3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
 

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 泉区のラジオ情報番組『FMいずみ797』より、院長出演の『ラジオ3443通信』が放送されました。今回は、体操で治るめまいとその治療法について、詳しく紹介します。

●めまい体操で治る、BPPVって何?
江澤アナウンサー(以下An.)三好先生、前回の放送では、めまいを起こす疾患について、全般的なお話しを伺いました。今回からは、もう少し具体的に一つひとつのめまい疾患について、くわしくお話しをお聞かせ頂きたいのですが。
三好(以下Dr.)今、一番の話題は、良性発作性頭位めまい症、つまり、BPPVでしょうね。
An.  わたし病気の名前が苦手で、それだけでめまいを起こしちゃうものですから(笑)。そ、その、良性なんとかって、いったいなんでしたっけ?
Dr.  朝目覚めて、枕から頭を挙げようとした瞬間、あるいは高いところにあるものを取ろうとして首を上に捻った瞬間、そして靴ひもを結ぼうとして軽く俯いた瞬間などに、一瞬間隔を置いて世界中がグルッと回ってしまうめまいです。
An.  世界中がグルグル回るんですね。それって命に関わるような……。大変な病気なんじゃないんですか? 死んでしまったり、しないんですか。
Dr.  めまいの最中は、死ぬかと思うくらいびっくりするんですけれど、これで死ぬようなことはありません。じっとしていると、ほぼ30秒間くらいでめまいは治まりますけど、確かにその間は生きた心地がしませんよね。
An.  それでは、どうしてめまいが起きるんですか?
Dr.

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 耳の中には、音を感じるかたつむり管と、体の位置を感じ取る耳石器、そして体の回転を感知する半規管があります。
体の位置を測定する耳石器は左右別々に、水平と垂直のそれがあり両者からの電気信号で、人体のポジションを判定します。
 半規管は両側に、X軸方向・Y軸方向・Z軸方向と立体的に90度ずつ3つ存在しており、このために三半規管と呼ばれるんです。
An.  あぁ、3つ揃っているから3個の半規管で三半規管なんですね!
Dr.  江澤さんの第六感もきっと、6つ揃っているから第六感と言うんじゃないんですか。
An.  わたし6つも勘がひらめくんですかー……。われながらサエてますねぇ。
Dr.  あのね、もともと五感というのはですね、聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚のことを指すんですけどね。
An.  ちっとも知りませんでした。
Dr.  耳で聴く・眼で見る・鼻で匂いをかぐ・口でものを味わう・皮膚や口の粘膜でなにかに触れる、それを五感って称するんですよ。
 そしてそういう五感に頼らずに、なにかピンと来るみたいな直感を、いわゆる第六感と名付けているわけなのです
An.  へぇーっ。
Dr.  五感のうち聴覚や視覚と言うのは、ドイツ語で『精神に近い感覚』と称して、論理的に思考するときに使われる感覚だとされてるんです。
An.  そう言えば、本を読んだり議論をしたりするときに、必要ですものね。
Dr.

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 それに対して嗅覚や味覚は、「生命に近い感覚」と呼ばれていて、生命を維持するときに役立つ感覚だって言われます。
An.  美味しい食べ物のありかを嗅ぎつけたり、栄養のある食べ物の旨味を味わい分けるから、なんですね?
Dr.  そしてこれら五感は、実は耳鼻科医がめまいの診断をするときに、有力な手がかりを与えてくれる指標になるんです。
An.  ウッソー!
Dr.  めまいに限らず体の感覚を司る神経は、もともと脳から出ていることは知ってますよね?
An.  知ってます、知ってます。
Dr.  それら神経の中でも、脳から直接体の各部位に届いている神経があって、左右12対存在するんです。
An.  それは、知りませんでした。
Dr.

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 12対の脳神経はそれぞれ担当する機能が違っていて、例えば第一番目の脳神経は嗅覚を、また第二番目の脳神経は視覚を司っています。
 めまいを感じるのは、第八番目の聴神経と呼ばれるそれですが、めまいを引き起こす原因病変が脳の傍にある場合には、12対の他の脳神経の働きにも影響が現われますので、それをチェックして病変の部位を突き止めるのは、耳鼻科医の仕事なんです。
An.  初めて聞きました。
Dr.  話は元にもどりますが、体の回転を感知する半規管がなんらかの刺激を受けると、グルグル回るめまいが出現します。
An.  前回のお話しで伺った憶えがあります。
Dr.  BPPVでは、耳石器の上に載っている体の傾きを神経に伝える小さな石が、耳石器から剥がれて半規管の中に入ってしまいます。そうすると、さあ大変!
 朝目覚めて、枕から頭を挙げようとした瞬間、あるいは高いところにあるものを取ろうとして首を上に捻った瞬間、そして靴ひもを結ぼうとして軽く俯いた瞬間などの、世界中がグルッと回ってしまう死にそうなめまいが、この半規管の中の石のいたずらで発生することになります。
An.  それは大変ですね、三好先生!先生の出番ですよ。世界中が回るこのめまい、先生はどうやって止めますか?
Dr.  地球の回転をストップさせるより、はるかに簡単なんですけどね。秘密の呪文があったりするのかも……。
An.  それでは次回、三好先生にめまいを止める魔法をお聞きすることにしましょう。お楽しみに!
   
●エプリー法の体験談
An.  三好先生、前回の放送では、めまい疾患の中で一番のトピックスである、良性発作性頭位めまい症つまりBPPVについて、そのメカニズムをご説明頂きました。
 その解決法について、本日は教えて頂けるんですよね!なんでも秘密の呪文が存在するとか?
Dr.  その前に江澤さん。BPPVで当院を受診された方の体験記に、目を通して見ませんか?
 論より証拠。世界中がグルグル回る恐怖のめまいが、ホントに良くなってますから。
An.  それでは、BPPVの治療を受けた方の実際の体験談を、読んでみましょう。
   
●第一例 70歳女性の場合
An.

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 まず第一例。70歳の女性です。
 「1年ほど前に、右耳が急に聞こえなくなってしまい、他の病院で突発性難聴と診断されました。
 その頃からめまいが止まらなくなり、1年くらい続いています。
 このめまいは、寝返りをうつときにグルグル回ります。左耳を下にして寝るとめまいが起こり、右耳を下にすると治まります。
 また、高いところにある換気扇などのボタンを押すときなどに起き易いようです。
 特に朝方はつらく、30 分くらい座ってじっとしていないとフラフラして動けませんでした。
 三好耳鼻咽喉科クリニックで治療を受けた後は、朝の物凄いめまいがウソのように無くなりました。
 上を向いて高い所の物を取ったり、下を向いて物を拾うときに、フワッという感じでめまいが起きていたのですが、無くなりました。
 本当に、受診して良かったです。
 すっかり良くなるまで、通いたいと思っています。」
 三好先生、この方には治療がすごく効いたみたいですね。 
Dr.  他にも、有効だった方は 少なくありませんよ。
   
●第二例 66歳女性の場合
An.  三好先生、この方は先生の前にも他の耳鼻科に通院していますし、MRIまで撮影しているようですね。
Dr.  めまい専門医じゃないと、通院しても結局診断は難しいみたいです。
An.  読みます。
 「5年ほど前からめまいがあって、地方の耳鼻科でメニエール病と診断されました。MRIを撮影しましたが、異常なしでした。
 それから何回かめまいがありましたが、昨年の12月末に起き上がれないほどのめまいがありました。それから1ケ月間はひどい状態が続いたのです。
 横になっても、起き上がっても、めまいがしました。吐き気が強く、歩くのも困難な状態でした。周囲のものが動いて見えました。グルグルと回ることもあり、めまい症状のひどいときには転ぶのが怖いので歩くのもゆっくり遅くなりました。
 三好耳鼻咽喉科クリニックを受診し、治療してからは体がとても軽くなりました。
 とても楽になり、いつものように歩くことができてうれしいです。車の運転も短時間なら大丈夫で、ほぼ元通りになりました。
 知人にめまいの治療をするなら三好耳鼻咽喉科クリニックが良いよと紹介したところ、知人も3回の通院で回復しお礼の電話をもらいました。」
 三好先生、これは出来すぎみたいなお話しですね。
Dr.  作り話ではないんですけどね……。でも、当院受診前に1ケ所の病院だけで済んでいる方は、むしろ幸運かも知れませんよ。
An.  それじゃ、何軒もドクターショッピングをしておられる方も……?
Dr.  3~4ケ所の医療機関を受診しても、改善の見られない方はおられます。
An.  この方はそんな1例でしょうか。
   
●第三例 64歳男性の場合
An.  第三例は64歳の男性です。
 「1~2年前から軽いふらつきはあったのですが、半年前になって足が地につかない感じがして、雲の上を歩いているようで歩行時ふらつくようになりました。
 寝返りをうったときや、目覚めて起き上がったとき、横になったときなどにめまいがします。
 急に頭の位置を変えたり、おじぎや首を後に反らせたりすると、めまいが生じます。
 最初脳外科を受診してMRIを撮影しましたが、異常所見なしでした。
 次に総合病院の耳鼻科を受診しましたが、聴力検査を実施されたのみで様子を見るよう指示されました。
 内科も受診しましたが、めまいは改善しませんでした。
 三好耳鼻咽喉科クリニックを受診して、1週間おきに2回治療を受けたところ、めまいは消失しました。
 その後めまいの再発は見られませんので、2ケ月に1回の経過観察中です。」
三好先生、このお話しもすごいですね。
Dr.  めまい専門医とそうでない医師との、単なる相違なんでしょうけどね。
   
●第四例 74歳女性の場合
An.  第四例は74歳の女性です。
  「朝起きるときや夜寝るときなど、体の向きを変えるとめまいが起こります。特に起床時のふらつきと、頭を後に曲げたときのふらつきが多く、しばらくすると落ち着きます。
 日中でも、電線に留まっている鳥を見るとめまいがします。
 実は10年ほど前にひどいめまいで、総合病院耳鼻科に10日間ほど入院したことがありました。
 今回のめまいの際にもそこを受診したのですが、耳の中を見て ”前回とはめまいの性質が違うので脳に原因のあるめまいです”と診断されました。そして循環器内科を紹介されたのですが、異常なく不安が募りました。
 三好耳鼻咽喉科クリニック受診後、ひどいめまいは無くなりましたが、2回しか治療していないのでもう少し治療を続けようと思います。」
 三好先生、ホントにこんなことが、あるんですね。
Dr.  それは、そもそもBPPVという病名が知られていなかったことが、最大の原因ですよね。まして、その治療法であるエプリー法が、まだ宮城県ではほとんど知られていないという事実が、それに輪をかけています。
 次回は、秘密の呪文ならぬ、めまい専門医ならだれでも実施できるエプリー法について、ご説明します。
An.  三好先生、絶対ですよ!
 江澤も楽しみにしていますからね。
   
●めまいについてのおさらい
An.  三好先生、今回は耳から来るめまいの代表である、良性発作性頭位めまい症つまりBPPVについて、その原因と対策を聞かせて下さる、と伺いました。めまい専門医だけが知っている秘密の呪文も、教えて頂けるそうで……。
Dr.

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 その前に、めまいを生じる病気について、簡単におさらいしてみましょう。
  前回、五感ということばについてご説明しましたが、これら聴覚・視覚・嗅覚・味覚・触覚は、すべて脳に通じている脳神経の支配下にあります。
 金欠病による眼前暗黒感、つまり目の前が暗くなる状態や、空腹による低血糖すなわちエネルギーの不足による立ちくらみ、それから小学校などで校長先生による朝礼が長すぎるための起立性低血圧、こうしためまいは例外なんですけれど……。まあ、大部分のめまいは脳と脳神経、ことに内耳を支配している聴神経と、内耳そのものに原因があるものです。
An.  金欠病に空腹ですか……。江澤にはおなじみのものばかりですネ。
Dr.  それは、めまい専門医の呪文でも、治りっこありませんよ(笑)。
 それはさておき、そんなわけでめまいは、脳と脳神経そして内耳、つまり耳の神経に異常があると、発生するんです。
An.  耳の神経と言いますと、 音を感じるかたつむり管と体の回転を感じる三つの半規管、そして体の位置を把握する耳石器のことでしょうか。
Dr.  そして、めまいは耳の病気が原因であることがも っとも多く、その中でも先 程のBPPVが最大の原因疾患とされています。
 ですからめまいを扱う上でBPPVは、忘れてはならない重要な存在です。
An.  それは、耳の中のどこに原因があると起きるんでしたっけ?
Dr.  三半規管、ことに後半規管と呼ばれる一番後に位置する半規管が、めまいの現場なんです。
An.  その現場では、何が起きているんですか?
Dr.  耳石器の、体の位置を感じ取る装置に付着している、一種の石なんですけれど、それがなにかの拍子に装置から剥がれて、半規管に入り込んでしまうんです。
 3つの半規管の中でも、位置的な理由から一番後の後半規管に入り易いんですけどね。人間、人生の3分の1は仰向けに寝ていますから。
An.  半規管っていうのは、体の回転を感じる部分でしたよね?
Dr.  通常体が動くとき、半規管の中のリンパ液が惰性で、体の動きと逆の流れを作ります。それが半規管内の神経細胞を刺激して、人間の体の回転を感知することになります。
 ところで江澤さん、ジェットコースターって、お好きですか?
An.  ええ~と! ちょっと得意ではないですね……。
Dr.  ジェットコースターに乗って体が回転すると、それを降りた後もなんとなくフラフラするでしょう?
An.  します、しますっ(笑)。
Dr.  それは半規管の中のリンパ液が、ジェットコースターで揺すぶられて、降りた後もリンパ液が惰性で動いている、それを半規管の神経細胞が感じているせいなんです。
An.  私の友人がジェットコ ースターに乗った後って、第六感までサエているような気がするって言うんですけど、それってきっと三半規管が揺すぶられたためなんですよね?
Dr.  三半規管が揺すぶられて2倍の第六感になるなんて……。どこからそういう発想が生まれるんですか?
An.  それを、八艚(発想)跳びって言うんです(笑)。
Dr.

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 ジェットコースターに乗らないと、そういう冗談は、フツー思いつきませんね(笑)。冗談はともかくとして、半規管の中のリンパ液が移動すると、中の神経細胞が刺激されて人間はめまいを感じます。
 このリンパ液は、体の回転運動に応じて移動するので、通常体の回転なしには半規管は刺激されません。
 ところがこのリンパ液の中に、耳石器から剥がれた石が転げ込むと、さて、どうなるでしょう?
 石はリンパ液より重たいので、重力がかかると、半規管の中を動く可能性があります。
An.  体が回転しなくても、半規管の神経細胞が刺激されるんですね。
 そうすると三好先生、首を捻っただけで人間はめまいを感じるんじゃないでしょうか?
Dr.

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 朝目覚めて、枕から頭を挙げようとした瞬間、あるいは高いところにあるものを取ろうとして首を上に捻った瞬間、そして靴ひもを結ぼうとして軽く俯いた瞬間などに発生する、世界中がグルッと回ってしまう死にそうなめまいが、そのせいで起きるわけです。
 なぜそうした瞬間にめまいが生じるのか、それは半規管の方向に原因があります。
An.  三好先生。三半規管は確か、X軸方向・Y軸方向・Z軸方向と、それぞれ立体的に90度違う方向に位置しているってお話しでしたよね?
Dr.  3つの半規管にはそれぞれ名前がついてまして、「前半規管」・「水平半規管」・「後半規管」と言います。
An.  判りました、三好先生!「水平半規管」って、もしかしたら横向きに付いているんじゃありませんか?
Dr.  頭の良い人のことを、「一を聞いて十を知る」って誉めますけど、江澤さんはサエわたっていますよね!
An.  それで「前半規管」は前にあって、「後半規管」が後にある……。
Dr.  前回のお話しで、位置的な理由から耳石器の石は後半規管に入り易い、とご説明しました。この後半規管は耳石器より後方に位置していて、左右それぞれの耳たぶとおんなじ方向を向いています。形も、似ているんです。
An.  耳たぶのふちの部分と同じような、丸い形をしている……。
Dr.  その一番奥、いわば底に相当する部分に後半規管の神経細胞が、存在します。
 そして、耳たぶとおんなじ形をしている半規管の内側のリンパ液に、耳石器の石が浮かんでいます。
 この浮遊している石が、もっとも後半規管の揺さ振られ易い姿勢を、人間がとったときに、中で動くんです。
An.  そしたら、後半規管の中のリンパ液も動きますね。
Dr.  リンパ液が動けば、半規管の神経細胞が刺激されますから、激しいめまいが突然起こります。
 そしてもしも、右側の後半規管のBPPVだったら、右の後半規管の方向は右の耳たぶと同じですから……。
 江澤さん、右側のBPPVの人が右側を下にして頭を枕に沈めたら、どんなことになるでしょう?
An.  右側の後半規管の中の石が、揺さ振られますね。ああ、だからめまいが……。
Dr.  そうです。世界中がグルグル回るめまいが、その瞬間に発生するんです。
An.  と言うことは逆に、右下向きに頭を枕に付けて寝ていたら、起きる瞬間にめまいが……。
Dr.  寝返りをうってもグルグル回るのは、そのせいなんですよ。
An.  三好先生! 本日は、本当におもしろいお話しを、ありがとうございました。
 わたし、地球が回っている理由まで、わかっちゃったような気がします。
Dr.  それじゃ次回は、その解決法について、ご説明します。
 



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●BPPVの治療法
An.  三好先生。本日は、世界中がグルグル回ってしまう、良性発作性頭位めまい症つまりBPPVの治療について、いよいよお話しが伺えますね!
 わたし、夕べワクワクして一睡もできませんでした。
Dr.  それは責任重大。張り切って、ご説明します。
An.  その前に復習ですが、三好先生。
 BPPVは内耳の三半規管、中でも後半規管に原因があって発生する。この後半規管には、耳石器から剥がれた石が紛れ込んでいて、体の姿勢の方向によって動く。そのたびに半規管の神経細胞を刺激して、めまいが起こる。後半規管は両側とも、それぞれの耳たぶと同じ形と配置になっていて、例えば右の後半規管のBPPVだと、首を右に捻るような姿勢をとったときにめまいが起こる。だから、右を下にして頭を枕に付けたときや、逆に右下に寝ていて頭を起こした瞬間に、突然めまいが生じる。
 前回は、そういうお話しでしたね。
Dr.  BPPVのもう一つの特徴なんですけど。後半規管の神経細胞が刺激されるような姿勢をとって、一瞬間を置いてからめまい発作が起きる。そういう症状があるんです。
 それも、その姿勢をとってから半規管内の石がゆっくりと動いて、それから神経細胞を刺激する。そんな順序があるためなんです。
An.  特定の姿勢をとった、その瞬間に発生するんじゃないんですね。
Dr.  間のあるところが、いかにも気を持たせるような……。
An.  期待に満ちた病気なんですね(笑)。
Dr.  それもこのめまいの起こりかたに、密接な関係があるわけなんです。
An.  以前のお話しではこのBPPV、めまい体操で体を捻ってやると、石が元に位置に戻るので治ってしまう、とか?
Dr.  前回のお話しで、位置的な理由から耳石器の石は後半規管に入り易い、とご説明しました。この後半規管は耳石器より後方に位置していて、左右それぞれの耳たぶとおんなじ方向を向いています。形も、似てるんです。
An.  耳たぶと同じような、丸い形をしている……。
Dr.  繰り返しますが、その一番奥、いわば底に相当する部分に後半規管の神経細胞が、存在します。
 そして、耳たぶとおんなじ形をしている半規管の内側のリンパ液に、耳石器の石が浮かんでいます。
 ですから、底部に存在する神経細胞から、少しでも浮遊している石を遠ざけてやり、最終的には後半規管から追い出してやることが理想なんです。
An.  そのために体操を?
Dr.  重力にしたがって移動する半規管内の石ですが、耳たぶのふちの一番底から、耳たぶの上半分に移動させ、最後は耳石器のある内耳の前方へ出してしまうんです。
An.  いったい、どんな体操なんでしょう。
Dr.  江澤さん。右側のBPPVの場合、石は耳たぶに例えると、どの位置にあるでしょう。
An.  右耳のふちの下半分でしょうか。
Dr.  万有引力の法則に従って、その石を上に移動させるには、どういう体の姿勢をとったら良いでしょう。
An.  右に首を捻って、頭を下げて……、ええっと、耳たぶの上半分が下半分よりも、位置的に下になるようにするんでしょうか。
Dr.

図1
特殊カメラを眼に装着し、
仰向けになり、頭を45度右向きにします。

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 その通り。ベッドに横になり、首をベッドの端から出して、力を抜きます。
 そして首を右45度に捻り、ダラーッと下げてやると、右耳のふちの上半分が下半分より下方に位置します。すると、後半規管内部の石も半規管の下半分から上半分に、重力に従って移動します(図1)。
 次に、首を下げたまま左45度に捻るんです。
 そうすると江澤さん、石はどこに移動するでしょう。
An.  今度は右耳が上になるので……。
 そうか、右耳の上のふちが一番下になる態勢ですね。つまり後半規管内部の石も、半規管のてっぺんに来てますよね(図2)。
 

図2
頭を、図1の反対向きとなる
左45度に回します。


図3
体を90度左向きに倒し、
頭は135度左向きになります。

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Dr.  それをもっと前に移動させて、石を後半規管そのものから追い出してしまうには、どんな姿勢をとる必要があるでしょう。
An.  首を下げた姿勢のまま、右耳の前のふちが一番下になるような姿勢、ですよね。
 ちょっと、待ってください。
 ああわかりました。首を、もっと左へ捻ってやれば良いんですね。
 どれくらい、首を捻れば石が出ますか?
Dr.  首を下げたままで、左へ135度曲げてやれば理想的です。
An.  やだ! わたし135度も首が回りません。ろくろっ首になっちゃう。
Dr.  ですから、体そのものを左に90度、つまり左側臥位、簡単に言うと左横向きに寝て、さらに首を45度左に捻れば良いんです。
An.  なぁんだ。コロンブスの卵みたいですね。
Dr.  そうすると後半規管内部の石は、後半規管の前へ重力のために移動しますから、後半規管から石が外部に出てしまいます(図3)。
An.  めでたし、めでたし!
Dr.  そうしたら、ゆっくりと体を起こして、普通の姿勢に戻ります。
 これを2~3回繰り返して行い、石が複数後半規管に入っていた場合でも、完全に外へ出すようにしてやります。
 これをエプリー法と称して、めまい専門医なら誰でもできる治療法です。
 ただしこのめまい体操で治療をする場合、途中でめまいが発生しますので、エプリー法の前には飲み薬や注射で安定剤を使用してから、実施します。
 そしてこのときの呪文が大切なんですが、必ず「あなたは眠くなる、あなたは眠くなる」と、こころの中で呟きながら実施します。それが、BPPVを治す、魔法の呪文なんです(笑)。
An.  まぁ……。お話しを伺いながら、わたしまで眠くなってしまいました。
 でもこの魔法の呪文で、以前にご紹介したように多くのめまい患者が救われているんですね。 三好先生、本日は魔法の秘密まで教えて頂いて、誠にありがとうございました。
 わたし、こっそり、みんなに教えちゃいますね。
Dr.  でもね江澤さん。この呪文、金欠病や空腹によるめまい、それにすごく長い校長先生の朝礼には、全然効果が無いんですよ(笑)。
An.  三好先生、良性発作性頭位めまい症つまりBPPVのお話は、これで一段落でしょうか?
Dr.  次回から、もっと多彩なめまい疾患について、いろいろなエピソードを交えてご説明します。
An.

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 それでは三好先生、次回のお話しを今からとても楽しみにしています!

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  索引 めまい
  索引 良性発作性頭位眩暈(めまい)症(BPPV)
  索引 起立性低血圧
  索引 fmいずみ 79.7Mhz
  索引 エプリー法
  ムービー 良性発作性頭位めまい症(BPPV)を治す体操療法『エプリー法』

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