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キーワード:スギ花粉症・寄生虫・花粉(アレルギー)コップ

ラジオ3443通信 突発性難聴によるめまい

清潔は敵?

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江澤アナウンサー(以下An.): 三好先生、前回は、これまで常識みたいに言い伝えられていた、スギ花粉症激増は大気汚染のせいだ、というお話しがハテナ?  であると伺いました。

三好院長(以下Dr.): 江澤さん、それに加えて現実にスギ花粉症対策として、ディーゼル排気規制を行なった東京都内で、ちっともスギ花粉症が減らなかったこと、もご説明しました。

An.:  極め付けは、その政策を推し進めて来た石原都知事自身が、生まれて初めてスギ花粉症になってしまって・・・・・・。

Dr.:  せっかくの排気ディーゼル規制と、大気汚染対策のすべてが間違っていたことを、我が身をもって証明してしまったことです。

An.: それで原点に立ち戻って、よくよく大気汚染説の出発点である日光いろは坂の論文を検討したら……。

Dr.:  実は車両通行量の増加と、それに伴う道路の舗装が背景にあって、いったん地面に落下しそれまでならば、吸収されてしまうはずのスギ花粉がですね。つまり、地面に吸い込まれてしまわないために消滅せず、車輪に巻き上げられて何回も空中を舞っている。その花粉が、人間のハナの粘膜を2倍も3倍も刺激してしまう、そういう現象が生じていたらしいと、推測できました。

An.:  そうすると、三好先生のご説の「原因があるから結果が発生する」、もしくは「原因が増えたら結果も増える」というお話しどおりになっちゃうんですね!

Dr.:  そうです。吸い込むスギ花粉の量が多ければ、スギ花粉症はひどくなりますから。空中を舞い散る花粉が何倍も増えれば、スギ花粉症も何倍か悲惨なものになる、当たり前の結果になります。

An.:  そうか!  わざわざ、ディーゼル排気汚染のせいにしなくっとも、スギ花粉症増加は説明できちゃうんだ。

Dr.:  そこなんです。最初の日光いろは坂の論文は、せっかく真実に迫りながら、当時騒ぎ始められていた複合汚染観に、それこそ汚染されちゃって……。

An.:  真理を見通す、澄んだ「目」が濁ってしまった?

Dr.:  当時はすべて、環境汚染が諸悪の根源と認識されがちでしたし、むしろそれと異なる意見は、異端視されかねない状況だったんですよ。「先入観」とでも言うべきなんでしょうか?  真理を求めるときには、時代の雰囲気に惑わされずに、目の前の現象そのものに集中して議論すべきなんでしょうね。
  でもね江澤さん。その点「江澤の第六感」は、いつでもサエわたっていますからね!

An.:  えっ、それじゃ三好先生、江澤は自分を信じて良いんですね。

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Dr.:  サエてる江澤さん。今日は、大気汚染説じゃないんですが、一時日本人すべてが信じ込んでしまいそうになった、寄生虫によるスギ花粉症予防説をご紹介します。

An.:  三好先生、それは何でしょうか?  寄生虫がスギ花粉症予防に、役に立つんですか。

Dr.:  すでにこの説を私たちが駆逐して、14年になります。ですから、ご存じない方が多くても、不思議はないんですけど。
  でも江澤さん、近年日本人は清潔になり過ぎた、このため日本人はひ弱になり、その結果スギ花粉症などアレルギー疾患が増えた、というお話しは聞いたこと、ありませんか?

An.:  知ってます、知ってます。

 現代の日本そのものがあまりに清潔なので、人間はアレルギーになり易くなったんですよね! だから人間は、ことに子どもたちのうちは、少しくらい不潔でも逞しく育った方が良いんですよね。
  たしかに、あんまり清潔に過保護に育てられたら、ひ弱でアレルギーになり易い子どもが増えますよね。

Dr.:  江澤さん。それが、いかにも それらしい「先入観」だと、思いません?
  これまでお話ししたとおり、現代の日本は新生児死亡率の劇的な低下が見られ、栄養の改善もあって、日本人は明らかに健康になっています。
  一方社会的には、感染症の原因となるようなバイ菌やウィルスが、極端に減少しています。
  この栄養の改善と感染源の減少により、日本人は感染症に強くなりました。けれども以前お話ししたように、人間の免疫能力は力を持て余すこととなり、過剰防衛反応を示すようになります。これが、スギ花粉症などのアレルギー疾患なんです。

An.:  それじゃ、江澤がこれまで三好先生から伺ったご説明では、「日本人ひ弱説」はまったく間違いだ、と。

Dr.:  江澤の第六感、復活ですね(笑)。
  実はこの、粗食に耐えて多少不潔な生活が良いというのもことスギ花粉症に関しては誤った先入観です。
  むしろ日本人は過剰防衛反応を引き起こすほど、栄養も環境も飛躍的に良くなった、と考えるとスギ花粉症の増加が理解できます。

An.:  三好先生、「先入観」の意味が良く判りました。
  それで、先程から話題になっている、寄生虫がスギ花粉症を予防していたって、どういうことなんでしょうか?

Dr.:  私たちのご説明でもそうなんですが、現実的に見ても栄養状況の良くない、感染症の多い途上国に、アレルギー疾患の少ないのは、事実です。
  そうした途上国は感染症が多く、新生児死亡率も高いんですけど、そこではバイ菌やウィルスだけでなく寄生虫の多いことも、事実です。

An.:  寄生虫というと、回虫だとかサナダ虫だとか……、想像するだけで寒気がします。

Dr.:  その寄生虫が、スギ花粉症を押さえる物質を分泌していて、だから寄生虫の多かった時代にはスギ花粉症が少なかった、との説があるんです。

An.:  寄生虫が人間の役に立っていたんですか?

Dr.:  一部の説によると、人間と寄生虫とはお互いに役立つ存在だった、それを人間の一方的な論理で寄生虫を退治してしまったので、スギ花粉症が激増したんだ、人間と寄生虫には「共生の妙」が成り立つんだ、と言うんですけど。

An.:  三好先生、先生がその説をバッサリ切り倒して、駆逐したんですね?
  次回の三好先生のお話し、楽しみです!!

寄生虫と花粉症は無関係だった!「清潔」も!?

Dr.:  ここに、ある新聞に掲載された、カイチュウ博士こと藤田紘 一郎教授についての、文章があります。これを読むと、15年前の雰囲気が蘇ってくるような気がします。江澤さん朗読していただけませんか?

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An.:  「共生の妙」とタイトルされた文章ですね。読みます。
  「わずか30年ほどの間に日本人の体に生じた変化は少なくない。なかでも寄生虫の感染率が70%から、0.02%に落ち、スギ花粉症の患者が10倍に増えたのは、変化のすさまじさを象徴するものだ。この増減に因果関係があるとは思いもしなかったが、スギ花粉症やアトピー性皮膚炎の急増は寄生虫が日本国内から消滅したことが、その最大の原因と東京医科歯科大学教授の藤田紘一郎さんが文芸春秋で紹介している。開発途上国で寄生虫の調査を続けている藤田さんは、寄生虫感染率の高い国の在留邦人にアレルギー病がきわめて少ないことに気がついた。その仕組みはこうだ。寄生虫にかかった人の体内では、寄生虫の排泄物が抗原になってアレルギー反応のもとになる抗体が作られる。さらに活性のない抗体も作られ、“たとえスギ花粉やダニがやってきても、もはやそれらに対する抗体を産生する余裕がなくなってしまう”から、アレルギー症状がでにくくなるという。細胞レベルの実験ですでに確かめている。(つまりアレルギーの)発症に虫すなわち寄生虫を追い出した体内事情がより大きな原因と見る。ニホンザルも花粉症にかかるがその数が少ないままなのはなぜか。サルの寄生虫感染率が約80%で40年間変わっていないことが京大の調査でわかり、人に多発する訳もはっきりした。この結果は寄生虫に感染することの勧めではない。回虫などの排泄物を精製することで予防薬ができる期待を抱かせるものだ。人と寄生虫の関係は人間が考える以上に巧妙で、一方の論理で相手をばっさり退治することの反作用がいかに大きなものかも教えてくれる」。

An.:  三好先生これを読むと、「共生の妙」の関係にある人間と寄生虫は、お互い助け合って生きているんだから片方がもう一方を、排除すると害が出る。この場合はスギ花粉症がそれで、寄生虫と共存している人間は、スギ花粉症にならない。そんな印象を受けますね。

Dr.:  これは、1994年に出版され、講談社出版文化賞を受賞した「笑うカイチュウ」という本に引用された、読売新聞・三木健二論説委員のコラムなんですけれどもね。
  これを読むと、寄生虫を体の中に飼っていれば、スギ花粉症にならずに済む、みたいな錯覚を受けます。
  実際にこの本の著者の藤田紘一郎教授は、アレルギーやダイエットにとても良いと称して、5mmほどのサナダムシの幼虫を2匹飲み込んだりしています。

An.:  エーッ!  江澤は気持ちが悪いです・・・・・・。

Dr.:  私たちも、藤田先生のお話しは、どこかヘンだなと思いました。そこで電話で藤田先生の了解を得て、中国で実施中のアレルギー調査で、寄生虫検査も行なうこととしました。

An.:  それって、いわゆる「検便」ですか?

Dr.:  まず検便を行い、アレルギー調査結果との比較をしました。
  ところが、検便の結果寄生虫はきわめて少なく、中国の小中学生のアレルギーの頻度と、寄生虫陽性率との間には何の関係も無かったんです。

An.:  それじゃサナダ虫を呑んでも……。

Dr.:  スギ花粉症には、あまり効きそうにありません。

An.:  江澤は、本当はサナダ虫はキライです(笑)。

Dr.:  私たちはこの結果をもとに、藤田先生に電話をかけました。

An.:  (息を呑んで)そ、それでどうなりましたか?

サナダムシは大嫌いな院長と江澤アナ
サナダムシは大嫌いな院長と
江澤アナ
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Dr.:  再現します。
(藤田先生の口調で)それは、検便のやり方が悪いんだよ。素人には検便は難しいんだ。
(三好)検便は南京医科大学寄生虫学教室の担当です。検便のプロですよ。
(藤田)検便に出ない寄生虫だっているんだよ。
(三好)それは充血吸虫のことですか? 寄生虫の中でも、すごく充血吸虫は少ないはずですけど、中国にはそんなに多いんですか?(藤田)……いや……いない。
(三好)それじゃ、この結果からは、アレルギーと腸管寄生虫つまり回虫やサナダ虫とは、関係ないと見て良いですね!!
(藤田)……ウ……ム……(沈黙)。

An.:  つまりカイチュウ博士自身が、自説の矛盾を認めたって訳ですね。

Dr.:  私たちも、これで藤田先生があやまちを認めてくれるなら、それ以上追求しないときめたのですが。

An.:  負けを認めなかったんでしょうか?

Dr.:  私たちは抗議の電話を何回も、東京医科歯科大学に入れました。

An.:  どうなりましたか!

Dr.:  藤田先生は、居留守を使うようになりまして。
  大学院生が電話に出て、「藤田先生は、今、NHKの取材で出掛けるから」とか。

An.:  まぁ、そんなことが。

Dr.:  私たちはとうとう、学会の場で正式に、寄生虫によるスギ花粉症抑制説が誤りであることを証明しました。
  加えて、「共生の妙」もウソであり、サナダ虫を呑んでもアレルギーは治らないことも、私たちが証明しました。

An.:  江澤は、サナダ虫を呑まなくて良かった!

Dr.:  実は、タッチの差だったりして。

An.:  三好先生、これでも江澤は天然の美貌を誇ってまして、カイチュウやサナダ虫は必要ありません(笑)!

Dr.:  恐れ入ったところで、今回のお話しはおしまい。
  さて、スギ花粉症千夜一夜物語、次回のお話しは何でしょうか?

An.:  三好先生、この次も待ち遠しいです。

シーズン中の対応策

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An.:  寒かった冬も、ようやく姿を消し、やっと春らしくなって来ました。
  でもこの待ち焦がれた春は、スギ花粉症の真っ盛りでもあります。
  三好先生、三好先生にはこれまで、スギ花粉症の解説や予防についてお話しを伺いましたが、今回はシーズン真っ最中の対応策について、教えて頂きたいと思います。

Dr.:  イヤー、実は私もスギ花粉症気味でしてね……。

An.:  ええっ!  スギ花粉症についてはプロの三好先生が、花粉症になっちゃうんですか。

Dr.:  私も何年か前までは、自分は花粉に鈍感だと信じ込んでいたんですけどね。自分のこととなると、やっぱりつらいですよ。

An.:  三好先生、スギ花粉症っていうのは、人それぞれに花粉を蓄めるコップを持っていて、そのコップが溢れると発症するんだって、江澤は聞きました。

Dr.:  すべての病気というのはですね、遺伝的要素と環境的要素とから成っているんです。花粉症の発症をコップの大きさに例えるならば、その個人がそもそもコップを持っているかどうか、持っているとしたらそのコップの大きさはどれくらいなのか、それが遺伝で決まるんです。

An.:  だから、スギ花粉症になり易い人となりにくい人、とがいるんですね。

Dr.:  環境、つまり簡単に言うならばスギ林の傍に住んでいるかどうか、そういう要素もありますから、すべてが遺伝で説明はできないんですけど。

An.:  でも、環境が似たような条件だったなら、遺伝で決まる可能性が高いんですね。

Dr.:  それを花粉症(アレルギー)のコップに例えて、説明しているんです。

An.:  花粉コップの小さい人は、少しスギ花粉を吸い込んだだけでも、スギ花粉症になってしまうんですよね。そしてコップの大きい人は、何年間か花粉を浴びていても、症状の出ない時期が続いていて、そしてある日突然……。

Dr.:  くしゃみ・鼻みず・鼻づまりの発作に襲われちゃうんですけどね。

An.:  花粉コップが一旦溢れてしまったら、その人はその後一生毎年スギ花粉症発作に苦しめられるんですか?

Dr.:  花粉コップという例えは、もう一つの意味があって。
  実は、もしも花粉コップがいっぱいになってしまっても、その人がしばらく花粉に接触しなかったら、コップはまるで蒸発するように水位が下がって、スギ花粉症を発症しづらくなるんです。

An.:  えっ、花粉コップは蒸発するんですか!

Dr.:  これは実証されていまして。私の共同研究者の内科の先生が、大分大学在学生のスギ花粉症の程度を、血液検査で調べていたんです。1年生の入学時と、4年生の卒業時の2回、検査したんですけどね。

An.:  それで、どうなりました?

Dr.:  大分大学はスギ林に囲まれていまして、スギ花粉がたくさん飛んでいるんです。
  一方入学生は、全国各地から大分大学に入学しますので、それまでスギ花粉に縁のなかった学生もいます。

An.:  大分大学でも1年生は、そんなにスギ花粉症はひどくないんですね。

Dr.:  ところがその1年生たちも、スギ林の中で4年間を過ごすと、すっかりスギ花粉にお馴染みになります。

An.:  つまり、スギ花粉症になっちゃう。

Dr.:  内科の先生が採血すると、同じ学生でも1年生のときより4年生のときの方が、体内のスギ花粉反応が花粉にさらされた分、ずっと強くなっているんです。

An.:  やっぱりー。

Dr.:  ですから、遺伝条件の違う学生たちでも、環境条件が同じだったら、同じスギ花粉症になっちゃう、ということが判ります。

An.:  ああ、なるほど。

Dr.:  ところが、めったに無いことなんですけれど、冷夏の影響で花粉の飛ばない年度がありまして。1年生の入学時よりも、同じ学生でも4年生の卒業時の花粉飛散数が少ないと、江澤さん、どうなったと思います?

An.:  普通は、4年間順調にスギ花粉を浴びるから、4年生の方が1年生のときよりも、スギ花粉症がひどくなるんでしたね。
  4年生の時の方が、花粉が少なかったとしたら……。
  三好先生、まさか卒業間近の4年生のスギ花粉症が、まるで楽勝だったなんてこと……。そんなことありませんよね。

Dr.:  1993年、細川内閣が戦後初めて外米を輸入した寒い夏は、その影響でスギ花粉がまったく成長しませんでした。その翌年の1994年春のスギ花粉飛散は、信じられないくらい少なかったんです。

An.:  それじゃ、花粉症も……。

Dr.:  ほかの年度の学生たちは、4年生の卒業時のスギ花粉症が1年生の時点より、はるかにひどかったんですけど。91年に入学して、94年春に卒業する学生だけは、スギ花粉症がとても楽だったんです。

An.:  ホントに、そんなことがあったんですか!

Dr.:  ですから、スギ花粉症発症を花粉コップに例える場合、花粉量がコップのふちを越えれば発作が起きるようになります。しかし、逆に花粉に接触していなければ、花粉コップは蒸発して、スギ花粉症を起こさなくなるんです。
  ですから、花粉コップのお話しは全体の半分しか、一般の方には伝わっていないんですよ。

An.:  それじゃ、ちょっと困りますよね?

Dr.:  この例え話の本当の意味は、スギ花粉症になってしまった人でも、スギ花粉をうまく避けることができれば発作はひどくならない。そう、理解すべきなんです。

An.:  三好先生、私、真実に触れることができて、大感激です。
  次回の番組でも、たくさん真理を聞かせてくださいね。絶対ですよ!!

院長の出版物もご参照ください
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結論は……P.4 をご参照下さい
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