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2011年アレルギー調査レポート シルクロードを巡る旅4

9月20日(火)

 

ウルムチからトルファン

 この日は、カナスからウルムチに戻って夕食を摂り、東へ150㎞の位置にあるトルファンへ3時間かけて向かうという強行スケジュールだったので、一行はお腹がこなれる暇もなくバスに乗り込みました。

北京へ続く道

 ウルムチを発したバスは、ウイグル自治区を東西で二分する天山山脈を越え、国道をひた走ります。

 道中、一定間隔で〝3、397〟という数字の看板が目につき、徐々に数が減っていくのに気がつきました(図1)

 はて、これは何を表しているのだろうか……。
 よくよく考えてみると、この国道は中国東の北京市からウイグル自治区西端のカザフスタン国境まで、約4、400㎞にわたり中国を横断するための道路だと気がつきました。
 そして、看板の数字は首都・北京までの距離数を表しており、地球の円周4万㎞の十分の一に相当する道路を造っているという事実に、驚嘆してしまいました。

 近年、中国国内のエネルギー消費量の増大に伴い、この土地から産出されるエネルギー資源に注目が集まっています。特に、タリム盆地(タクラマカン砂漠)の天然ガス埋蔵量は膨大で、生産される天然ガス量は中国国内で最大規模となっており、他にも良質な石炭、希少金属、砂漠地帯に吹く風を利用した風力発電など、中国のエネルギー戦略の中核を担う重要な土地だということが伺い知れます(図2)

火州トルファンとシルクロード

 トルファン市は、紀元前206年・前漢時代から都市が築かれていた歴史深い街です(図3)

 北に天山山脈を臨むトルファン盆地の中央に位置し、そのほとんどの地域が海抜0m以下という低地にあります。
 特に、トルファン市街のそばにあるアイディン湖は、海抜マイナス154mという中国で最も低い位置にある湖です。
 鍋の底のような盆地特有の地形は、この地を過酷な環境に変えてしまいました。夏の最高気温の平均が40℃にのぼり、地表温度は80℃近くにまで熱されます。また砂漠地帯のため、風速20m以上の強風が常に吹き荒れています(図4)

 なぜ、こんな過酷な環境に数千年も人が住み続けているのか。

 それは、シルクロード上にある都市の共通点、オアシスの存在を抜きにしては語れません。
 敦煌、カシュガル、トルファンという有名な街は、交易路の重要な拠点であるとともに、荒涼とした砂漠を渡る旅人の、憩いのオアシスとして機能しています。
 特にトルファンには、遠くイスラムから伝えられたといわれるカレーズ(アラビア語ではカナート)と呼ばれる地下水路が、天山山脈の地下水脈から延々とひかれています。
 この水路は、水源となる天山山脈のふもとから街までの間に、2~30mおきの縦坑を掘り、次にそれぞれを横坑でつなげて水をひいています(図5)

 当時は、正確な測量機器などはありませんから、横坑を掘り進めていく際、ランプをともしてその光がまっすぐになるよう目印として使用し、全て手作業で掘り進められました(図6~図8)
 その結果、砂漠地帯に生まれた葡萄畑で生産されるブドウは、ワインの一大特産地として、トルファンに潤いをもたらしたのです。
 そうした、先人の苦労に想いを巡らしつつ飲むトルファンワインは、格別の味であったというのは参加した団員の言です。

我こそは斉天大聖・孫悟空

 一行は、西遊記の舞台となった、トルファン東の牛魔王の根城・火焔山に向かいました(図9・図10)

 表面は砂岩で形成されており、水の浸食の影響で溝が無数に走っています(ガリ侵食)。
 その様相が炎を思わせる形を刻み、夕日で赤く染まる地肌がまるで燃えているように見える事から、その名がついたと言われています。
 平均標高500m、長さ98㎞、幅9㎞で東西にのびており、シルクロードを旅する交易商人にとって、重要な目印になっていました。

 また、仏教の文化遺跡としても貴重なベゼクリク千佛洞が山腹に建設されています。これは、布教のために交易商人に同行した仏僧が建設した寺院の一つで、シルクロードには数多くの仏教建築が残されています。

 残念ながら、今回は牛魔王には会えませんでしたが、その圧倒されるような火焔山の雰囲気は、とても言葉では言い表すことができませんでした。


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