3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
 

岩手県の情報雑誌『家と人。16号』 に掲載されました。

 
みみ・はな・のどの、おはなし。 1

どこまでも澄み切った、飽くまで青い透明な空。降りそそぐ強い太陽の輝きを、まるで肌に感じさせない軽やかな空気が、わたしたちを包みます。

かつてダライ・ラマの住んでいたポタラ宮が、水面に影を落としています。その神秘的なたたずまいに一瞬、そびえ立つ建物が実物か水面の幻影が真か、軽い眩暈を覚えます。

ここは、はるかなチベットの中心地、ラサ市です。わたしたちは伝説の神話の街に、アレルギー調査のために訪れているのです。

なぜチベットでアレルギー調査なのか、狐につつまれたような気分で、わたしの話をお読みの方もいるかも知れません。

おまけに、チベットには花粉症のようなアレルギーがほとんど存在せず、調査をしても日本の数分の一しかアレルギー検査陽性者がいない検査結果をお聞きになると、なおさら不思議に思われることでしょう。

それらの謎はゆっくり解き明かして行くこととして、いま少し私のチベット話にお付き合いください。

ラサ市は標高3640メートルの高地に存在し、わたしたちの測定では気圧が660ヘクトパスカルです。日本の主要都市なら気圧はほぼ1013ヘクトパスカルですから、ラサではわたしたちは平地の3分の2しか、酸素を吸っていないことになります。

こうした薄い空気と太陽への直線距離の近いことが、澄んだ光と軽やかな大気をこの地にもたらします。

やや酸欠気味のせいもあるのでしょうか、何回訪れてもわたしたちにはこの都市が、あたかも夢の中の妖精の住みかのように、思えてなりません。

ことに写真のように裏側から見るポタラ宮は、有名な表側と趣が違います。チベット解放記念碑の立つ人民広場に面する表は、ポタラの少しよそ行き顔ふうの面持ちです。でもこちらの裏側では、ポタラの懐に入ったような普段着の表情を、宮殿も見せてくれるのです。

そしてこれら夢の建造物たちはそこに実在した人間の、自然を含む厳しい環境の中での歴史を、わたしたちに語りかけてくれます。

アレルギー調査とその歴史とが、どのように絡み合ってストーリーになって行くのか、シリーズはそこからお話を始めます。

水面に映えるチベット・ポタラ宮。
※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます

  澄んだ光と軽やかな大気の中で
リヴァープレス刊

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  用語集 索引:チベット


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