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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

ラジオ3443通信 花粉症特集2

ラジオ3443通信~「めまい」ダイジェスト2(全3回)~

耳・鼻・のどに関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」。めまい専門医として院長を務める三好彰医師は、30年余り、耳鼻咽喉の診療に携わる。今回は、2010年にfmいずみで放送された「めまい」に関する内容のダイジェストの第2弾を紹介する。

An.…江澤アナウンサーDr.…三好院長

めまいの原因は耳の中の石?

三好耳鼻咽喉科クリニック ラジオレポート(20)

Dr.:
 今回は、グルグル回って怖いが、良い治療法に巡り合うと一瞬で治ってしまうめまいのお話です。
An.:
 一瞬で治るんですか?
Dr.:
 耳の中に、めまいを感じる「耳石器」という装置があることは前回お話ししました。三半規管の脇にあるこの装置には、体の位置を感じ取る神経細胞の上に石が載っています。そして石は、体の傾きを神経細胞に伝える役割を果たしています。 ところが、交通事故で体をぶつけたなど、何らかの拍子にこの石が装置から剥がれて三半規管に入ってしまうことがあります。そうすると、どうなると思いますか?
An.:
 石が三半規管の中を揺れ動く?
Dr.:
 その通り。三半規管の中を石がフラフラと揺れると、この動きが三半規管のめまいを感じる神経を刺激し、そのたびに体はめまいを感じます。三半規管は体の回転を感じる装置ですから、そこの神経が刺激されると、グルグルと回るめまいが起きるんです。
An.:
 フラフラ・グルグルですか。
Dr.:
 ちょっとした体の方向転換で、目の前の世界がグルッと回ってしまうんですから仰天です。方向転換というほどではなくても、高い所にある小物を取ろうとして首を後ろに傾ける、靴ひもを結ぼうとして屈む、眠ろうとして頭を枕に沈める。そのような瞬間に目の前の世界が回転するので、まさに恐怖体験です。
An.:
 それは怖そう!
Dr.:
 ところがこのめまい「良性発作性頭位めまい症」、略して「BPPV」といいますが、めまい体操のような一種のリハビリ的な操作で治るんです。
An.:
 体操で治るんですか?
# ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
Dr.:
 このBPPVは、三半規管の中を石がフラフラと動くことで神経が刺激されて起きるため、石を三半規管から追い出してやればいいんです。
An.:
 一体どうやって?
Dr.:
 耳鼻科医では、BPPVのめまいを起こす体の向きと逆向きに、体をねじる治療をするんです。それを「エプリー法」といって、今、一番注目されているめまいの治療法なんです。実際にBPPVで当院を受診された方の体験記に目を通してみましょう。
An.:
 分かりました。これは66歳の女性です。三好先生、この方は先生のクリニックに来る前にも、他の耳鼻科に通院していますし、MRIまで撮影しているようですね。
Dr.:
 めまい専門医でなければ、通院しても結局、めまいの原因を明確にする診断は難しいようです。

BPPV患者の体験談

An.:
 読みます。「5年ほど前からめまいがあって、地方の耳鼻科で『メニエール病』と診断されました。MRIを撮影しましたが、異常なしでした。それから何回か、めまいがあり、2009年の12月末には起き上がれないほどのめまいがありました。それから1カ月間はひどい状態で、横になっても起き上がっても、めまいがしました。吐き気が強く、歩くのも困難な状態で、周囲の物が動いて見えました。グルグルと回ることもあり、症状のひどいときには、転ぶのが怖いので歩くのもゆっくりになりました。 三好耳鼻咽喉科クリニックを受診し、治療してからは体が軽くなりました。とても楽になり、いつものように歩くことができてうれしいです。車の運転も短時間なら大丈夫。ほぼ元通りになりました。知人に『めまいの治療をするなら三好耳鼻咽喉科クリニックがいいよ』と紹介したところ、3回の通院で回復したそうで、お礼の電話をもらいました」。三好先生、これは出来過ぎたようなお話ですね。
Dr.:
 当院受診前に1カ所の病院だけで済んでいる方は、むしろ幸運かもしれません。3、4カ所の医療機関を受診しても、改善が見られない方もいらっしゃいます。
An.:
 第2例は74歳の女性です。「朝起きるときや夜寝るときなど、体の向きを変えるとめまいが起こります。特に起床時と頭を後ろに傾けたときのふらつきが多く、しばらくすると落ち着きます。日中でも、電線に留まっている鳥を見るとめまいがします。実は、10年ほど前にひどいめまいで、総合病院の耳鼻科に10日間ほど入院したことがありました。 今回のめまいの際にもそこを受診したのですが、耳の中を見て『前回とはめまいの性質が違うので、脳に原因のあるめまいです』と診断されました。そして循環器内科を紹介されたのですが、異常はなく不安が募りました。三好耳鼻咽喉科クリニックを受診後、ひどいめまいはなくなりましたが、2回しか治療していないので、もう少し治療を続けようと思います」。この方も、先生のクリニックを受診後に改善が見られたようですね。
Dr.:
 そもそもBPPVという病名が知られていなかったことが最大の原因ですよね。まして、その治療法である「エプリー法」が、まだ宮城県ではほとんど知られていないという事実が、それに輪を掛けています。次回は、秘密の呪文ならぬ、めまい専門医なら誰でも行えるエプリー法についてご説明します。

ラジオ3443通信 花粉症特集2

ラジオ3443通信~「めまい」ダイジェスト3(全3回)~

三好耳鼻咽喉科クリニック ラジオレポート(21)

耳・鼻・のどに関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」。めまい専門医として院長を務める三好彰医師は、30年余り、耳鼻咽喉の診療に携わる。今回は、2010年にfmいずみで放送された「めまい」に関する内容のダイジェストの第3弾を紹介する。

An.…江澤アナウンサーDr.…三好院長

〝石〟を移動させてめまいを解消

An.:
 三好先生。今回も引き続き、良性発作性頭位めまい症、つまりBPPVの治療法についてのお話をお願いします。
Dr.:
 簡単にBPPVの症状について説明すると、朝目覚めて枕から頭を上げようとした瞬間、あるいは高い所にある物を取ろうとして顔を上に向けた瞬間、または靴ひもを結ぼうとして軽くうつむいた瞬間などに、一瞬間隔を置いて世界中がグルッと回ってしまうめまいです。耳石器の上に乗っている体の働きを神経に伝える小さな石が、耳石器から剥がれて半規管の中に入ってしまいます。
An.:
 以前、BPPVが起こっている方の耳の後半規管は、同側の耳介(じかい)と同じ形で位置していると伺いました。
Dr.:
 それでは、右耳がBPPVの場合、万有引力の法則に従って、後半規管の下にある石を上に移動させるには、どのような体勢を取ったらいいでしょう。
An.:
 あおむけの状態で右に首をひねって、頭を下げるのではないでしょうか。
# ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
Dr.:
 その通り。ベッドに横になり、ベッドの端から頭と首を出して力を抜きます。そして、頭と首を右45度にひねります。すると、後半規管内の石も半規管の下半分から上半分へ、重力に従って移動します(図1)。 次に、首を下げたまま左45度にひねるんです。そうすると、石はどこに移動するでしょう。
An.:
 半規管の真上に来ますね(図2)
Dr.:
 その石をもっと前に移動させて、後半規管そのものから追い出すには、どんな体勢を取る必要があるでしょう。
An.:
 ええっと。分かりました。首をもっと左にひねればいいんですね。どのくらいひねればいいんですか?
Dr.:
 首を下げたままで、左へ135度曲げるのが理想的です。体そのものを左に90度、つまり左横向きに寝て、さらに首を45度左にひねればいいんです。そうすると、石は重力で後半規管の前に移動し、外に出てしまいます。
# ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
An.:
 めでたし、めでたし!
Dr.:
 そうしたら、ゆっくりと体を起こして、普通の姿勢に戻ります。2、3回繰り返して行い、石が複数、後半規管に入っていた場合でも、完全に外へ出すようにします。これが「エプリー法」。めまい専門医なら誰でもできる治療法です。途中でめまいが発生するため、飲み薬や注射で安定剤を投与してから実施します。必ず「あなたは眠くなる、あなたは眠くなる」と、心の中でつぶやきながら…。それが、BPPVを治す魔法の呪文なんです(笑)
An.:
 …私まで眠くなってしまいました。
Dr.:
 次は、他のめまい疾患について紹介します。

油断大敵なめまい疾患

An.:
 今回は、治療に一刻を争うめまいについて教えてください。
Dr.:
 めまい疾患の中には、油断すると二度と元の健康な状態に戻れない疾患があります。その一つが、突発性難聴によるめまいです。
An.:
 どのような病気か教えてください。
Dr.:
 突発性難聴とは、ある日、急に耳の聞こえが悪くなり耳鳴りがして、グルグル・フラフラといっためまいが起きる病気です。原因はさまざま。内耳の血管が詰まって神経に影響を及ぼしたり、ウイルスによる感染などが内耳の神経に起こっていたりといった原因が考えられます。病変の範囲が小さいと、かたつむり管だけの症状、つまり聞こえの悪化や耳鳴りが目立つのですが、詳しく検査すると、耳石器や半規管も無関係ではないようで、めまい検査で異常が分かります。
An.:
 早期発見・早期治療が重要だと伺いました。
Dr.:
 もし内耳の血管が詰まっていたら、一刻も早く除去しないといけません。そのために専門医では、内耳の神経の機能を回復させるビタミン剤や、酸欠状態による組織の水膨れを抑えるステロイド剤などによる治療を直ちに開始します。さらに組織の酸素不足を補うために、酸素タンクに全身を入れる高圧酸素療法を行います。聞こえが悪くなってから1週間以内、遅くても10日間のうちに何らかの手を打たないと、手遅れだと考えられています。
An.:
 酸素タンクに入るんですか?
Dr.:
 耳のために良いことは、全部徹底して治療に使うということです。
An.:
 この他に、突発性難聴で注意すべき点はありますか?
Dr.:
 突発性難聴のような、めまいや耳鳴りを伴う疾患の中に、脳腫瘍(しゅよう)が潜んでいることがあります。こういった形で発症する脳腫瘍は、聴神経腫瘍といって、脳と内耳の間にある第8脳神経にできるものがほとんど。最近はMRIなどの精密診断機器が身近にあるので、比較的早い段階で診断ができるようになりました。
An.:
 めまいは、早期発見・早期治療が大切で、めまい専門医に診てもらうことがとても重要だとしっかり理解できました。三好先生、ありがとうございました。