作を鎮めることができます。

「食べて治そう、花粉症」

この言葉の真の意味を、一人でも多くの方に味わって頂けることを、念じています。

関連リンク: 用語集 花粉症
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