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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
院内感染対策研修会
 
研修会の開催
〜医療法改正による義務化〜

 平成19年度より医療法改正に伴い、院内感染予防について研修会の実施が義務づけられるようになりました。当院でも平成19年8月に院内感染予防の研修会を実施し、感染症について標準予防策・手指衛生について学習しました。この時は、ブラックライト(特殊な液体を手につけ、その後手洗いをする。手をブラックライトにかざすと、洗い残し部分が浮かびあがるというもの)を用いて、手洗いの実習を行いました。
  今回の研修会では、標準予防策・手指衛生・咳エチケットについて学びました。

1 標準予防策 (Standard precautions)

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  標準予防策とは、1996年にCDC(米国疾病管理センター)が発展させた感染対策の基本です。 すべての患者様を対象に、汗を含まない湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・創のある皮膚、粘膜およびこれらが付着した物など)は感染する危険性があるものとして取扱うというものです。CDCは、この標準予防策に感染経路別予防策を加え、病院における隔離予防策のためのガイドラインを公表しています。
  現在、多くの医療機関では、CDCの標準予防策をもとに院内感染対策を行っています。
  このように言ってしまうと、少々難しくなってしまいますが、つまり病院内において、病気の原因となるウイルスや細菌等を、患者様や医療スタッフの間で移さない(感染させない)ための基本となる対策のことです。
  その最も基本的な対策が、手指衛生です。

2 手指衛生
  医療行為に携わる者は、患者様や患者様の療養環境への接触等で、1日に数百回に及ぶ処置を繰り返し行います。そのため多くの病原体を手指に付着させてしまいます。
  手指に病原体を付着させたまま、医療行為を繰り返すことで、手指を介して伝播させてしまい、病院感染をひきおこす大きな原因となります。

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  看護師の手指の29%は約3800個の黄色ブドウ球菌を保有し、17〜30%は3400〜38000個にも及ぶグラム陰性桿菌が付着しているとのことです。
  しかし、現実には、緊急など業務におわれ時間がとれない・重要性が理解されない・設備の問題・手荒れ等皮膚の問題で手指衛生が守られにくい状況もあります。個々の医療スタッフが手指衛生の重要性を理解し、正しい手洗いの方法を身につける必要があります。
  基本は一処置一手洗い。手洗いの基本や洗い残しやすい部分はどこか、などを研修会で学習し、実践につなげています。
  又、研修会でアルコールを基材とする速乾性擦式消毒剤の効果について、「抗菌性せっけん+流水」より細菌を減少させるとの報告がありました。当院でも速乾性擦式手指消毒剤「ヒビスコール」を使用しています。

3 咳エチケット
  2009年4月メキシコで豚インフルエンザが発生しWHO(世界保健機関)による新型インフルエンザの発生段階が6段階中のフェーズ4(5月2日時点では5)と発表されました。
  医療施設では来院する潜在的な感染症患者様に対して積極的な感染予防を実践する必要にせまられています。
  2004年11月、CDCは来院時の最初の段階から行うべき飛沫・空気感染予防策として医療施設における呼吸器衛生・咳エチケットを公表しました。
  インフルエンザ・結核・新興ウイルス感染症を含めた呼吸器感染症のアウトブレイクの防止を目的としたもので、(1)ポスターの掲示 (2)呼吸器衛生・咳エチケットの実施 (3)呼吸器症状のある人のマスク着用及び隔離 (4)飛沫予防策の4項目からなっています。
  呼吸器感染症は咳・くしゃみ等で空気中に飛ばされた病原体を含む飛沫を他人が吸い込むことで感染します。1回の咳・くしゃみで放出される病原体の数は約一万〜百万個で、飛沫が届く範囲は約1〜2mに及ぶとされています。
  病原体を他人に感染させないためにまず第一に感染症患者自身の対応・咳エチケットの実施が必要となります。咳エチケットとは、(1)マスクを着用する (2)咳・くしゃみをする時はティッシュなどで口や鼻を覆う (3)ティッシュは適切に破棄して手指衛生を行う等の行為です。
  しかし、現実には患者様自身の自発的な咳エチケットは難しいと考えられています。外来入口・受付窓口・待合室などの段階で医療スタッフが適切かつ迅速に対応をすることが咳エチケットを実施できるかどうかの大きなポイントとなります。

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  咳エチケットを実施するためには、その重要性を理解してもらう必要があります。医療施設の入口や受付窓口、待合室の目立つ所にポスターを掲示して来院する人すべてに理解と協力を訴えます。
  受付窓口にて、咳・くしゃみ・発熱を伴い感染症の疑いのある患者様にはマスクの着用をお願いし、専用の待合室に誘導することが望ましいとされます。
  待合室では、咳やくしゃみの症状のある患者様にマスクの着用を促し、咳・くしゃみをする時には備え付けのティッシュで口と鼻を覆うようにお願いします。分泌物の付着したティッシュは付着した分泌物を封じこめるための専用のノンタッチ式ごみ箱に廃棄し、速乾性擦式消毒剤などで手指衛生を行うように指導します。
  咳エチケットは、医療施設内に立ち入る人すべてが順守してこそ大きな効果があらわれます。特に医療スタッフの場合、自ら徹底を図るとともに患者様などに理解と協力を求めて積極的に取り組んでいくことが重要です。

  以上のことを今回の研修会で学びました。ここ数日、インフルエンザの発生について大きくTVで報道されています。
  医療スタッフとして感染対策の基本を守り徹底することで、あわてることなく冷静に対応していきたいと思います。


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No.173
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