3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
 
突発性の難聴と診断されました。治るでしょうか。
 
回答者・三好 彰(医師)
三好耳鼻咽喉科クリニック 院長
仙台市泉区泉中央1-34-1/TEL. 022-374-3443
http://www.3443.or.jp


質問

1年ほど前、朝起きるとめまいがして左耳が聞こえなくなっていました。当日は立ち上がれないほどのめまいだったので、3日後に耳鼻咽喉科に行きました。そのさい、突発性難聴と診断されました。当時は血圧が高く、自宅で長時間座って仕事をしていました。それ以来、左耳は聞こえにくくなっています。右耳は聞こえますが、両耳とも高い音が聞こえません。また、当時は耳鳴りがしていましたが、血圧が下がるとともに今は治まっています。難聴になるともう治らないと聞きました。今はだいぶ慣れてきましたが、もしも改善する方法があるなら教えてください。補聴器は使っていません。

回答

ある日突然、耳の神経の聞こえが悪くなる病気があって、突発性難聴と呼ばれます。原因はよくわかっていないのですが、たとえば内耳の血管の血栓などが背景に存在するのではなかろうかと、推測されています。

聞こえの悪化とともに、耳鳴りやめまいを伴うことも少なくありません。これは、内耳には音を感じる蝸牛と、めまいを感じる三半規管など前庭が存在するためで、内耳病変の広がりの程度によって侵される機能に差が生じることに関連します。

突発性難聴では、非常に大切なことが2つあります。1つは、症状が出現したら1週間以内に治療を開始しないと、治療効果が期待しづらいことです。もう1つは、突発性難聴と同じような急性難聴(急激に聞こえの悪くなること)を生じる病気の中に、聴神経腫瘍のような脳腫瘍の一種が紛れ込んでいることがあることです。その検査は、一度受けておかれることをお勧めします。

突発性難聴の治療は、標準的にはステロイドやビタミン剤、そして循環改善剤の投与が主です。それに高圧酸素治療といって、酸素室の中に入って高気圧状態の酸素を吸入する治療法があります。

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いずれの治療法も、先に述べたように発症後1週間以内に開始しないと、治療効果が上がりにくいので気をつけてください。

なぜ1週間以内でないと効果が出ないのか、内耳血管の血栓が原因の場合には、次のように説明されています。つまり、体の中のどの組織でも同じなのですが、組織へ酸素を送り込んでいる血管が詰まってしまうと、組織は酸欠状態となります。その結果、組織は正常に働かなくなり、酸欠が長引くと壊死に陥ります。そして、その後から酸素が送り届けられても、元のように働かなくなってしまいます。

ですから、そうなってしまう以前に、内耳組織に酸素が十分届くよう努力せねばなりません。ステロイドやビタミン剤は、虚血状態の内耳組織を保護する役割を果たしますし、循環改善剤は内耳血流を改善させます。高圧酸素療法では、高濃度の酸素を吸入させてやることにより、虚血状態の内耳に回復に必要なだけの酸素を供給することができます。

ご質問の方の場合、耳鼻咽喉科での治療ではめまいは消失し、聴力低下が残存しているようです。残念ですが、固定してしまった難聴は治療しづらく、効果も期待しにくいのが現状です。



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