3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集


クリニックの外観
三好耳鼻咽喉科クリニック
三好彰院長

開業医の専門性は年々高くなり、その質は大病院に引けをとらなくなっている。しかし、一方で治療法の先端性という点では、権威主義の医学界において、開業医の意見はないがしろにされがちだ。三好耳鼻咽喉科クリニックでは積極的に情報発信することで、その正当性を国民に問いかけている。

ガラス越しのテレビでアニメを放送
新興住宅地で地域住民にアピール

「医学の研究は日々進歩しています。そして、医学の研究は人間の健康を守ることを目的とされているのですから、その研究成果は国民に向けて広く、正しく還元されるべきなのです」

 と語る、三好耳鼻咽喉科クリニック・三好彰院長は、『まんが みみ・はな・のどシリーズ』と冠するマンガ単行本の発行を続けている。最先端の医学研究は、一般的に大学病院主導でなされ、その研究結果が「通説」として世の中に知らしめられることが多い。

 しかし、それらのなかには権威や力関係によって歪曲化された「真実」が含まれていることを三好院長は危惧する。最先端の正しい医学情報をさまざまな形で情報発信する活動の裏では、常に新しい知識を入手しようとする熱意が行動となって表れている。

 仙台市街地で三代続く耳鼻科クリニックの後継者であった三好院長は、ともに働いていた父の死を契機に、クリニックの移転を決めた。場所は郊外の泉区。日本でも有数の人口の伸びが期待される地域だった。とはいえ、現在では市営地下鉄の終着駅・泉中央駅から徒歩五分程度の立地であるが、移転当時の一九九二年にはまだ地下鉄は開通していない。区画整理も終わっていなかったため、土地を購入することもできなかった。そのため、テナント開業としての移転を余儀なくされた。診療所での利用を想定されていないそのビルの一階は、壁一面がガラス張りにされていた。

 現在も残るそのテナントには美容室が入っているが、およそクリニックのイメージではない。しかし、三好院長はその建物の特徴を逆手に取った。

アニメや風船など遊び心のあふれた待合い
中待合いにもぬいぐるみがずらりと並ぶ

「耳鼻科の患者さんの中心は、やはり子供です。また、街作りが途上にあったこの地域に新たなクリニックができたことを広く知ってもらう必要がありました。そこでガラス越しにテレビを四台外向きに配置して、アニメを流し続けたのです」(三好院長)

 その効果はてきめんに現れた。通りを行きかう親子連れの子供たちが次々とクリニックの前で足を止める。「なんだろう」と思っていた親たちも、そこが耳鼻科クリニックであることを知ると、子供が病気になった時に訪れてくれるようになった。三好院長は、こうした地域住民へ認知を広げるための工夫をさまざまに実践している。クリニックのロゴマークは「3443(みよしさん)」という数字でデザインされ、カジュアルで親しみやすい。そのロゴをプリントしたシールを診療時に子供に配布している。

「子供はあちこちにシールを貼ってくれますので、よいPRになってくれると思います」(三好院長)

 さらにこのロゴマークが入った風船を待合いに置き、子供たちは自由にもって帰ることができる。風船をもって町を歩く子供たちは、まさに歩く広告塔だ。

「元々この町に耳鼻科がなかったこともあり、初年度から順調に患者さんが集まってくれました。1年目の新患が7700名ほどあったと思います。」(三好院長)

 新しい街作りのなかで、着実に存在感を築き上げ、患者数を増やしていった同クリニックは、2000年2月に隣接する土地を購入し、新築移転して新たなスタートをきることになる。

子供を重視した遊び心あふれる院内
花粉症・いびきの最先端治療を提供
治療椅子の脇には子供に渡すアメを用意
レーザー治療器とソムノプラスティ
手術室にもアニメを流すモニタが

 新築したクリニックの内装は、夫人と相談しながら考案したという。

「子供が怖がらないことを最優先にして考えました」(三好院長)

 という言葉どおり、待合いはパステルカラーに彩られている。大きな液晶テレビからはアニメが流し続けられ、前出の風船も飾られている。受付には、子供が顔を覗かせることのできる丈の低いカウンターも設けられ、子供の目線へのこだわりが感じられた。整然としたソファや長いすが並べられているわけでもなく、カラフルで低めのソファがランダムに配置された作りは、一般的な待合いというより、病院の待合いの一角に設けられた「プレイルーム」のような印象だ。

 反対に、こうした子供向けのにぎやかな雰囲気が苦手な成人患者のために、ガラス壁で仕切られた落ち着いたスペースが用意されている。同クリニックの主役はあくまでも子供だというコンセプトだろう。

 「診療の基本方針は、『アメとアニメとアメニティ』です」(三好院長)

 語呂合わせのような診療方針を笑顔で話す三好院長だが、その狙いは明確であり、理にもかなっている。子供の不安を取り除くことだ。診察室に入ってきた子供がイスに座るとすかさずキャンディを渡すという。

「子供の患者は泣かせたらおしまいです。医者を目の前にして不安になるより先にアメを渡してあげるのです」(三好院長)

 アニメについては、テナントの時代から大きな効果をもたらしてきたが、新クリニックでは、待合い、診察室、処置室、さらには手術室にまでテレビを設置している。待合いでアニメを見ていた子供たちが、診察、処置と場所を変えてもその続きが見続けられるということだ。

 そして、アメニティに関しては子供が和むことのできる色合いのカラフルさや開放感だけではない。待合いや中待合いには数え切れないほどのぬいぐるみが並べられている。感染患者用の隔離待合室も設置するなど院内の衛生環境にも細やかな配慮が感じられる。

 現在、1日平均の外来患者数は約100人。その3分の1が新患(再来新患も含む)というのも、郊外住宅地型のクリニックとしては珍しいだろう。

 「泉区で開業して13年間、コンスタントに1日20人の新患が来ます。もちろん、周辺住民だけではなく、遠くからは米子から十数時間かけてみえた患者さんもいました」(三好院長)

 遠方から訪れる患者のほとんどが、三好院長の出版物や同クリニックのホームページをみて関心をもってくれたという。三好院長の情報発信については、次項で述べるが、時間と金をかけてまで仙台にやってくるのは、このクリニックに特別な技術があり、それを認めたからに他ならない。

 なかでも、三好院長自らがあげたのが、花粉症のレーザー治療といびきの高周波治療だ。

「いびきの治療には『ソムノプラスティ』という高周波機器を使用しています。国内ではまだ10台程度しか導入されていないでしょう」(三好院長)

 一方の花粉症治療においても、レーザーとソムノプラスティを併用することが有用と考えている。

「技術は修練すれば身につけることができます。しかし、それが効果をもたらすには、なぜその治療が有用かを理解し、説明できることが重要です。研究を主とするいわゆる権威の方々は基礎研究のみであることが多く、一方の臨床医はメカニズムを理解していないことが多いのです」(三好院長)

チベット・中国でアレルギー調査
情報発信のための『まんが』も刊行
愛しのダニ・ボーイ
まんが
『みみ・はな・のどシリーズ最新刊』
コミックの内容は
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 三好耳鼻咽喉科クリニックのホームページは、「3443(みよしさん)通信」というタイトルで毎月のように更新されている。このホームページでは、同クリニックの診療時間や設備など、多くの医療機関ホームページの主要項目となるべき要素が脇役に追いやられている。中心は、花粉症を主体とする疾病に関した詳細かつ最新の情報だ。三好院長が自らの研究や調査で結論づけた疾病のメカニズム、有効な治療方法が丁寧に記されている。

 その一方で、三好院長の考え方に賛同する人たちと手を組み、一九九五年から『まんが みみ・はな・のどシリーズ』を出版している。今年1月に刊行された最新作「愛しのダニ・ボーイ」では、小学5年生の少年を主人公にダニアレルギーを取り上げた。ここでも、ダニアレルギーの発症原因と治療のメカニズムをわかりやすく紹介するとともに、解説部分では、花粉症に関する発症の歴史的背景や最新の情報を詳述している。

「私が積極的に出版に取り組んでいるのは、もちろん正しい情報を広く届けたいという思いがありますが、自分の名前を公に出し続けていたいという気持ちもあるのです。疾病に関する権威者と対立する可能性をはらんでいますから、生き残るために名前を出しておくことが不可欠なのです」(三好院長)

 権威主義の根強い医学界において、開業医の立場から意見を戦わせていくためには、それを裏づける知識と経験が必要だ。最先端の情報を入手し、自らも研究を進める姿勢を、三好院長は怠らない。2003年には中国に、昨年はチベットにまでアレルギーの調査に赴いた。その様子は同クリニックのホームページで、動画形式でみることができる(http://www.3443.or.jpより)。

 機能の分化が進められるだけに、求められる医療の質は、提供主体の種別に差がなくなっている。プライマリケアも含めた専門性の高さこそ、あらゆる医療機関の最大の武器となる。

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