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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

ラジオ3443通信 学校健診特集2

76話 中耳炎の種類

耳ばいきん ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
An.:
三好先生、前回のお話しでは中耳炎には、急性中耳炎・慢性中耳炎・滲出性中耳炎という3つのタイプがある、と伺いました。 急性中耳炎は、風邪からバイ菌が鼓膜の内側に入って腫れて、すごく痛むもののことですね。それに対して慢性中耳炎は、鼓膜に穴が開いてしまっていて、ときどきウミの出て来るタイプでしたよね。 先生、急性中耳炎は名前のように、急激に起こって、わりと早くおさまっちゃうんでしょうね? 大体、どれくらいの期間で、治るものでしょうか。
Dr.:
風邪が流行っていたり、秋から冬にかけての寒くなって行く時期には、続けて2~3回急性中耳炎になっちゃうこともありますが、まぁ1週間から10日程度でおさまっちゃいますよね。そもそも病気の名前で、「急性」って名称が付いていたら、3週間以内で経過する病気のことです。
An.:
それじゃ、「慢性」って、どれくらいの経過なんですか?
Dr.:
病気としては、3ケ月以上経過するものに「慢性」の病名の付く、ということになってますが。相手が人間の体ですから、言葉通りには行かないことも、時々あります(笑)。
An.:
今日まで急性だった病気が、明日っから慢性になるってのもなんだか(笑)。ピンと来ないような気もします。 それから、第三の中耳炎である滲出性中耳炎については、どんなものでしょうか。
Dr.:
滲出性中耳炎では、鼓膜は正常なんですけどね。 鼓膜の内側に、水みたいな炎症性の液体が貯留して、鼓膜の動きが鈍くなるんです。
An.:
それじゃ、鼓膜は聞こえた音に応じて細かく動くことが、できなくなりますね。たしか鼓膜内外の気圧がおんなじじゃないと、音波は鼓膜にうまく伝わらないって、お話しを伺いました。 でもその鼓膜の内側の液体って、どうして貯まっちゃうんですか? どこから来る(笑)んでしょうか。
Dr.:
大抵は風邪なんかで、軽い急性中耳炎になりかけて、そのままおさまってしまったり。自分じゃ気が付かないうちに、軽い炎症が中耳腔つまり鼓膜の内側のスペースに、居着いてしまう。そんな機序で起こると、考えられています。
 ただ、この滲出性中耳炎は小さな子どもと、お年寄りに多いのが特徴です。子どもでは自分の耳が聞こえづらくなっても、本人が気付かないことも少なくありません。お年寄りでも、もともと耳が遠くなりかかっていたり、滲出性中耳炎による聞こえの悪化とは判りづらい面もあります。
An.:
小さな子どもとお年寄りに多いって、なんか理由があるんでしょうか?
Dr.:
以前にもお話しした耳管という、鼻の奥・のどの上から中耳腔に繋がる管が、鼓膜の内側すなわち中耳腔の換気を担っていまして。 ええっと江澤さん、建物の中の部屋でもドアを締め切っていると、空気の入れ替えができなくって、なんとなくジメジメするじゃあないですか。
An.:
します、します。
Dr.:
中耳腔も、事情は同じなんですよ。 耳管の調子が良くって、鼻やのどの気圧に応じてときどき開閉していると、中耳腔の換気がうまく行くので。
An.:
中耳腔は、あまりジメジメしないんでしょうか?
Dr.:
まぁそれは、例え話なんですけどね。 現実に換気が良くないと中耳腔には、炎症性の液体が貯まってしまいます。 そうすると、耳が詰まったようなふさがったような、なんとなく抜けないような。そんな不愉快な感じがして、聞こえがにぶくなります。
An.:
子どもやお年寄りは、その換気が余り良くないんでしょうかしらね?
中耳炎 ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
Dr.:
子どもの耳管の、のど側の入り口には、アデノイドと称するリンパ組織があります。 これはいわゆる扁桃腺と同じく、ごく小さな子どもの体の、免疫に関わっている部分なんですけど。そのなごりが大きいまま、耳管を塞ぐ(ふさぐ)形でのどに残存することがあります。それもほとんどが、4~5歳をピークに目立たなくなるんですけどね。でも子どもは、のど自体が狭いから。
An.:
そのアデノイドが小さくなっても、耳管の狭いこともあるんですね?
Dr.:
それで子どもでは、滲出性中耳炎が治りにくいんですよ。
An.:
お年寄りの場合は、どうなんでしょうね?
Dr.:
耳管も、そこに付いている筋肉の働きで開くんですけどね。 年令とともに、体全体の筋肉がくたびれて来ると……。
An.:
そうか、耳管を開く筋肉も痩せて来るんですね。
Dr.:
体全体も筋肉の力が衰えると、動かしにくくなります。
An.:
耳管も開きづらくなるんでしょうね。
Dr.:
ですから、お年寄りの耳の遠い場合には、年令的なものだろうと勝手に解釈して、放置しちゃいけないんです。加齢による難聴だけじゃなくって、滲出性中耳炎による悪化も考慮しなくっちゃ、いけませんからね。
An.:
滲出性中耳炎の聞こえの悪化は、治療で良くなるんですね?
Dr.:
鼓膜の内側の液体を、換気つまり空気の入れ替えでサッパリさせてやると、鼓膜の動きが改善し聞こえも良くなります。
An.:
それじゃ、お年寄りの耳の遠い場合は、やっぱり専門医で診てもらう方が……。
Dr.:
少しは、「耳より」なお話しが聞けるかも知れませんね(笑)。 それに滲出性中耳炎を治療した後の、老人性の聞こえの悪化も、補聴器の適合検査などで対応できますし、ね。
An.:
それはさすがに、専門家以外には難しいかも知れませんね。
Dr.:
後日お話ししますけれども、補聴器もその方にピッタリ合った機器を、専門医で選択しないと使いこなしは難しいんです。
An.:
ぜひそのお話しも、お聞きしたいです。
Dr.:
ゆっくり・じっくり・楽しく、お話しを進めたいと思います。有難うございました。

77話 子どもの滲出性中耳炎

An.:
三好先生前回は、中耳炎の一種類である滲出性中耳炎について、少しお話しを伺いました。 滲出性中耳炎って、耳の鼓膜の内側に炎症による水みたいな液体が貯まって、鼓膜の動きが鈍くなるんでしたよね?
Dr.:
ええ、その結果耳の聞こえが悪くなるものですから。
An.:
それも、子どもとお年寄りに多くって、中々診断がつきにくいこともある、と教えて頂きました。
Dr.:
お年寄りでは、年令的な聞こえの悪化と混同されがちですし、子どもでは自分から耳の聞こえの悪化を、症状として訴えることはないものですから。 学校健診などの機会に、耳のチェックをすることは、子どもの耳の健康に役立ちます。
An.:
先生、今回は学校健診に関連した病気のお話しということで、子どもの滲出性中耳炎についてご説明頂ければ……。
Dr.:
大事なことなので繰り返しますが、子どもの滲出性中耳炎が見つかりにくいのは、急性中耳炎のときの耳の痛みなどに較べ、はっきりした自覚症状に乏しいからです。
An.:
じゃ、親が傍(そば)で見ていても、気付きにくいことも。
Dr.:
少なくありません。
An.:
具体的に言うと、滲出性中耳炎って子どもでは、どんな状況になるんでしょうか?
Dr.:
最初に、耳の聞こえがやや鈍くなります。でも本人は子どもですから。聞こえが悪いなんて思ってもいません。 なんとなくこの頃ボーッとしていることが多くなったとか、テレビの音量をやたらに上げるようになったとか、最近お母さんのお小言をまるっきり聞かなくなったとか(笑)、本人よりも周りの人が先に気付きます。
An.:
お小言を聞かなくなるんですね(笑)。
Dr.:
中には、わが子がテレビににじり寄っていくようになったのを見て、てっきり子どもの目が悪くなったせいだと信じ込んで、眼科に相談に行ったお母さんもいたくらいです。
An.:
確かに目が悪くっても、そうなりますよねぇ。
Dr.:
ズキズキすることはないんですけれど、チクチクと痛むことはあるようです。
An.:
いずれにしても、子ども本人から自覚症状を訴えることはまず無い、ってことですね。
Dr.:
親御さんとか、お子さんの症状をご説明するときには、こういう表現をしています。 「ちょうど、新幹線に乗ってトンネルに入った瞬間の耳の感覚」って言って。
An.:
あ、それ、判ります。 なんとなく耳がツーンとして、塞がったな、耳に蓋をされたような。そうそう、高い山に登ったときにも、そんな風になることが。
Dr.:
さすが1を聞いて10を知る江澤さん。そんな感じの耳になります。 それとね、江澤さん。こう付け加えると、お母さんにはとっても判り易いみたいです。「お母さんのお小言だけは聞こえない、都合の良い耳になってますよっ、て。」(笑)
An.:
センセ! それ、すっごく判り易いですよね(笑)? 江澤の耳も時々、都合の悪いことはまったく聞こえなくなるんですけど、ね(笑)。
ヴァルサルヴァ法 ヴァルサルヴァ法
Dr.:
でもそれは、江澤さんお得意の「耳抜き」をすると、治っちゃいますよね?
An.:
耳抜きって先生、鼻を摘んで思いっきり息むんでしたよね。
Dr.:
それを横文字で、ヴァルサルヴァ法って呼ぶんですけどね。 空気を、耳管を通じて中耳腔つまり鼓膜の内側に送って、内外の気圧を調節する手軽な手法なんです。
An.:
でも、子どもさんでは難しそう……。
Dr.:
それ以外にも、子どもさんの滲出性中耳炎には、さまざまの治療法があって。子どもさんの中耳炎の状態に応じて、工夫をするんです。
An.:
子どもさんの滲出性中耳炎は、アデノイドの大きさとか、成長によって変化する要因が多いですからね。
Dr.:
子どもさんの中耳炎はね、江澤さん。成長して体が大人に近くなると、そんなに頻繁に悪化しなくなります。
An.:
それは、どうしてでしょうか?
Dr.:
子どもさんが急性中耳炎になり易いのは、子どもの耳管が大人に較べて、太く・短く・横向きに位置していて、のどの炎症のバイ菌が中耳腔に入り込み易いせいです。 ですから、急性中耳炎の軽い炎症が中耳腔つまり鼓膜の内側のスペースに、居着いてしまう。そんな機序で起こる滲出性中耳炎も、子どもの耳管の構造に関連して発症するんです。
An.:
大人の耳管って、構造が違うんですか?
Dr.:
大人では、体全体が縦・横とも大きくなるので、耳管もそれにつれて引っ張られるような感じで、細く・長く・斜めというかきつい角度で位置するようになります。 このため、のどの炎症のバイ菌も、子どものときほど簡単に中耳腔までは行かなくなります。 ですから子どもさんと異なり、大人は急性中耳炎にも滲出性中耳炎にも、なりづらいんです。
An.:
一言で、子どもさんの体と大人の体って区別しますが、大体年令的にはいくつ位で別れ目となるものなんでしょうか?
Dr.:
男の子と女の子の区別って、単純に考えれば生まれた瞬間から判りますけど、これを第一次性徴(せいちょう)と言います。 それに対して、成長するに伴って男の人らしい体になる、もしくは女の人らしい体つきになるのが、第二次性徴と呼ばれる外見の変化です。 それが大体9歳前後ですから、子どもと大人の体の別れ目は、9歳と理解して良いかも知れません。
An.:
9歳なんですね!?
Dr.:
思考つまり考え方も、具体思考から抽象思考へと変化しますし、ましてや中耳炎の病態も大きく変わります。
An.:
三好先生、次回のお話し、楽しみです。

78話 「つ」離れをおこす年齢

鼻炎 ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
An.:
三好先生、前回のお話しでは、中耳炎は9歳を境として、病態が大きく変化するとか。本日は、そのお話しの続きですね?
Dr.:
江澤さん。中耳炎における、「つ」離れって言葉をご存じですか?
An.:
「つ」離れ、ですか? 何のことでしょう、ね(笑)?
Dr.:
急性中耳炎と滲出性中耳炎に、なり易い年令が子どもさんにはありまして、ですね。 1歳、これはもちろん0歳も含めてのことですけど。1歳から9歳までは、なり易い年令と言われています。
An.:
それからは子どもさんの体が、大人のそれに変化するからなんですね?
Dr.:
さすが、1を聞いて10を知る江澤さん。それでは「つ」離れとは、どんな意味でしょうか?
An.:
判りました先生。1歳から9歳までは、年令に「つ」という字がくっつきます。1つ・2つ、という具合に。でも10歳になると、10(とお)と呼ぶので「つ」は付かなくなる。つまり、子どもとは言えない年令になることです!
Dr.:
さすがは江澤さん。 それでは江澤さん、1歳から10歳までの年令呼ぶときに、「つ」という文字はいくつ、ついて来るでしょうか、ね?
An.:
そりゃ先生、決まってますよ。1つ・2つと数えて行って、10(とお)じゃ「つ」はくっつきませんから。9つですっ!
Dr.:
それじゃ試しに江澤さん。一緒に、指折り数えてみましょうよ。 もしも、江澤さんの指の数が足りないようだったら、こちらから指を貸して上げても良いんですよ(笑)。それじゃご一緒に。
An.・Dr.:
ひとぉーつ・ふたつ・みっつ・よっつ・いつつ! むっつ・ななつ・やっつ・ここのつ・とお。
An.:
あらっ、指を10本使っちゃった。ってことは先生、1つから10までの数を数えると「つ」は10あるんですね!?
Dr.:
「いつつ」に「つ」が2つ、含まれていたんですよね(笑)。 で、「つ」離れをすると、人間は中耳炎になり難くなるんです。
An.:
なんだか、納得したような、なんだかケムに巻かれたような……。江澤は奇妙な気分です。
Dr.:
エヘン! 真面目なお話しに戻ります。 というわけで、子どもの体は9歳を過ぎると大人のそれに近付きますので、中耳炎に関連する耳管も大人の構造となります。 このため、風邪などでのどに炎症が発生しても、そんなに簡単には耳管を通過せず、中耳腔にバイ菌が入り難くなります。 その結果、10歳以上の年令では急性中耳炎にはなりづらくなります。
An.:
急性中耳炎になりにくいってことは、滲出性中耳炎からも縁が遠くなるんでしょうか?
Dr.:
さすがは1を聞いて10を知る江澤さん。10歳以上では、たしかに滲出性中耳炎の頻度も、減少するんです。
An.:
ってことは、逆に言えばその年令に達するまでは、滲出性中耳炎の管理が重要なんですね?
Dr.:
先にお話ししました通り、子どもさんでは自分の耳が聞こえないなんて、一度も考えたりしませんし。ほったらかしにされると、学校の成績は当然落ちますし……。
An.:
授業でも、内容が聞き取れなかったら、ついて行けませんもの、ね。
Dr.:
友達同士のコミュニケーションも、スムースじゃなくなりますから、一緒に遊ぶときにもなんとなくワン・テンポずれたりして。
An.:
鬼ごっこじゃ、いつまでたっても鬼のままとか(笑)?
Dr.:
それは冗談ですけど、子どもたち仲間の心の通い合いに差し支えることは、あります。このため、一種の仲間外れ状態におかれ、精神的に不安定になったりすることも、ゼロじゃありません。
An.:
そんなに滲出性中耳炎では、聞こえが落ちるんですね?
Dr.:
日常会話が聞き取りづらいくらいに悪化することも、決して少なくありません。 このため本人が困るのは当然として、周りの人から見ていても、滲出性中耳炎の子どもさんはボーッとしていて、集中力に乏しいように見えます。 江澤さん、ハナ垂れ小僧さんのお話しを憶えてますか?
An.:
ええ、昔懐かしい、ハナから真っ青な2本のハナ水をぶら下げた、あのハナ垂れ小僧さん!
Dr.:
ハナ垂れ小僧さんって、なんとなくボンヤリしていて、反応が鈍いみたいな、その外観から来る印象がありますよね?
An.:
一時代前の、ノンビリした時間のゆっくり進んでいた世相の、生き証人みたいに見えます。
Dr.:
ところがそのボンヤリした外観は、実はハナ垂れに伴う滲出性中耳炎が原因で、耳の聞こえが鈍かったせいだろうと、言われます。
An.:
えっ! じゃあハナ垂れ小僧さんの、成績低下はハナのせいじゃなかった……。
Dr.:
滲出性中耳炎が関与していた可能性も、指摘されています。
An.:
それじゃ、別にハナは垂れてなくとも、成績が下がるんですね?
Dr.:
それどころか、幼児期の言葉を獲得する時期に滲出性中耳炎に罹っていると、言葉の習得そのものに差し支えるとさえ、言われてるんです。
An.:
自分で自覚できない時期の子どもさんの滲出性中耳炎って、重大な影響を及ぼすんですねぇ。
Dr.:
ですから、親御さんの観察だけじゃなくって、3歳児健診に滲出性中耳炎の検査が含まれていて、早めに検出できるようシステム化されているんです。
An.:
その健診でチェックされた子どもさんは、耳鼻科医で検査し治療を受けるんですね。 本日も重要な興味深いお話しを、有難うございました。

79話 学校健診と滲出性中耳炎

鼻水たれ
An.:
三好先生、健診も含めてなんですけれど、自覚症状に乏しい滲出性中耳炎を、どうやってピック・アップし、どうやって治療するんでしょうか?
Dr.:
耳鼻咽喉科外来を受診する滲出性中耳炎の子どもさんは、すでに急性中耳炎などで耳の痛い状態を経験してから、耳鼻科医のもとを訪れます。ですから、親御さんも子どもさんの耳の状況には注意深くなっており、聞こえの微妙な悪化も耳鼻科医に伝えてくれます。
An.:
それなら、診断もつき易いかも。
Dr.:
それに対して、一般の耳鼻咽喉科学校健診では、子どもたちがさざめく保健室の中での健診ですから、滲出性中耳炎は見付けづらいのも事実です。それに、前回お話ししたように子どもたちの耳の穴の中には、結構いっぱい……。
An.:
耳かすが貯まっている(笑)!?
Dr.:
まず耳かすを取りのぞかなくては、鼓膜そのものを確認することができません。
An.:
鼓膜が見えなきゃ、滲出性中耳炎の診断も難しいのかも知れませんよね。
Dr.:
その点、3歳児健診では最初から滲出性中耳炎の検出を目的として、ティンパノメトリという機器を使用して健診を行ないます。
An.:
それは便利ですね。
Dr.:
もちろん、耳かすが完全に詰まっちゃっている耳では正確な結果が出にくいものですし、たまたま健診のその日に風邪っぽかったりする子どもも、健診結果が怪しくなりますから。
An.:
検査結果を、無条件に鵜呑みにするわけには行かないんでしょうけれど。
Dr.:
でも、怪しいと指摘してもらいさえすれば、あとは耳鼻咽喉科受診で正確な診断がつきますから……。
An.:
見逃されてほったらかしにされるより、はるかに良いんですよね。
Dr.:
学校健診の時期が、大体プールの始まる直前ですので、5~6月の耳鼻咽喉科外来は、学校健診の用紙を携えた子どもさんと親御さんで、満杯になります。
An.:
耳かすさんが多くって、大変そうですね。
Dr.:
耳かすをきれいに除去しないと、プールでふやけて耳の聞こえが悪くなったり、その奥に潜む滲出性中耳炎を見逃したりして、なんのための健診か判らなくなりますから。 でも、すっかり固まってしまった子どもさんの耳かすを、きれいに掃除するのって大騒ぎなんですよ。
An.:
子どもさんが、びっくりして泣きだしたりするかも知れませんものね(笑)。
中耳炎 ※画像をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
Dr.:
医者って恐いみたいなイメージがあるところへ、ピカピカのライトを頭に付けた耳鼻科医が、冷たい金属性の医療機器を使ってお耳の中を覗き込むんですから……。もしも、わたしが逆の立場だったら、絶対に泣きますよね(笑)。
An.:
耳かすって、どうやって取り出すんですか、狭い耳の穴の中から。
Dr.:
少し、耳かすをふやかす役割のある水薬を耳かすに垂らしてふやかして、それから水鉄砲でジョボジョボ洗うんですけどね。
An.:
子どもさんは、じっとおとなしくしているものなんでしょうか(笑)?
Dr.:
親御さんと看護師さんたちと、何人かで子どもさんを必死でささえるんですけどね。耳かすをとられる子どもさんは、泣くしわめくし鼻みずをたらすし、手足をあちこちから出して来るし、よだれで滑るし(笑)。 そこへ水鉄砲ですから、耳鼻科医も看護師さんたちも親御さんも子どもさん本人も、火事の消防活動の跡みたいな、水びたしの状態となります。 中には、水鉄砲や水の入った洗面器を蹴っ飛ばしてしまう子どもさんもいて(笑)。 どんなあり様か、江澤さんの優秀な頭脳で想像してください。
An.:
涙・鼻みず・よだれに汗が加わって、そこに蹴っ飛ばされた水鉄砲なんですね(笑)。
Dr.:
それでも、あんまり固まっちゃった耳かすでは、一度で洗い切れなくって。
An.:
そんなときは、どうするんですか?
Dr.:
先に触れた、耳かすをふやかす水薬を処方しておきまして、改めて子どもさんの耳の中へ、何回か垂らしてもらいます。
An.:
お薬で、耳かすがふやけたら……。
Dr.:
一回目の耳かす洗いのときにはだまされた子どもさんも、もう2度とこちらの言うことを聞きませんから……(笑)、素早く準備をしてあっと言う間にお耳を洗ってしまいます。
An.:
耳かすって、大変なんですね! 江澤は、耳の中さえきちんと見ることができたら、あっと言うまに取り除くことができるのかと、思ってました。
Dr.:
耳かす自体も、カチンカチンに固まっていると、苦労するんですけどね。でも外からは、ただの耳かすに見えたとしても、慢性化した中耳炎の耳垂れの乾燥したものだったりして。その内部に、ひどい炎症の隠れていることも、稀にありますから。
An.:
そうやって学校健診でチェックされると、耳鼻科医に紹介されて受診するんですよね?
Dr.:
健診が終了すると、何か指摘された子どもさんは、疑わしい病名とプールの可否、つまり水泳の授業を受けて良いのかどうか、問い合わせのプリントを学校から手渡されます。
An.:
暑くなって来ると、子どもさんにはプールはとても楽しみですもの、ね。その前には、健康チェックを済ませて、思いっきり水泳の授業をエンジョイして欲しいですよね。
Dr.:
江澤さんも、プールは楽しみだったでしょう?
An.:
ええ、梅雨も終わり頃になって蒸し暑くなると、一日も早く水に入りたくって、ウズウズしていました。 そう言えば先生、昔中耳炎の子どもさんは、プールはダメって聞いたことがあるんですが、ホントですか? 滲出性中耳炎の子どもさんも、水泳禁止なんでしょうか?
Dr.:
中耳炎全部が泳げないわけじゃないんですけど、大切なお話しですので。次回、ご説明しましょう。