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第74回聴力検査技術者 講習会レポート

看護課 橋 邦子 技師
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 2010年の2月15日(月)から19日(金)にかけて、聴力検査を担当する技術者養成のための聴力検査技術者講習会が東京で行われました。
 当院からは、看護課の橋技師が参加し5日間の講習を受けてきました。
ここでは、講習会で学んだ内容のご紹介をさせて頂きます。



聞こえに関わる 耳の構造


図1 聴神経
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 講義は、基本的な耳の構造から身体障害や労働災害における法律まで、幅広い内容をテキストに沿い行われました。
 聴器は大別すると、(1)耳介から鼓膜までの外耳、(2)耳小骨がある鼓室と耳管(鼓室と上咽頭をつないでいる管で、通常は閉鎖し、嚥下やあくびで開き、外界と鼓室の圧調整をして、鼓膜の形状を保っています)などの中耳、(3)三半規管(平衡感覚を司り前庭に繋がる)・前庭(耳石器があり感覚細胞に繋がる)・蝸牛(聴覚を司り鼓膜・耳小骨を経た振動を中枢神経に情報を送る働きをする)からなる内耳、(4)そして聴神経とから成っています(図1)。外耳より入った音の刺激が、大脳側頭葉聴野に到達する経路のうち、これらのどの部位に病変があっても聴こえの程度(聴力)は悪化します(難聴)。この難聴は障害部位により、伝音難聴・感音難聴・混合性難聴に分類されます。
 それらの診断を目的に行う検査のひとつに純音聴力検査があります。この検査は聴力の閾値(どれ位小さな音が聞こえるのか)を測定します。正常な人が聞こえるとされる音の周波数は低い16 Hzから高い2万Hzとされていますが、そのうち純音聴力検査で調べる周波数は通常、250、500、1千、2千、4千、8千Hzで、必要に応じその中間の周波数も測定します。種類には、気導閾値検査と骨導閾値検査があります。マスクで聴かせる気導音(A音)は耳の穴から入り、鼓膜・耳小骨を経由して前庭窓から内耳に到達しますが、バイブレーター(振動機)で聴かせる骨導音(B音)はバイブレーターにより頭蓋骨に伝えられ、直接内耳に到達します(図2・3)。
 気導検査の場合、聞こえの左右差が大きい場合や、両耳が明らかに低下している場合は、良聴耳にマスキングといって雑音を聞かせながら、測定します。骨導検査は、ほとんど全てマスキングは併用です。気導音も骨導音も頭蓋骨を振動させるために、左右が混じ易くなる(交叉聴取といいます)ので、検査しない方の耳をブロックするのです。


図2

図3
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難聴の種類

 伝音難聴では、気導聴力は悪化しますが、骨導聴力は正常に近いものです。外耳・中耳の障害で起こり、治る可能性の高い病変です。 外耳疾患としては、外耳道異物や耳垢、先天性の外耳道閉鎖や奇形などがあります。中耳疾患は、中耳炎、鼓膜穿孔、耳小骨障害、耳管狭窄などです。
 対して感音難聴では、気導・骨導共に聴力は悪化します。内耳より奥に、病変がある場合に起こります。音響性や騒音性難聴、ストレプトマイシンに代表される聴器毒性難聴、メニエール病や突発性難聴、心因性難聴などがそれです。
 混合性難聴は、伝音性、感音性の両方が障害されているものです。
 純音聴力検査は、聞こえの良い耳、耳鳴りなどのない耳から測定します。検査直前まで大きな音を聞いていた場合は、ちょっと耳を休ませるため、少なくとも15 分は間を空けることも必要です。


その他の聴力検査


図4
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 聴力検査には他に語音聴力検査があります。純音検査の場合は断続音を聞いてもらいますが、語音検査は、単音節を聞いてもらい言葉の聞き取り、聞き分けの程度を調べる検査です。この検査の目的は障害部位の位置鑑別、手術後の評価、補聴器・人工内耳の適応決定および効果の評価、難聴者のリハビリテーション、身体障害程度の等級認定などがあります。伝音難聴では、音を強くしていけば聴き取りは良くなりますが、感音難聴では音を強くしていっても余り良くならないことが多くなってきます。むしろ、音を強くすると、かえって聞き取りが悪くなることさえあります。純音検査に比べ語音検査が低下している場合は、耳よりももっと奥に原因があるかも知れません。また、逆に純音検査に比べ語音検査が良好な場合は、難聴以外の可能性もあります(図4)。


障害者認定の基準


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 身体障害者(聴覚障害)認定の基準には、純音検査による方法(会話領域の平均聴力レベル)と語音検査による方法があり、短期間に何回か検査を行い図5に基づき申請をします。

講習会を終えて

 聴器の解剖学では、疾患を知る上で重要であること、音響学では音というものの奥深さを改めて実感しました。現在実施している方法の再確認をし、より精度の良い検査データを提供できるよう、更には環境や検者による誤差が少なくなるよう細心の注意を払い、スタッフ間での確認など必要に応じ行なって行くことも大事である事を感じました。自覚的検査は、被検者(患者様)とのコミュニケーションはもとより、短時間でより正確なデータが得られるよう、知識は当然ですが、工夫と努力で、医療スタッフに伝えるべき事柄は客観的に観察し、正確にコメントすることを心がけていきたいと思います。
 最終日、終了試験があり無事合格証書を頂いてまいりました。


勉強中の橋技師
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おわりに

 当クリニックにお世話になり始めてまだ2ヶ月半しかたっていないのにも関わらす、学ぶ機会を与えていただき感謝いたします。学んできたことが少しでも実践で役立つよう、精進したいと思っておりますので、今後ともご指導の程宜しくお願い致します。

看護課 橋邦子



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会場となった順天堂大医院
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講習日程
期間:2010年2月15日(月)
〜2月19日(金)
講習会場:日大会館2F大講堂
施設実習会場:順天堂大学医学部
附属順天堂医院

2月15日(月)
聴器の解剖・生理、耳の疾患(伝音・感音難聴)、音・オージオメーター、純音聴力検査・語音聴力検査
2月16日(火)
閾値上聴力検査
2月17日(水)合同実習
気道・骨導検査・語音聴力検査・
インピーダンス
2月18日(木)施設実習-順天堂大学医学部附属医院-
純音聴力検査・語音聴力検査・他覚的聴力検査(ABR)など
2月19日(金)
耳管機能検査・耳鳴検査・選別聴力検査・社会医学からみた聴力検査・聴力検査実施上の注意試験及び試験問題解説・講評


関連リンク: 索引 聴力検査
用語集 難聴

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No.186
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