3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

スギ花粉症と七つの海

# ロビン・フッドがいなくなって、そしてカモガヤ花粉症が出現した。
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An.:
三好先生、前回は英国でカモガヤがすごく繁殖している、そういうお話しを伺いました。だから英国で、世界初の花粉症が19世紀の初頭に出現した、とも教えて頂きました。ただそれまで英国には、オークつまり樫(かし)の大木の森林が至るところで見られたのに、いまではそれらが無くなり、今ではカモガヤの大草原が目立つようになった。そのナゾについて、今回はお話しが聞かせて頂けるとか。江澤は、とても楽しみに待っていました。
Dr.:
江澤さんは、「無敵艦隊」って名前を聞いたことがありますか?
An.:
ええ、もちろん知ってます。宇宙戦艦「ヤマト」とか、そういうSFですよね(笑)。
Dr.:
お話しは、そこから少しワープするんですけどね。 そもそも、歴史上世界を制覇した国は全て、7つの海をその支配下に治めていました。
An.:
三好先生、「7つの海」って良く聞く言葉なんですけど、どの海のことを指すんでしょうね?
Dr.:
今日も突っ込みの鋭い江澤さん。この言葉は、その時代によって異なることがあるんです。古代から現代まで、世界の広さは時代によって違ったんです。
An.:
その時代の人間の、行動半径を反映していると、理解できますね!
Dr.:
さすが1を聞いて10を知る江澤さん、その通りです。 「7つの海」の代表例をいくつか挙げますが、これ以外にも時代によって別の基準もあるんです。
An.:
先生、古い時代から順番に、教えてください。
Dr.:
まず帆船つまり大きな帆を挙げて、季節風の力で航海した中世アラビア人の時代。
An.:
アラビアン・ナイトの世界ですね、わぁステキ!
Dr.:
アラビアン・ナイトの「千夜一夜物語」が成立したってことは、それだけ広い世界の情報が当時のイスラム社会に集まって来ていた、その証拠です。
An.:
それって、時代は西暦で言うと、いつ頃のお話しなんでしょうか。
Dr.:
イスラム帝国が紀元630年から、1200年頃までの国家です。その頃中国では、「唐」の国が618年に成立しており、いわゆる「シルク・ロード」で東西に交通路が結ばれていた時期なんです。
An.:
判りました! だから「アラビアン・ナイト」も、毎晩お伽話をして3年間近く続くことになるわけですねぇ。
Dr.:
で、お話しは元に戻るんですけどね。その中世アラビア人の時代、「7つの海」は次の7つを数えたんです。①大西洋、②地中海、③紅海。これは、紅の海との字を当てます。アラビア半島とアフリカ大陸との境となる海です。④ペルシャ湾。これは、アラビア半島とユーラシア大陸との間にある海です。⑤はアラビア海ですが、ここからインドの南側の海沿いに東へ行くと、⑥のベンガル湾となります。このベンガル湾とは、インド洋の北側の、ガンジス川の河口のあるところです。なおここには、チベットのラサ市を流れているヤルツァンポ川が、インドへ入ってプラマプトラ川と名前を変えて、インド洋に流れ出る場所でもあります。江澤さん、ヤルツァンポ川って名前、覚えてますよね?
An.:
ええ、ダライ・ラマが亡命した際、越えて行った川ですよね!
Dr.:
江澤さんには、ホントにお話しのしがいがありますよね。で、最後の⑦は南シナ海となります。中国のまっすぐ南側で、ベトナムのあるインドシナ半島の、東側です。
An.:
当時の7つの海って、海岸沿いにあって、余り大きな海は入ってなかったんですね。
Dr.:
江澤さんは、いつも良いところに気が付きますね! これは、当時の帆船による航海技術による制限があったんです。
An.:
「7つの海」は、その後歴史とともに変わって行くんでしょうか?
Dr.:
1054年に、ローマカトリックとギリシャ正教の2つにキリスト教が分裂します。ヨーロッパはイスラム教の影響を排除し、キリスト教中心の世界となります。当時のヨーロッパでは、7つの海はこうなります。 ①大西洋、②地中海、③黒海、④カスピ海、⑤紅海、⑥ペルシャ湾、⑦インド洋。
An.:
それって、完全にヨーロッパの範囲内に入っちゃいますよねぇ・・・・・・。
Dr.:
当時は、アフリカの喜望峰を帆船で越えてアジアへ行くことが、技術的に難しかったんです。アジアの海へは、イスラム教徒の支配する陸を横断して、次の海に到達したんです。ですからキリスト教徒のみの世界では、陸路のかなたの海は、7つの海に入らないんです。
An.:
ああそう言えば、その時代に現在のヨーロッパの基礎ができたんですよね!
Dr.:
江澤さんは、私のお話ししないことまで、みんな知ってるんですね(笑)! でもその後、大航海時代と呼ばれる、マゼランやコロンブスの時代が到来すると、また7つの海は違って来ます。
An.:
マゼランの世界一周後、7つの海はどうなったんでしょうか?
Dr.:
いわゆる大航海時代の7つの海は、①大西洋、②地中海、③カリブ海、④メキシコ湾、⑤太平洋、⑥インド洋、そして⑦北極海、となりました。 現代では7つの海は、①北大西洋、②南大西洋、③北太平洋、④南太平洋、⑤インド洋、⑥北極海、⑦南極海、とされています。
An.:
先生、その7つの海と花粉症には、どんな関係があったんでしょう?
Dr.:
花粉症関係だけに話を絞って整理すると、西欧が舞台のこういうお話しになります。 アラビア以前の世界を支配したギリシャやローマ、そして大航海時代の世界を支配下においたポルトガルやスペイン。これらの海洋国家が没落するのには、共通の理由があるんです。江澤さん、それは何でしょう。
An.:
普通に考えると、資源の不足が背景にありそうですけど。う~ん、判りません。先生、次回の種明かしを、今から楽しみにしています。本日も興味深いお話し、有難うございました。

英国と無敵艦隊

# 水晶玉を抱き、アラビアン・ナイトを語る森秘書
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An.:
三好先生前回は、英国ではオークつまり樫の木の森林が消失しカモガヤの大草原の出現したことが、世界で初めて英国で花粉症が発見された背景にある、と伺いました。そしてその背景には、世界の7つの海を制覇した歴史的大帝国の没落がある、とも聞かせて頂きました。 先生、この1週間江澤は必死で考えたんですけど、やっぱり大帝国の没落と花粉症の発見の関係が、良く判りません。今回はそのナゾを、江澤にだけこっそり教えてください。お願いします。
Dr.:
私は江澤さんのおねだりには、すっごく弱いので・・・・・・。ご説明します。
An.:
待ってました!
Dr.:
お話しは繰り返しになりますが・・・・・・。 花粉症関係だけに話を絞って整理すると、西欧が舞台のこういうお話しになります。 アラビア以前の世界を支配したギリシャやローマ、そして大航海時代の世界を支配下においたポルトガルやスペイン。これらの海洋国家が没落するのには、共通の理由があるんです。江澤さん、それは何でしょう。
An.:
歴史的国家が没落することがあるとしたら、それは先生もしかすると軍備が不十分になるせいじゃ、ないでしょうか。ギリシャやローマ、ポルトガルやスペインなどの海洋国家の軍備は、船ですよね。 もしかしたら先生、これらの歴史的国家に船が不足するようになったとか・・・・・・。まさか、そんなこと、ありませんよね?
Dr.:
実は江澤さん、これらの海洋国家が世界を股にかけて活躍した時代、船は木造の帆船だったんです。
An.:
映画で見る海賊船なんかも、たしか、そうでしたよね!
Dr.:
ですから国家を守るための軍艦はすべて木造で、と言うことはそれを製造するためには大量の材木が必要となるんです。
An.:
つまり、国内の森林が軍艦製造に使用されて、だんだん材木が不足するってことですね?
Dr.:
さすが鋭い江澤さん。英国を例にするならば、大英帝国の軍艦の建造に、一隻あたり樹齢100年以上のオークの大木が、2000本は必要だったんです。 おまけに帆船では、風を受けて船を動かすための、巨大なマストが必要でしたから。
An.:
軍艦一隻の製造に、森林一つが無くなってしまうような、そんな感じだったんでしょうか。
Dr.:
スペインやポルトガルに伝えられたお話しでは、軍艦一隻のために一山の木々がすべて、切り倒されてしまった、とのことです。 こうしたお話しは、それ以前の海洋国家だったギリシャやローマでも、同様に起こったことでしょう。
An.:
それじゃあ、あっと言う間に国中の木々が切り倒されてしまって・・・・・・。ああ、それで軍艦の建造ができなくなってしまって、軍備が不十分になるんでしょうか?
Dr.:
江澤さんはもしかすると、それを目の前で見ていたんじゃあないでしょうね。すべて、江澤さんの推測通りなんですよ。
An.:
これは江澤の、単なる第六感です。
Dr.:
サエわたる江澤さん。それじゃあ、軍艦のための巨木を切り倒した後に、同じような巨木がすぐに生えて来るものでしょうか?
An.:
日本のスギの木のお話しじゃあありませんが、まずありませんよねぇ。
Dr.:
それゆえに、こうした古い海洋国家は滅亡します。すると江澤さん、それらの国で、木々の切り倒された後はどんな状態になるでしょうね?
An.:
日本では木々の切り倒された後は、ハゲ山が残りましたよね、先生。ギリシャやローマじゃ、ハゲ山ではなさそうなんですけれど。
Dr.:
ギリシャやローマのような、地中海に面した降雨量の少ない地域では、大きな木々は生えて来ません。乾燥した荒地に、オリーブのような背丈の低い植物が、生えているだけです。 スペインやポルトガルのような西ヨーロッパは、降雨量に不足しませんから背丈の低い木々や雑草は生えて来るんですけどね。
An.:
それで先生、肝心の英国ではどうなったんでしょうか。
Dr.:
お話しは、ここからが本番です。 英国が、それまでの海洋国家に替わって7つの海を独占し、大英帝国となったのはいつ頃のことだったでしょうか。
An.:
先生そう言えば、「無敵艦隊」。江澤もあれから勉強しまして、ですね。宇宙戦艦「ヤマト」でないことは、良く理解できたんですよ。あれは、スペインの帆船による大艦隊で、その威力によりスペインは世界を支配してたんですよね!
Dr.:
ガレオン船と呼ばれる巨大な木造帆船の軍艦を中心とした、当時世界最大の海軍を「無敵艦隊」と呼んでいたんです。この軍艦の戦法は、丈夫な軍艦の舳先(へさき)で敵の船に突っ込み、船員が敵の船に傾れ込んで(なだれこんで)戦うものだったんです。
An.:
江澤もそのシーンは、「宝島」の映画で見たことがあります。
Dr.:
ところが肝心の対英国戦では、このガレオン船は浅瀬に突っ込んで動けず、英国海軍による舷側(げんそく)つまり船の脇腹に据え付けられた大砲を浴びてしまい、完璧な敗戦を迎えます。1588年のことでした。
An.:
その海戦をきっかけに英国は・・・・・・。
Dr.:
その当時の、最後の世界制覇国家であったスペインは、国内の材木不足のために海軍を再編成することができず、国内や植民地の北米から木材の供給を仰ぐことのできた英国が、世界の表舞台に登場するんです。
An.:
それじゃあ英国は木材のお陰で、大英帝国になったんですね?
Dr.:
これらの木材がどんなに英国を救ったか、それはナポレオンのためにオランダやポルトガルがヨーロッパから姿を消したあの時期、英国だけがその国境を守り切ることができた事実を思い浮かべても、簡単に判ります。
An.:
えっ、オランダやポルトガルは、ヨーロッパの国じゃあなかったんですか?
Dr.:
お話しは次回のお楽しみです。
An.Dr.:
本日は、有難うございました。

サッカー選手とBPPV

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An.:
突然お話しが変わるんですけど、三好先生。なでしこジャパンの澤選手、激しいめまい発作のために戦線を離脱し、急遽帰国したんだそうですけど。 病名がなんと「良性発作性頭位めまい症」、つまり三好先生おとくいのBPPVだったんですねぇ! まだまだ、日本人には珍しい病名だったらしくって、マスコミなんかでは大騒ぎでした(笑)。
Dr.:
fmいずみでは、もうホントにごく当たり前の病名なんですけどねぇ。
An.:
先生、ここで全国のリスナーに向けて、澤選手の病気について、優しく解説して頂けませんか?
Dr.:
江澤さんにおねだりされると、私はとっても弱くって、ですね。この英国の花粉症のお話しもすっごく良いところにさしかかっていて、なんだか心惜しいような淋しいような(笑)。でも江澤さんの、おねだりは絶対ですからねぇ。
An.:
そう、来なくっちゃあ!
Dr.:
前回お話ししなかったんですけれどもね、良性発作性頭位めまい症つまりBPPVは、英語をそのまま訳すと「命に影響はないけれど、姿勢変換の時にすごく奇妙な起こり方をする、めまい」って、意味なんです。
An.:
「すごく、奇妙な、起こり方をする」んですね! 例えば、どんな風に奇妙なんでしょうか?
Dr.:
これまでご説明して来ましたように、BPPVは耳石という、内耳の中に位置して体の傾きを感じる役目を果たしているカルシウムが、ぶつかったとかの衝撃を受けたときに、めまいを感じる装置である三半規管の中に紛れ込んでしまってですね・・・・・・。
An.:
ぶつかったときの衝撃って、例えばサッカーの試合の最中のヘディングとか(笑)。
Dr.:
私も真相はその辺りかと・・・・・・。 まぁ、そんなことが背景にあって、耳石が内耳のリンパ液の中をフワフワ・グルグルと、揺らめき回るんです。そのついでに耳石は、三半規管のめまいを感じる神経細胞をすべて刺激して歩きますから。
An.:
耳の神経細胞から脳へ、「めまいだ、めまいだ、大変だ(てえへんだ)!」という信号が乱発されるんですね。
Dr.:
そうすると、体中を脳から発信されためまいの電気信号が駆け巡りますから、澤選手の体は真っすぐ歩くどころではありません。世界中がグルグル回っちゃって、立ってられなくなってひっくり返りますし、強い吐き気でもの凄く具合が悪くなります。
An.:
実際に吐いちゃうこともあるんですよね!
Dr.:
で、このめまいのその「奇妙な起こり方」なんですけど、ね。
An.:
ええ。
Dr.:
耳の中の三半規管が、角度によって耳石の刺激を受けて突然起こるものですから、その姿勢をとらなきゃまるっきり発生しないことも、あります。
An.:
じゃあ、普段はなんともないのに、サッカーの試合中に首を捻ったらいきなり起こる、みたいな状況もあり得るんですね。
Dr.:
だから週刊誌の一部には、帰国時の澤選手の笑顔を掲載して、「これがホントに病気なのか? 」みたいな書き方をしたものもあって(笑)、知識が乏しいことって結構恐いんだな、と思いました。
An.:
でも先生、これを機会に改めてリスナーの方には、BPPVに対する認識を新たにして頂くことができます。
Dr.:
そうですね。この激しいめまいは、決して他人ごとじゃなくって、自分がTVの前で毎日のように見ている有名人にも、目の前で起こるごくごく日常的な病気なんだってことですね。
An.:
もしかすると有名人だけじゃなくって、この自分にも、あるいは身近な知人にも起こる可能性があるって、こと ですよね。
Dr.:
いやいや、すでに原因不明のめまいが起こっていて、それがなんだか判らなかった悩めるめまいの方へ、澤選手のエピソードが伝わった確率も低くありません。現実に当院にもあの後・・・・・・。
An.:
BPPVの方が、すっごく増えたとか?
Dr.:
その通りなんです。最近当院では、BPPVの唯一の治療法であるエプリー法を、受けるために東北6県から多くのめまいの方が、見えておられます。
An.:
そのエプリー法については、2010年6月22日にこの番組でOAしてありますけれど。
Dr.:
番組の内容はすべて、私のホームページである「3443通信」にアップされてます。ですから、繰り返しご説明はしませんが、安全で確実な、しかも痛くない治療法で(笑)治すことができます。
An.:
先生、先生。その「痛くない」って、重要ですよね!
Dr.:
澤選手が当院のホームページを見てくださったかどうか、までは判りませんが・・・・・・。
An.:
アクセスは、すごく増加したんですね?
Dr.:
江澤さん、もう一度当院のホームページへのアクセス法について、ご説明をお願いします。
An.:
三好先生と江澤のギャグが、ふんだんに鏤められた(ちりばめられた)「ラジオ3443通信」ですが、ネットで「ミヨシサン」つまり数字で3・4・4・3と入力してサーチして頂ければ、三好先生のホームページが画面に出て来ます。
Dr.:
江澤さんの、幸せそうな笑顔も、画面いっぱいに広がります(笑)。
An.:
三好先生のホームページの中には、良性発作性頭位めまい症つまりBPPVに対する治療法、エプリー法が詳しく解説されています。中には、ムービーでその実施光景を公開しているページもありますので、ぜひご覧ください。
Dr.:
江澤さん、BPPVや澤選手のお話しは今回で終了。次からは又、世界初の花粉症である英国の花粉症のお話しですからね(笑)!
An.:
先生、お待たせしましたね。次も、とっても楽しみです。有難うございました。

BPPVのおきるわけ

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An.:
三好先生、前回は「なでしこジャパン」の澤選手の、良性発作性頭位めまい症について、お話しを伺いました。今回は引き続き、英国での花粉症はじめ英国ならではの病気について、お話しの続きが伺えるとか……。
Dr.:
ええ、そうなんですよ。考えて見たら、ロンドン・オリンピックもこの7月に開催されると言うことで、英国に一人娘を嫁入りさせてしまった私としては、英国の話題が頭を離れません。
An.:
先生の、英国に嫁いだ一人娘さんも、日本人の一人として、ロンドン・オリンピックのことは、気にしておられることでしょうね?
Dr.:
私も、実は気が気ではありません。先週のお約束を破るようなんですけれど、サッカー「なでしこジャパン」の澤選手のめまいについて、もう少しここでお話しさせてくださいな。
An.:
えぇえぇ、どうぞ先生のお気の済むまで、お得意のめまいのお話しをどうぞ。花粉症のお話しも、英国のそれの真っ最中だったことですし(笑)。
Dr.:
良性発作性頭位めまい症つまり、BPPVのその症状を簡単に説明すると、典型的なものはこんな形となります。
 例えば、朝目覚めて枕から頭を挙げようとした瞬間、あるいは高い所にある物を取ろうとして顔を上に向けた瞬間、または靴ひもを結ぼうとして軽くうつむいた瞬間などに、一瞬間隔を置いて世界中がグルッと回ってしまうめまいが発生します。
 これは内耳の耳石器と言う、体の位置を感じ取る器管の上に乗っているカルシウムの石や、小さなそのカケラがサッカーのヘディングなどの際に、そこから剥がれてめまいを感じ取る三半規管の、中に入り込んでしまいます。
An.:
その石が三半規管の中を、フラリフラーリと、体の姿勢に応じて動き回るんでしたよね? そして三半規管の、神経細胞をやたらに刺激するから、フワフワ・グルグルのめまいが、突然起きちゃうんですよね(笑)。
Dr.:
3つある半器管のうちでも、後半器管と呼ばれる一番後に位置するそれに、耳石は紛れ込み易くって。そのために、寝起きや頭の位置を急激に変換した瞬間に、突然めまいが起きるんです。
An.:
世界中が、いきなりグルグル回りだしたら、それこそビックリしてしまいますよね?
それに、すっごく心配になっちゃいますでしょうね。私はこのまま死んでしまうんじゃないか、なんて(笑)。
Dr.:
命に関わる病気を懸念するのも、ムリありませんよ。そのためか、このBPPVにかかった方は、たいていは先ず脳外科へ診察を受けに行くみたいです。
An.:
そりゃ、心配ですものね!
Dr.:
でもこのめまいは、内耳つまり耳のバランスを感じる神経の病気ですから、やはり耳鼻科それもめまい専門医へ相談してもらわなくっちゃあ。
An.:
耳の治療で、このBPPVは治っちゃうんですものね。
Dr.:
エプリー法と言う、めまい体操の一種で、このめまいは信じられないくらい、楽になるんです。その体験談のいくつかを、江澤さんここに持って来ました。いつものように、朗読してくださいな。
An.:
先生から、ホワイト・デイのクッキーを頂いて、ノドの調子は良いんです。読みます。 最初は、70代女性のお話しです。
〝6年前と3年前に激しいめまいと吐き気で入院し、脳外科や耳鼻科を受診しましたが、異常は見当らず原因不明でした。あきらめかけていたところへ、私と同じ症状で三好耳鼻科を受診して良くなったという話を知人から聞き、受診しました。エプリー法を受ける前までは、具合が悪くなるのではとの不安がありました。しかし実際には体の負担もなく、家に帰るときには体が軽くなって! 娘と会話さえできるようになって……、良かったです。受診後3日目の亡き主人の納骨を、具合悪くなることもなく迎えられたのが、一番うれしかったです。”
先生、この方は良いタイミングで治療を受けることができて、こちらまでホッとしてしまいますよね。
Dr.:
次の方のお話しも、どうぞ。
An.:
次は50代女性の方の体験談です。
〝エプリー法を受けたとき、めまいも吐き気もなかったんですが、ちょっと緊張してしまいました。不思議なことに、体操中急にポッと空気が抜けるような気分がして、耳の中のつまりが取れたような楽な気持ちになりました。治療前は起き上がれないくらいめまいがひどくて、家事さえできませんでした。実際、めまいがして吐き気が止まらず、他の病院へ行くと点滴と入院の繰り返しで、原因も判らず不安で仕方ありませんでした。でも、今は原因もはっきりして、日常生活も難なくこなせています。本当に楽になりました。”
Dr.:
澤選手のお陰で、この良性発作性頭位めまい症つまりBPPVが有名になって、病院を受診し易くなった一面はありそうです。
An.:
でも、めまい専門医がやはり理想的でしょうけどね(笑)。
次は、70代男性の体験談です。
〝めまいが起こったとき、私の弟がめまい専門医をインターネットで調べてくれましてね。そしたら三好耳鼻科があったので、受診しました。私は実は、震災で被災して仮設住宅に住んでいます。なので弟が、三好耳鼻科まで送り迎えをしてくれます。エプリー法を受けましたが、首の痛みもなく次の日からめまいがなくなりました。仮設に一人で住んでいるので、このままでは不安で仕方なかったんです。めまいがなくなって、こんな幸せなことはないなぁと思ってます。他に、めまいで困っている人がいたら、教えてあげたいと思います。”
Dr.:
震災に逢って、仮設住宅住まいでは、めまいは不安でしょうね。
An.:
まして、家族と離れ離れになってお一人でお住まいとのことでしたから、ね!
Dr.:
今回の大震災では、事故そのものの正確な情報がきちんと公開されなかったことが、被害を大きくしました。
An.:
病気についても、震災後の現時点だからこそ、正確で適切な医療情報が必要なんでしょうけれど……。先生、現実にはなかなかそこまで行っていない状況でしょうか。
Dr.:
でも、澤選手の報道が却って良い効果をもたらしたのかもしれませんね(笑)。
An.:
めまいはめまい専門医を受診して、精密で的確な治療を受けるよう心がけたいですね。