3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

第113回~院長の学会発表~日本耳鼻咽喉科学会

日本海を臨む朱鷺メッセ

(図1)コンベンションセンター (図1)コンベンションセンター

 5月のゴールデンウィークがあけたすぐの5月10日(水)、日本耳鼻咽喉科学会主催の第113回学術講演会が開催され、院長が上記の演題で発表を行ないました。
 発表内容は、過去の3443通信No.201「スギ花粉症の原因を探れ!」に、同じ内容を紹介しておりますので、そちらをご覧下さい。

 学会のメイン会場となった朱鷺メッセは、日本海に注ぐ信濃川の河口に近い新潟港西港区の万代島に、2003年5月1日に建設されました。その施設内には、展示場・会議室・オフィス・日航ホテルなどが併設され、一連の流れで大規模イベントを開催できる複合コンベンションセンターとして利用されています(図1)

新潟一のうなぎ屋さん

 そんな会場での学会発表を終え、疲れた心身に栄養補給! とばかりにやってきたのは、明治27年創業の老舗うなぎ料理店「瓢亭(ひょうてい)」です。

 静岡県浜名湖でとれた大ぶりの鰻を白焼きにして蒸篭で蒸し、余分な脂を抜いたあとに炭火でしっかりと焼きます。そして、何年も鰻を浸し、熟成させた秘伝のタレにつけた蒲焼きをいただきます。これには、余計な言葉は一切不要と言わんばかりの美味しさに、ほっぺが溶け落ちそうになります。

院長の愛読書 院長の愛読書

 残念ながら、あまりの美味しさに我を忘れ、写真を撮るのを忘れてしまいました。読者の皆さんには、ぜひ一度お店に足を運んでいただきたいと思います。
 なお、県内では2店舗が営業しており、今回お邪魔した白山本店のほかに、新潟三越にも支店があります。また、インターネットでも1日15食限定で鰻の蒲焼きが販売されていました。

スギ科とヒノキ科の統合!?

新潟の名産話から打って変わり、学会発表で触れた「スギ科とヒノキ科の統合」の話題について、お話ししたいと思います。

佐橋紀男先生 (図2)佐橋紀男先生

 今回の学会発表では、毎年スギ花粉情報を発信されている東邦大学訪問教授の佐橋紀男先生にも情報提供をしていただきました。
 佐橋先生は、私たちが毎年行なっている中国・チベットアレルギー調査にもご同行されたこともあります(図2)。もともとはシダ植物類の研究をご専門とされ、植物の植生調査を世界各地で行うなど精力的に活動される一方、新しい植物の発見など学術的な寄与をされました。

 その中でも、南太平洋に浮かぶニューカレドニアでは、非常に珍しい環境を目の当たりにされたそうです。
 ニューカレドニアは、オーストラリア大陸の東方1、200kmにある群島で、本島のグランドテール島は北西から南東にむかって細長く伸びています。島の中央には標高1、500mを超える山脈がそびえたち島を東西に分断しています。
 島の幅は50km~70km程度しかありませんが、山脈の東西で動植物の生息環境が大きく異なるそうです。熱帯雨林が形成される東側の地域と、反対に山脈の陰になり降雨量の少ない西側は乾燥林地帯となっています。

 なぜ、環境に差が生まれるのか。その原因は、太平洋を越えてくる貿易風の存在です。
 太平洋上で水分を多く含んだ貿易風は、島の東側から吹き込み山脈にぶつかることで上昇気流が発生します。上空で冷やされた空気は、上空で雨雲を生み大量の雨を降らせます。それにより、ふもとの森はゆたかな熱帯雨林となったそうです。

 そこでは、多くの新発見となる植物が生い茂り、また古くから存在する種もあることから、先生ご自身、とても興奮したとお話しされていました。ただ、それだけ自然が残っているということは、危険な病原菌を媒介する虫や、猛毒を持つ蛇、触るだけで肌が腫れるような植物など、多くの危険も潜んでいるということで、命の危険に曝されたことも少なくないそうです。

(図3)中国・天目山の大スギと佐橋先生 (図3)中国・天目山の大スギと佐橋先生

 その後、日本の戦後復興のために植樹された樹齢30年を向かえるスギの木から、大量のスギ花粉が飛散し、スギ花粉症が国民病と呼ばれるまでに猛威を振るいはじめました。そこで、一人でも多くの患者さんをスギ花粉症から救いたいとの思いから、スギ花粉の研究をすすめられました。(図3)
 最近の調査では、ヘリコプターで上空の花粉飛散の状態を調べるといったこともされたそうです。その結果、高度500~1、000mで花粉が飛散しているのが確認され、さらに高度3、000~5、000mでも計測されたそうです。その高さになるとジェット気流(偏西風)が吹いているため、より遠くに花粉が飛ばされる可能性もあるとお話しされていました。

 今回の発表でも、スギがヒノキ科に統合されたという話題に触れたのですが、これも、毎年スギ花粉飛散情報を発信されている佐橋先生からご教示いただいた情報で、「高等植物分類表」という本に詳細が記載されています。
 元々、スギ花粉とヒノキ花粉には同一のアレルギー反応を引き起こす性質が確認されていましたが、これは同じ種の植物だったということが証明されたということです。
 今後も、佐橋先生を初め、多くの先生方のご協力をいただきながら、調査研究を進めていきたいと思います。