3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
 

院長が学会発表をしました。

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スライド1
今回は症例の内耳・病変についての発表ですが、実は本症例はいびきを主訴として当院を受診しました。そしてスクリーニングMRIで前庭内神経鞘腫が発見されたのです。
スライド2
いびきについての病歴をここにお示しします。
スライド3
結果的に、いびきや睡眠時無呼吸はさほどひどくなかったのですが、スライド1のMRIで内耳の腫瘍が発見されることとなりました。
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スライド4
そこで改めて内耳症状に焦点をしぼって経過を整理しました。
スライド5
当院での腫瘍発見後、秋田大学耳鼻科で精査を受けましたが、腫瘍の存在する右側内耳の機能はほとんどゼロと言って良い状態でした。
スライド6
公立佐沼病院に本症例の20年間の聴力検査が保存されていました。そして1986年6月6日と1988年8月18日の聴力像は、内耳腫瘍による急性感音難聴発症前後の検査結果です。このように発症前後の記録が残されているのは、非常にめずらしいことです。
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スライド7
その後の経過です。
スライド8
本症例は、1996年に左側の突発性難聴で入院しますが、同年8月22日の聴力像も保存されていました。この左側突発性難聴は回復したことが、1998年3月18日の記録から判ります。
スライド9
その後の公立佐沼病院と秋田大学における検査結果です。
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スライド10
2007年6月27日の当院における検査結果です。左側の聴力は正常ですが、右側はスケールアウトで、右方へ向かう眼振の見られることが理解できます。
スライド11
改めてお示ししますが、矢印が右側前庭内神経鞘腫です。
スライド12
情報量を増やすために、本症例の内耳を3次元CTで立体化した画像でチェックすることにしました。
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Virtual Endoscope
による IAMの観察
考 察 解 説






Virtual Endoscope(仮想内視鏡)と称されるのですが、3次元CTで右側内耳道を画像化してみました。
神経鞘腫は内耳道内に発生することが多いのでチェックしたのですが、内耳道内には腫瘍は認められませんでした。



1. 本症例の1996年の左側難聴は、突発性難 聴であったものと推測される。
2. それに対し右側難聴は1986年の時点から前庭内神経鞘腫がその原因であったものと理解できる。
3. 関係者の協力により入手できた20年間の聴力像は、貴重な本症例の経過を辿る上で重要な意味を有している。
4. 本症例はすでに高齢であり、疾患も良性であることから、積極的な治療の対象とは考えにくい。
5. しかし本症例のような臨床例に遭遇した際に、過去にさかのぼって経過を十分に把握しておくことは、難聴のみにとどまらず、あらゆる疾患の成立機序を解明する上で有用であろう。
6. 突発性難聴症例においては、新鮮例のみならず、陳旧例に対しても、MRI撮影を考慮すべきかも知れない。
7. その際、三次元CTや三次元MRIなど最新の機器を活用することは、疾患の実態把握にヒントを与えてくれる可能性を予感させる。
8. お力添え頂いた関係者に、改めて謝意を表したい。

そもそも内耳に神経鞘腫のできること自体がめずらしいのですが、本症例のように急性難聴を生じたり、その記録が残されているなどという報告は存在しませんでした。

しかし、こうした詳細な記録は、あらゆる疾患において成立機序を解明する意味でも重要なことです。
もちろんこれまで、聴神経の神経鞘腫が急性難聴を来たすことは知られていました。
けれども20年前に生じた急性難聴症例が神経鞘腫に起因していた事実を今回の症例から理解することができました。もしかすると突発性難聴においては、新鮮例だけでなく、陳旧例に対してもMRI撮影が必要なのかもしれません。

3次元CTや3次元MRIなどは、そのような症例において、将来有用な手段となり得る可能性があります。
最後にお世話になった皆様に心より御礼申し上げます。

スライド13 スライド14  
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関連リンク: 用語集 めまい

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