3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
院長が学会発表しました。

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 今回我々は、舌のしびれ感にて当院を受診した三叉神経鞘腫の1症例を経験しました。当院受診前後のMRIを比較し、画像診断に至るまでの神経学的診断の重要性について、考察を加えます。


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 さて今回の三叉神経鞘腫症例ですが、62歳の女性で舌下面左側と唇下左側の不快なしびれを訴えて、2007年9月12日に当院を受診しました。左側耳痛も伴っておりましたが、さほどひどいものではなかったようです。

スライド3
 この舌近辺のしびれ感は2007年3月頃から出現しており、当初MRIを撮影しましたが異常なしと診断されました。しびれ感に対して神経ブロックを受けた後、当院を受診しています。

スライド4
 当院の検査では、左方へ向かう水平性眼振と左側口角の触角低下が検出されました。


スライド5
 受診時の所見です。


スライド6
 後述する3年前発表の聴神経腫瘍の経験から、頭蓋底および内耳道のMRIを撮影したところ、三叉神経鞘腫が見いだされました。腫瘍と眼振との関連について3次元CTで確認しましたが、腫瘍の内耳道への進展は見られませんでした。



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▲スライド3 ▲スライド4
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スライド7
 当院で指示したMRIと3次元CTです。メッケル腔のガッセル神経節が腫大し、頭蓋底から卵円孔そして頭蓋外へと腫瘍の進展している模様がMRIから判明します。3DCTでは、腫瘍の聴神経への進展は見られないことが判ります。


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 この時点で改めて当院受診前のMRIを確認すると、すでに卵円孔の破壊が認められ、腫瘍の存在していた事実が理解できました。本症例はその後、泉病院脳外科に紹介となり、現在も経過観察中となっています。


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 前医でのMRI(右下)と、解剖学的位置関係です。三叉神経第3枝の通る卵円孔の、腫瘍による破壊が前医でのMRIにてすでに明確に認められます。


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 結果的に主訴となった舌近辺のしびれ感は、三叉神経鞘腫に起因していたものと推測できます。三叉神経鞘腫は比較的稀な腫瘍であり、軽症であることが多いと言われ、本症例の経過もそれ故であったと考えることができます。


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 三叉神経の好発部位と症状をお示しします。しびれ感は比較的少ない症状であることが、判ります。


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 当院受診時の眼振は、3年前発表の聴神経腫瘍症例(3443通信 No.172参照)を想起せしめ、本症例におけるMRI撮影のより強い動機となりました。ただ、本症例がその後当院を受診していないために、眼振の機序そのものは明確化できませんでした。

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▲スライド9 ▲スライド10
▲スライド11 ▲スライド12
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 その症例(No.172)ですが、3年前の本学会において我々は、三叉神経知覚異常にて発見された聴神経腫瘍の1例を報告しております。この症例の経験が今回の三叉神経鞘腫症例検出に役立ったと言えます。


スライド14
 3年前の症例では三叉神経領域の触角低下が、小脳橋角病変を疑ってMRIを撮影するきっかけとなっていました。(No.172)

スライド15
 これがその際のMRIですが、”Ice Cream Cone”型の聴神経腫瘍が、観察され、模式図のごとく三叉神経を圧迫しているものと理解できました。(No.172)


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 MRIによる画像診断では、標的とする部位と症状を神経学的に特定してからなされることが望ましい、と言えます。


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 本症例の経験から改めて、基本的な神経耳科学的診断の重要性を痛感させられました。

▲スライド13 ▲スライド14
▲スライド15 ▲スライド16
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関連リンク: 3443通信 No.172 院長の学会発表
  用語集 脳腫瘍

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No.173

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