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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

ラジオ3443通信 花粉症特集6 / 学校健診特集1

72話 カモガヤ花粉症のまとめ 産業革命

ロビン・フッドがいなくなって、そしてカモガヤ花粉症が出現した ロビン・フッドがいなくなって、そしてカモガヤ花粉症が出現した。
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An.:
三好先生、先生のお話しはなんだか、すっごくスケールが大きくってですね。こうやってお話しを次々と伺っていますと、どこからどうやって、ここまでお話しが進行して来たのか、すこーしだけこんがらかっちゃって。江澤の中では整理がつかなくなっちゃってるんですけど……。つまり、なんだったんでしょうか?
Dr.:
お話しはすっごく簡単でしてですね、江澤さん。人類の前に初の花粉症として出現したのが、英国のカモガヤ花粉症だった、というお話しなんですよ。
An.:
 先生、それはですね、それはよっく判っているんですよ。でもその前に、アーサー王のうっそうとしげわたるオークつまり樫の大木の森がなくなったり、ロビン・フッドがいなくなったり、したんですよね?
Dr.:
(澄ました顔で)そうですよ。
An.:
それから、ローマやギリシャのような古代の大国が没落して、ポルトガルやスペインも没落して、オランダは長崎の出島にしか存在しなくなって、ですね。
Dr.:
ポルトガルは、ヨーロッパじゃあなくってブラジルに本家があって、さまざまの混血の人種が生まれたんでしたよね?
An.:
そして、ヨーロッパじゃナポレオンが台頭して、ロシアに攻め入って敗戦して、エルバ島を脱出して、最後にはアフリカ沖のセント・ヘレナ島で独り亡くなるんでしたよね、先生?
Dr.:
(澄まして)はい、そうですが。
An.:
先生、頭脳明晰で知られた江澤が、その辺りで混乱しているんですけどね。
Dr.:
はぁ。
An.:
つまり、こうしたさまざまのエピソードと、世界初の花粉症の出現には、何の関係があるんでしたっけ?
Dr.:
それでは江澤さんには、本来の明晰極まりない頭脳を復活させて頂きましょう。江澤さん、ギリシャやローマでは、軍備に必要だった木造船の軍艦が、国内の木々を切り倒したために没落したんだ、そうお話ししましたよね?
An.:
思い出しました。
Dr.:
その後の世界国家だった、スペインやポルトガルも、同様に国内の木材を切り果たして軍備ができずに、没落したんでしたよね。
An.:
そうでした。
Dr.:
それに対して英国は、これだけ長いナポレオンとの海での戦いを制しつつ、最終的に1805年のトラファルガーの海戦で、世界の7つの海を制覇したんですよね?
An.:
そうなんです。その後のナポレオンは、ロシアに負けたり、敗戦続きでした。
Dr.:
つまり、ごく簡単に説明するならば、英国は世界最後の木造船による海戦の、トラファルガーの戦いで勝って、木造船の戦いを全て止めたんです。
An.:
止めたんですか? 英国は、勝利したんですよね。
Dr.:
その頃には実は英国にも、軍艦を建造するだけの大量の材木が、国内には無くなっていたんです。
An.:
それじゃあ英国だって、軍備ができなくなっちゃって、没落して行くしか運命がない……。
Dr.:
前に触れましたように、実際の英国も資源の枯渇から、生態学的危機と言われるまでの事態に直面していたんです。だからそのまま、運を天に任せていたら、英国だって滅びるのを待つしかなかったんですよ。
An.:
ええっ! そうだったんですか?
世界三代花粉症 ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
Dr.:
その瞬間英国に起こったのが、他ならぬ産業革命だったんです。1706年にエイブラハム・ダビーが、コークスによる製鉄法の開発に成功し、コークスを資源とするエネルギー産生法が英国では主体となります。
An.:
先生、それって、いわゆる産業革命じゃないんでしょうか?
Dr.:
江澤の第六感、復活ですね!そのために、1805年のトラファルガーまでは木造船だった英国の軍艦は鋼鉄製に変わり、それを動かす動力も大木のマストではなく、コークスを燃料としたエンジンに進化します。英国は、その産業革命の成果を元に、今度は7つの海を制した商業革命を、実行します。主な貿易対象となったのは、米国の東側に存在する西インド諸島でした。
An.:
先生、先生。インドが米国に存在するんでしょうか?
Dr.:
コロンブスは米国を発見したとき、インドと勘違いして地名を付けちゃったんですね。だから北米の現地人を西部劇の中では、インディアンって呼ぶでしょう。
An.:
西部劇。懐かしいですねぇ。二挺拳銃を持った、開発劇の主役が映画のヒーローで。
Dr.:
その時代、英国から世界中に商品を発送する基地となったのが、あのリヴァプール。
An.:
リヴァプールって、あの、ビートルズで有名な!
Dr.:
産業革命、そして商業革命のその時代から、リヴァプールは英国の文化の輸出基地だったのかもしれませんね。
An.:
そしてナポレオンを相手に、全精力を費やして戦った英国の国土には……。
Dr.:
そう、アーサー王やロビン・フッドのオークの森林ではなく、イネ科の植物であるカモガヤが生い茂り、その面積は全国の45%を占める、と言われます。
An.:
昔、中国の詩人はこう、唄いました。
「国、破れて山河あり……」
Dr.:
英国では、まるでその逆ですね。
「国、戦いぬいて勝ち、カモガヤの荒野、広がる……」
An.:
今じゃ、勝ち抜いた英国の国民が、勝った証拠のカモガヤ花粉症に、悩まされるんですね。味わい深いお話しでしたね。
An.:
どうも有難うございました。

73話 英国の医療制度

An.:
三好先生、英国は花粉症の発症の地と言うことで、花粉症対策も日本のスギ花粉症よりも、はるかに優れているんでしょうよね?
Dr.:
ましてや英国は家庭医制度、いわゆるGPのシステムがすごく発達していまして、ですね。全国民が、主治医である一般医に診てもらうのは、無料なんですよ。
An.:
それじゃあ、カモガヤ花粉症始めどんなひどい花粉症だって、十分な医療制度がたちまち治してくれるはずですね!
Dr.:
事実は小説よりも奇なり、と言う言葉は、実はここでも当てはまるんです。
これは、私の一人娘の嫁いだ英国での実際の体験と、私自身が英国のウェルズ大学に私の弟子を派遣した際の、大学視察の際の体験談なんですけどね。
An.:
「英国の花粉症診療の真実や、いかに!」ってとこですね。
英国のカモガヤロール 英国のカモガヤロール
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Dr.:
お話ししましたように、英国ではGPつまり家庭医、これは日常的に各地域の住民の健康管理のすべてを把握しているんです。そして住民がちょっと健康を崩すと、風邪などの一般的な病気なら、ごく弱い風邪薬などを処方してくれて「お大事に」と。まぁ、それだけなんですけどね。
An.:
お医者さんが「お大事に」でおしまいなんでしょうか!?
Dr.:
少しでも手の懸かる病気、例えば感染症などは、すぐさま感染症専門医へ紹介されて、予約となります。
An.:
家庭医で、余り効き目の強いお薬を処方したりしないのは、何か理由があるんでしょうか?
Dr.:
さすが1を聞いて10を知る江澤さん!江澤さんには以前のOAで、疫学調査と言う調査法について、お話ししたことがあります。
An.:
確か、病気の発症の頻度やその広がり方から、病気の発生原因を突き止めて行く学問のこと、でしたよね?
Dr.:
その通りです、江澤さん。そしてその疫学調査が世界で初めて行なわれたのが、英国を代表するテムズ河でのコレラの大流行だったんです。
An.:
テムズ河が原因で、コレラが流行したんですか?
Dr.:
当時、ロンドンの市民はテムズ河の水を飲み、しかも生活排水をテムズ河に流したんですから、コレラなどの病原菌がロンドン市民の日常を汚染したのは、当然のことです。時代的には、1832年から1849年頃に相当するんですけどね。
An.:
ドイツのローベルト・コッホがコレラ菌を発見したのが、1880年頃でしたよね。
ですから、こうしたロンドン市民の流行病は、コレラ菌が原因とは必ずしも判ってなかったわけでしょうか。
Dr.:
しかしロンドン市民は、テムズ河の水を飲用水として使用するのは危険と考えました。そして、テムズ河から飲用水を採取する場合、生活排水に使用される部位よりはるか上流から、上水道として別のルートで確保することに決めたんです。それにより、コレラの流行は激減しました。
An.:
日本のルーツのドイツ医学では、原因と結果との関係を明確に証明し、それから治療方針を決定しようと考えるんですよね。
Dr.:
それに対して英国で発展した、より実際的とも言える疫学的発想の医学では、原因追求と並行して危険因子の除去を、まず行ないます。それで治療効果が現れない場合、感染症でも花粉症などアレルギーでも、専門医の予約となるんです。
An.:
それはすごく合理的。江澤には、そんな気がします。
Dr.:
たしかにこれは一面合理的なんですが、例えばGPで対応できないひどい感染症でも、専門医の予約は少なくとも半年待ちとなります。その間は風邪薬と「お大事に」だけで、どんなに必要であっても速効性のある抗生物質など有効な薬は、GPでは処方しません。
An.:
じゃ、小さなおでき程度の感染でも?
Dr.:
GPでは抗生物質は処方されませんので、痛みを堪えながら(こらえながら)半年待つ。そういうことも稀ではありません。
大抵は、プライベート・クリニックで自費診療を受けることになるようですけれど。
An.:
それじゃあ、せっかくの「揺りかごから墓場まで」のうたい文句も……。
Dr.:
現実に即していない面は、ありそうです。
An.:
それじゃ、英国発症のカモガヤ花粉症でも、似たようなことが?
Dr.:
耳鼻咽喉科専門医自体が、極端に少ないものですから、予約診療となると半年先も厳しいかと……。
An.:
ありゃま、季節性の花粉症は、シーズンが終了しちゃうかも知れませんね。
Dr.:
ですから、英国の花粉症患者は、シーズン中はGPで処方された、ごく弱い点鼻薬程度で、すさまじい花粉飛散の季節を、涙と水っパナに耐えつつ過ごすことになります。
An.:
あんまり、世界初の花粉症発現の地の恩恵を受けていないような気もしますね。
Dr.:
逆に言えば、日本にお住まいのスギ花粉症の方は、自分たちがどんなに恵まれた医学環境に囲まれているのか。それをご存じありません。日本は英国とは異なり、痒いところに手の届くような医療がなされてますからね。
An.:
人間って、自分たち自身のことを、案外知らないものですから、ね!
Dr.:
せめて、江澤さんと私のギャグが、絢爛豪華に鏤め(ちりばめ)られている、このラジオ3443通信と、当院のホームページを十分に活用なさって頂きたい。そう、願っているんです。
An.:
ラジオではお見せできないんですが、江澤も精一杯の笑顔をリスナーの皆様に、マイクを通じてご覧頂いていますし(笑)。
Dr.:
リスナーの皆様にご活用頂けるお話し、と言えば。
An.:
そう言えば先生、英国はともかく、日本のカモガヤ花粉症は、どう対処すべきでしょうか?
Dr.:
次回は、そのお話しです。

74話 カモガヤ花粉の飛散時期

An.:
三好先生、季節は五月晴れの、1年でももっとも気候の良いシーズンにさしかかっています。
スギ花粉症が4月半ばで終了し、ようやく一息吐(つ)いているスギ花粉症患者の方も、少なくはないでしょうけど(笑)。先生、このシーズンに特有の花粉症も、もちろんあるんですよね?
Dr.:
はい、実はこれまで延々とお話しして来た、ナポレオン戦争の結実とも言えるカモガヤ花粉症が、五月晴れのさなかの今、シーズン真っ盛りなんです。
An.:
えっ、こんな天気の良い時期にカモガヤ花粉に怯えるんでしょうか?しかも、日本で、ですよね。
Dr.:
カモガヤはイネ科の植物で、5月のゴールデン・ウィーク明け辺りから、花粉を飛ばし始めることが多いんです。
ですから、季節としては五月晴れの、1年でももっとも気候の良いシーズンに、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりの、ひどい発作に襲われることになるんです。
An.:
カモガヤって、復習になりますけど、どんな花粉でしたっけ?
Dr.:
植物学的な分類で言いますと、イネ科の雑草で、数十㎝の高さの草なんですけどね。
道端や、川添いなどに、固まって生えて来るんですけど。仙台でもちょうどこの時期、エフエム泉から七北田川に向かって歩いて行くと、たくさん伸びているので、いっぺんで判りますよ。
An.:
ああ、あの道端の雑草ですね!
Dr.:
江澤さん。江澤さんは子どもの頃、学校へ通う途中、あの草むらを蹴っ飛ばして歩いたり、引っこ抜いて振り回したり、しませんでしたか?
An.:
そう言えば、子どもの背丈くらいある雑草、憶えてます。
Dr.:
あの草が、子どもの通学する早朝に、一番花粉を飛ばすんです。
An.:
それじゃあ、子どもは知らないうちに、花粉を吸い込んでいるのかも、知れませんね。
Dr.:
一般的に、子どもは花粉症になりにくいと言われてますけど、そんな事情からカモガヤ花粉症は、子どもにも良く見られます。
An.:
やっぱり、花粉を吸い込むタイミングが関係してるんですね。
アレッ、でも先生、子どもって、どうして花粉症にならないんでしょうか?
ダニやHD(ハウスダスト)のアレルギーは、子どもでも少なくないのに。
Dr.:
この番組でも、何回かご説明しましたけれど、花粉症などアレルギー疾患は、抗原抗体反応と言いまして、ですね。
An.:
アレルギーの原因物質があって、それに対する過敏反応が生じるんでしたよね?
Dr.:
やっぱり、1を聞いて10を知る江澤さん。それでは、抗原の多い方、もしくは抗原に曝される(さらされる)時間の長い方と、少ないあるいは短い方と、どちらが花粉症になり易いでしょう?
An.:
それは先生、抗原が多かったり、長く暴露されている方が……。ああ、そうか。
Dr.:
ダニや、そのカケラのHD(ハウスダスト)は、1年中そこらへんにありますから。子どもだって、1年中そういう抗原を吸い込むんです。だけど花粉症では、例えばスギ花粉症なんか、1年の中の2ケ月程度しか、吸い込みませんよね。
ダニ ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
An.:
って言うことは、単純計算してスギ花粉を吸い込むのは、ダニやHDの6分の1ですからぁ。
Dr.:
もしも、ダニやHDのアレルギーを発生するのに、1年間かかるとしたら。スギに反応するまでに、どれくらいかかるでしょうね?
An.:
先生、6年間です。なるほど、それで、子どもは花粉症になりにくいんですねっ!
Dr.:
江澤さん、座布団10枚です(笑)。
だけど、カモガヤ花粉症は、子どもたちがわざわざ自分で手にとって吸い込んでいるので。
An.:
自分で花粉症を作っている、そんな感じですね。
Dr.:
そこから、カモガヤ花粉症に対する予防策も、判って来ます。
An.:
スギ花粉症でも、花粉に対する防御策が、一番の予防でしたから。カモガヤも同じですね。近寄らない、吸い込まない、と言うことでしょうか。
Dr.:
今となって見れば笑い話なんですけどね。このシーズンに、犬の散歩をすると鼻がヘンになる方が受診したことがありまして。
An.:
まさか! 犬のせいかと、思っておられたんでしょうか(笑)。
Dr.:
犬を手放そうかと、真剣に悩んでおられたので。真相をご説明して、愛犬は無事でした(笑)。
An.:
勘違いしておられたんですね!
Dr.:
それから、八乙女にお住まいの方で。歩いて通勤して、泉中央までお通いなんですけども。通勤中、いつも鼻がおかしくなるって、相談にいらしたんです。
江澤さん、八乙女からエフエム泉のある泉中央まで、どういうルートで歩くんでしょうか?
An.:
七北田川に懸かる橋の上を歩いて来ることに……。
Dr.:
繰り返しますが、七北田川の川端には何が生えているでしょうね。
An.:
セーンセ! カモガヤの密集地帯の真上ですよ(笑)。
Dr.:
その方は通勤の度に、高濃度のカモガヤ花粉を、吸い込んでおられたんです(笑)。
An.:
すごく、分かり易いお話しですね。
予防に勝る防御なし、でしょうか。治療の原則は、カモガヤもスギも同じですね。
Dr.:
で、このカモガヤを乾燥させて、サイロに入れて家畜のエサにするものですから。
An.:
世界初の、花粉症が英国で発見された理由が、とっても良く理解できました。その対策と治療も、原則は同じなんですね。
Dr.・
An.:
どうも有難うございました。

75話 学校健診の重要性

カモガヤ カモガヤ
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An.:
三好先生、今回から少し話題を変えて、この時期どこの学校でも真っ最中の、学校健診について、教えて頂きたいんですけれど。
Dr.:
日本では、義務教育の期間、学校保健法という法律によって、小中学生の学校健診が行なわれます。
An.:
江澤も小学校の頃、学校にお医者さんがやって来て、恐がって泣きそうになってる子ども相手に、泣かないよう優しく診てもらった記憶があります。
Dr.:
学校健診では、児童つまり小中学生が健全な学校生活を過ごせるよう、病気の診断よりも健康管理の観点から、子どもたちを診るんです。
An.:
健康って、なんだか漠然としてますけど、つまり病気じゃないってことなんでしょうかしらね?
Dr.:
定義のお話しをすると、ややっこしくなる面もあるんですけどネ。WHOつまり国際保健機構の概念では、「身体的にも精神的にも、また社会的にも完全な良好な状態にあることであって、単に病気や虚弱でないということではない」こと、なんだそうです(笑)。 まぁ、それはそれとして(笑)。
An.:
で、健康管理と言いますと?
Dr.:
具体的なお話しをしますと、学校健診では、内科・歯科つまり歯医者さん・眼科・耳鼻咽喉科が、学習に差し支えのある病気がないかどうか、チェックするわけです。
An.:
三好先生も、耳鼻咽喉科健診にはあっちこっちの学校へ、行って来られたんでしょうよね?
Dr.:
仙台市の学校だけじゃなくって、北海道白老町や栃木県栗山村などにまで赴いて、小中学生全員の健診をしました。
An.:
耳鼻咽喉科健診って、どんなことをするんでしたっけ?
Dr.:
病院へ来てもらって、子どもたちを詳しく検査するわけではないので、ごく簡単なスクリーニング検査だと思ってください。
An.:
スクリーニングなんですね?
Dr.:
ですからこの健診では、人間ドックを受けたときみたいに、表から見えない病気まで発見するのは、ちょっとムリです。
でも、例えばプールに入ると拗らせて(こじらせて)しまうような、中耳炎とか副鼻腔炎つまりハナ垂れ小僧さん、もしくは子どもさんでも睡眠時無呼吸症候群つまりSASになり兼ねない、扁桃の肥大など。そうした、学校生活や学習の妨げになりそうな病気は、健診で見つかります。
耳かすも、良く見つかるんですけどね。
An.:
えっ、耳かすも病気なんですか?
Dr.:
健診で耳穴を覗き込んだだけで、奥まで見通せるわけじゃありませんので。その奥に何があるか、判ったもんじゃありません。
内側に中耳炎が隠れていたり、耳かすでもすごくがっちり固まっていたりすると、プールでふやけて難聴、つまり聞こえのすごく悪くなってしまったりすることもあって。
An.:
だから、学校健診はプールの前の時期に、一斉に実施されるんですね!?
Dr.:
さすが、1を聞いて10を知る江澤さん。その通りです。
ましてや、中耳炎とか鼻炎とか、具体的な病名の健診結果が出るようでしたら、絶対に耳鼻科外来受診は疎か(おろそか)にしないでください。
An.:
その鼻炎って病名、つまりアレルギー性鼻炎のことなんですか? 花粉症とか。
Dr.:
いえ、これも健診での約束が決まっていて、ですね。健診で一目診ただけでは、アレルギー性鼻炎か副鼻腔炎なのか、区別のつき兼ねることもありますから。だって、アレルギーの検査や鼻のレントゲン検査をしなくっちゃあ、その両者は紛らわしいこともありますから。
An.:
先生でも、黙って座ればピタリとあたる、というわけには行かないんですね(笑)。
Dr.:
それができるのは、世界中で江澤さんただ一人ですよ(笑)。
An.:
じゃあ、健診でひっかった子どもさんたちのために。少し関連する病名について、教えてください。
Dr.:
お話ししましたけど、耳垢とか耳垢栓塞とか診断されたら、それを除去して中の鼓膜まで確認せねばなりません。
耳掻きや綿棒なんかじゃ歯の立たないような手強い(てごわい)、石のような耳かすの詰まっていることが多いですし、なにより中耳炎の有無を調べることは重要です。
An.:
中耳炎ってたしか先生、ハナ垂れ小僧さんに多いんでしたよね(笑)。
Dr.:
さすが、江澤さん。良く記憶してますね。でも、ここではもうちよっと詳しく、ご説明させて頂きます。
An.:
もっと深いお話しが伺えるんですね?
Dr.:
一口に中耳炎と言いましても、ですね。大雑把に分類して、急性・慢性・亞急性(あきゅうせい)とありましてね。
An.:
急性・慢性の中耳炎は判りますけれど、何ですかそのあ・あ・あ……。
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Dr.:
亞急性(笑)。
An.:
亞急性中耳炎なんて、聞いたことがありません。
Dr.:
以前のOAでは、滲出性中耳炎としてお話しを進めたものですから、判りにくいかもしれませんね。
An.:
思い出しました。それらは、どういうタイプの中耳炎なんでしてたっけ?
Dr.:
まず急性中耳炎は、風邪のハナ垂れさんで、青っパナが内側から鼓膜の内側に入り、中でウミが貯まって痛むものです。
An.:
すっごく痛いんでしたよね?
Dr.:
それに対して慢性中耳炎は、急性中耳炎などのために鼓膜に穴が開いちゃって、ときどきバイ菌が入るとウミが出るものです。
An.:
経過が長いんですね。
Dr.:
そして今回話題にするのは、第三の中耳炎、滲出性中耳炎です。
An.:
お話しが楽しみです。次回を待ってます。