3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

岩渕紀雄氏に、聴覚障がいについてお聞きしました。聞こえない不便さとサポート機器

前コーナーでご紹介致しました書籍の著者である、中園秀喜(ペンネーム・岩渕紀雄)氏に「聴覚障がい」についてのお話しを伺いました。
 

パリ・ノートルダム寺院にて(1988年7月)
※画像をクリックすると
拡大写真がご覧いただけます。

ご挨拶

私は聴覚障がい者。3歳の時に病気で難聴になり、41歳までは補聴器を装用していた。その後、突発性難聴になり、完全失聴した。私は失聴してから教育、仕事、結婚、育児、起業、社会生活などどれをとっても音とコミュニケーション上の壁にぶつかった。このことは「拝啓、病院の皆様-聴覚障害者が出会うバリアの解消を-」(現代書館)と「『聞こえ』のバリア解消への提言〜共生社会を目指して〜」(NHK出版)に譲りたい。手前味噌ですが、よい本だと思います(笑い)。

難聴かどうかの見分け方

聞こえる人がその人が難聴かどうかを知る方法はいくつかある。電話をなかなか取らない、テレビやラジオの音量を上げる、会話がかみ合わないとか。時としては命に関わることもある。
 一例をあげれば火災。私はいままで3回、火災騒ぎに遭遇している。聞こえる人は消防自動車のサイレン音や非常ベルがなる音を聞いて「火災が発生したな」と判断できるが、聴覚障がい者は情報源である耳がやられているので戸惑う。火や煙などを見てから判断するしかない。補聴器を頼りにしている難聴者でも就寝中とか入浴中は補聴器を外すので音情報が入らない。1985年〜2005年までの20 年間、156 人以上の聴覚障がい者が被災している。まして、生まれつきの聴覚障がい者は音情報がないので、音(声)に関しては何に困り、不便を感じているのか説明できない場合が多い。
 聴覚障がいは外から見ても普通の人間と変わらないので、不便さに気づきにくい。「障がいが見えない 」、それ自体がバリア(障壁)なのだ。これを解消するには聴覚障がい者自身が「不便ですよ。解消して下さいよ」と行政やメーカーに伝えていく以外、改善する方法はない。


ハイリゲンシュタットの遺言で有名な、ベートーベンの時代に使用されていた補聴器(1988年スイス・モントルーにて)
※画像をクリックすると
拡大写真がご覧いただけます。

 過去20 年間を振り返って見ると、聴覚障がい者を取り巻くコミュニケーション環境や音(声)環境は改善されたと思う。 一例をあげると電話の代わりにファックスを使うと文字交信ができ、携帯電話はメール機能を使うと外出先で交信ができるし、テレビには字幕がついているので家族と一緒に番組を楽しめるようになってきた。このように聞こえの不便を補うサポート機器を活用すれば今では70 %位は何とかなるのではないか。コミュニケーションなどに困っている人はNPO法人ベターコミュニケーション研究会(BCS)にお問い合わせ下さい(下記)。
 BCSは「不便を便利に」を標榜して18 年。後は啓発、普及させる事だ。
 耳の不自由な人々に役立つサポート機器があることを知っている医療従事者は驚くほど少ない。聴覚障害者用日常生活用具なども含めて総合的にアドバイスできる人=コミュニケーション・情報バリアフリー・アドバイザー(略称CA)が必要だと思うのは私だけだろうか。BCSはNPO法人になったのをきっかけにCAを養成したいと考えている。
 「力のある人は力を、知恵のある人は知恵を、お金のある人は寄付を」

中園 秀喜




※画像をクリックすると
拡大写真がご覧いただけます。

ご経歴
■1948年、大分県生まれ。
■ベターコミュニケーション研究会
 情報バリアフリー・アドバイザー
■国土交通省・経済産業省・厚生労働省・総務省消防庁など、バリアフリー・ユニバーサルデザイン関係委員
■NHK「聴力障害者の時間」
 司会歴任
■「拝啓、病院の皆様-聴覚障害者が出会うバリアの解消を-」(現代書館)
■『きこえ』のバリア解消への提言〜共生世界を目指して〜」(NHK出版)
 他著書多数
■ブログ
http://wp1.blog21.fc2.com/
(「人が通る。道が出来る」)
BCS HP:http://www.bcs33.com

関連リンク: 用語集 難聴

←前ページ

No.186
トップページへ 前ページへ