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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
2009年中国・チベット調査レポート~工藤報告vol.4~
 
 今回の旅も大詰め、2009年中国・チベット調査レポート完結編のはじまりです。

 


成都空港の外観(『成』の字は簡書体です。看板が折れている訳ではありません。)
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10日目
-9月26日(土)-

 我々はチベットを離れ空路で四川省成都へ。ラサ発のフライトは8時40分と早朝。ホテルからゴンカル空港までは高速道路で約1時間弱です。ホテルを出発した時にはすべての星座が夜空を彩っていました。

 ※チベットエリアでは北京時間(日本マイナス1時間)で動いて
いますが、北京から離れているために実質的には約2時間、日の出や日没の時間がずれます。

 バスの窓から空を眺め改めて驚きました。満天の星空なのです。空気が澄んでいるからでしょうか、はたまた自分が空に近いせいでしょうか、数多の星々が輝いているのが見えました。それは思わず声がでるほど美しい光景でした。窓を開け夢中で身を乗り出しているとクラクションと共に猛スピードの対向車が。そして何より顔が痛いほど冷たい外気。ずっとそのままみていたいのをこらえ、窓ガラス越しの天体ショーとなりました。特別な思い出のひとつです。

成都
 成都は歴史のある大都市です。三国志にゆかりのある街としても有名です。

 『蜀犬日に吠ゆ(しょっけんひにほゆ)』これは、成都のガイドさんから紹介された中国のことわざです。蜀(しょく)の地方(四川省地方)では山地で霧も深く太陽の出ている時間が少ないので、まれに太陽が出ると犬が怪しんで吠えるということから、見識の狭い人が賢人の言行に疑いを持ち、非難することのたとえとされています。

 成都到着は午前10時半。小雨交じりの曇り空、まさに四川省ならではの天気が迎えてくれました。成都は湿度が高く、1年365日のうち250日は曇りや雨といいます。

四川省大地震 被災地訪問

 四川省徳陽市北西に位置する県級市である綿竹市へ。2008年5月12日14時28分に起こった大地震は未曾有の被害をもたらしました。震度6.8、マグニチュード7.9~8.0という大規模な地震により街は壊滅的な被害を受け、多数の死傷者・行方不明者が出ました。特に震源地に近い山間部での被害は甚大だったそうです。地震が発生した時刻で止まったままの時計。それは今でもはっきりと記憶に焼きついています。今回の調査に同行していただいた三好院長のお弟子さんでもある南京医科大学助教授・殷敏先生は震災直後、災害派遣医療団の長として尽力なさったそうです。殷先生は被災地へ赴きその現場を目の当たりにし『今生きていることを、今の想いを大切にしなくてはならない。』そう強くお感じに


時計塔は、2008年5月12日 14時28分を永遠に刻みます。

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なられたそうです。一瞬で全てが跡形も無く消え失せてしまうこと。その恐ろしさを痛感したのだそうです。私にとって異国の街の惨状はまるでフィクションのようでした。しかし、記憶の中で日本の見慣れた街並みと重なった瞬間、一気に恐怖が加速したのです。自然の巨大な力の前に人間のつくり出した世界はなんと脆く非力なのだろうと。

 被災地は復興がまだ進んでおらず、行方不明者の捜索もまだ終わっていない状態だとききました。住民は現在も避難生活を余儀なくされているそうです。支援として多くの仮設住宅と仮設病院が造られていました。幸いにも当時殷先生と同じ医療団で活動なさっていた方々と会食する機会を得ることができました。現在でも復興に向け、多方面に働きかけているそうです。

 真摯に再興へ向かおうとする姿勢に、人間の力強さを垣間見ることができ安堵したのを覚えています。

11日目
-9月27日(日)-


運転手もパンダ?


竹林の中にある祠前で記念撮影

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成都市めぐり
 一行はパンダ号(バス)に乗りこみ、成都の市街へ。成都のバスはサイドミラーが風変わり。その姿はまるでバッタの触角のようです。また、街中を走るタクシーにもパンダがいます。おかげで私たちまでごきげんになってしまいました。

(1)杜甫草堂(とほそうどう)
 唐の大詩人杜甫(712~770)の住居。ここで杜甫は4年あまりを過ごし、240編以上の詩を作り、その生涯で最も充実した時期をここで過ごしたとも言われる。竹林を優しい風が渡る、とて清清しい場所でした。

(2)寛巷子(かんこうし)
 旧市街の建物が並ぶ小街路。この辺り一帯には清朝時代後期の四合院造の住居などが残っています。成都の歴史を語る街です。

(3)武侯祠(ぶこうし)博物館
 三国志がお好きな方はもちろん、そうでない方も名前はきいたことがあるはずです。蜀の丞相・諸葛孔明と劉備玄徳の祠堂です。

 最近では、ジョン・ウー監督製作の映画『レッドクリフ』で、俳優・金城武扮する諸葛孔明の活躍が描かれており、ご存知の方も多いかと思います。  

 こちらでは、武侯として祀られた諸葛孔明とその主君・劉備玄徳の陵墓があります。

  三国志ゆかりの地へようこそ。


(3)各所に石像が設置されていました


(2)多くの観光客がいました。


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(4)川劇(せんげき)
 成都最終夜。中国の歴史ある舞台『川劇』を観賞しました。川劇のみどころは『変面』という芸です。きらびやかな衣装で廻り踊りながら次々と仮面が変わっていきます。それはほんの一瞬の出来事。眼を凝らしていてもその謎の仕掛けは解けません。伝統の秘技として代々受け継がれており、仕掛けは秘密とされているそうです。100人ほどで満席の手狭な劇場は鮮やかな装飾と照明、さらに楽隊による生演奏で独特の雰囲気が漂っていました。中国語で演じられるため細かい内容はわかりませんでしたが、巧みな演出に引き込まれ、飽きることのないひとときを過ごしました。

 開演を待つ間、控室にお邪魔することができました。出番を待つ役者さんが鏡と真剣ににらめっこをしています。それは、これから起こる素敵な時間を胸ときめかせて期待するのに十分な光景でした。

 成都では、あちこちに点在する名所旧跡や歴史のある古い街並みがとても印象的でした。

おわりに

 今回の中国チベット調査を通じて、数々の貴重な経験をすることができました。中でも青蔵鉄道の車窓からみた景色は忘れられません。広大な平原と真白の雲と青い空。地平線と空の湾曲した境界が、改めて地球の形を教えてくれました。連なる峰々と青い湖は息をのむほど美しいものでした。また、前回に引き続き高地での低酸素状態の調査が行えたことはとても有意義なものでした。今回は睡眠時の計測も試み、大変興味深い結果を得ました。今後の調査研究と論文作成に繋がるものと期待しております。

 以上で、2009年中国・チベット調査報告を終わらせていただきます。

 このような機会を与えて頂けたことに感謝しております。本当にありがとうございました。


(4)お面が瞬時に、
しかもいくつも変化していく様子は
圧巻です。


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看護課  工藤 智香

2009年チベット調査 旅レポ(4)

 
関連リンク: 用語集 索引:チベット
関連リンク: 用語集 索引:アレルギー調査

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No.183
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