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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
 
 
三好耳鼻咽喉科クリニック ラジオレポート(16)
 

 耳・鼻・のどに関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉(いんこう)科クリニック」。院長を務める三好彰医師(日本睡眠学会認定医)は、30年以上、耳鼻咽喉の診療に携わる。今回は7月号に引き続き、6・7月にfmいずみで放送された「いびき」に関する内容を紹介する。

 [An.…江澤アナウンサー 、 Dr.…三好院長

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いびきは事故のもと

Dr.:  前回、いびきは夜間の酸欠状態によって昼間の強烈な眠気のもととなり、時には重大な事故を引き起こす睡眠時無呼吸症候群(SAS)につながることについて触れました。

An.:  そうでしたね。そういえば、先生から教えていただいた、SASによる新幹線の運転士居眠り事故の記事を見つけました。「2003年2月26日、JR山陽新幹線岡山駅で、東京行きの上り新幹線が、所定の位置より約100メートル手前で止まり、車両3両がホームからはみ出したままとなった。車掌が運転席まで駆け付けると、運転士は腰掛けたままで眠っているのが発見された。この運転士は、停車後も車掌に揺り起こされるまで眠り続けていた。運転士は体重が100キロを超える肥満のタイプであり、“5~6年前から睡眠中に何度も目が覚める”と周囲に話していたという」。これが先生のおっしゃる、SASによる事故の典型例なんですね?

Dr.:  この事故について、こんな項目が見つかりました。江澤さん、これも読んでください。

An.:  はい。「山陽新幹線の居眠り運転事故で、JR西日本は、運転士が重度の“睡眠時無呼吸症候群”、つまりSASだったと発表した。同社は新幹線の運転士約370人を対象に、SASの緊急診断を実施する。国土交通省も同日、睡眠障害の対策を鉄道各社に求める方針を決めた」。先生、やはりSASは、重大な社会問題の原因と認識されているんですね。

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Dr.:  この運転士の医学的検査結果も発表されていて、睡眠中1時間当たり40回くらい呼吸が停止したり、それに近い状態になったりすることが分かりました。

An.:  呼吸している時間の方が短いくらいですね。

Dr.:  この運転士の場合、「血中酸素飽和濃度」という、血液の中の酸素の濃度を調べてあるんです。これは、人間がきちんと酸素を吸い込んでいるかどうかの検査で、少なくとも97%は酸素を吸い込んでいないと病気扱いされてしまいます。この運転士は、睡眠中の血液の酸素濃度がわずか75%でした。

An.:  そうすると眠るたびに酸欠状態で、外見上は眠っているように見えても、脳や体は休めていないということですね。

Dr.:  そうです。だからこの運転士のようなSASの人は、夜間の睡眠不足を取り戻そうとするために、昼間はとても眠くなるんです。怖いのは、こうしたSASの人が、外見上は何の変化もなく、本人にもほとんど自覚症状がないことなんです。

An.:  自覚症状がなければ病気だと気付かないし、まして病院で検査しようとは思いませんよね。

いびきで脳梗塞に!?

Dr.:  居眠りをしてしまった山陽新幹線の運転士のように、必要な酸素が十分に取り込めなかったら、人間の体はどんなことをするでしょうか。

An.:  何とかして体中に無理やり酸素を押し込もうとする?

Dr.:  酸素を体内で運んでいるのは赤血球です。酸素を強制的に運搬しようとすると、血圧が上がってしまいます。それだけではなく、赤血球が増加するため血液が濃くなりドロドロになって、血管の中で固まりやすくなってしまうんです。

An.:  つまり、脳梗塞などが起こりがちになるんでしょうか?

Dr.:  もともと、いびきをかく人やSASの人は、高血圧で体中の血管が動脈硬化気味です。血管を流れる血液がドロドロだったとしたら、脳梗塞は当然ですよね。

An.:  いびきは怖いですね。

Dr.:  当院での実例ですが、42歳男性の場合です。高血圧が元からあり、たまたま頭痛がしたのでMRIを撮影したら、脳に梗塞の名残と副鼻腔(びくう)炎、つまり蓄膿(ちくのう)症が見つかりました。肥満気味の方で、鼻の通りが良くなかったことから、SASも付随していたので、まず、鼻の治療を開始しました。ところが鼻の治療開始後、1カ月も経たないうちに、脳梗塞の発作を再び起こしました。このため、脳外科での治療と並行して、当院でSASの検査を実施しました。そうしたら予想通り、かなりひどいSASだったので、早速その治療も始めました。

An.:  脳梗塞って…。命に別条は無かったんですか?

Dr.:  SASに対する呼吸管理療法(CPAPという機械を使用する治療法)や、肥満・高血圧の治療を行うことで何とかなりました。いびきやSASは、実際に脳梗塞を引き起こし、命にかかわりかねない病態だということは、こうした実例からもよく分かりますね。

An.:  三好先生、怖いいびきと怖くないいびきがあるように思えますが、その区別法は何かありませんか?

Dr.:  怖いいびきかどうかは、無呼吸を伴うかどうかによって判断します。単なるいびきだけならば、吸い込む酸素量の減少だけで済みますが、呼吸が止まるとなると、すぐさま酸欠状態になります。

An.:  それは影響が違いますよね。

Dr.:  次回以降は、当院で扱う具体的な症例と、いびき・SASの診断法や治療法についてお話ししたいと思います。

 今回ご紹介した三好耳鼻咽喉科クリニックのホームページには、専門のめまい・花粉症・いびきはもちろん、耳・鼻・のどに関する情報が満載。早速アクセスしてみよう。


関連リンク: 用語集 索引:げんき倶楽部杜人

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No.199
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