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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集
三好耳鼻咽喉科クリニック開院20周年特別企画~難聴児問題の昔と今~三好 彰

 ここでは、院長が1975年、岩手医大在学中に作成した「難聴児の社会保障」というレポートをご紹介いたします。

 前号の、帝京大学名誉教授田中美郷先生による20周年記念講演会の内容紹介に引き続き、当時の難聴児問題がどのような状況であったのか、シリーズでご紹介致します。

「難聴児の社会保障」

1.緒 論

 自分の子供が難聴児であると診断された場合、その親は最初にどこ(役所・病院等)へ行くのだろうか。我々がこのテーマを選ぶにあたって真先に考えたのはこの問題であった。

 なるほど、難聴児その他の身体に障害のある人達にはそれなりの社会保障があるのは知ってはいたが、医学生である我々すら十分には知らないような、そういった福祉の知識を難聴児の親の方々は知っておられるのであろうか、あるいは知らない親の方々には十分説明してやれているのだろうか。むしろ難聴児と診断を下されるのみで、どこへ行けば良いのか、何をすれば良いのかまるでわからずに途方にくれてしまっている方のほうがはるかに多いのではないだろうか。

 そんな疑問を持ちながら我々は関係があるとおもわれる役所・難聴児の為の施設を全て歩きまわってみることにした。おそらく難聴児を持たれた親の方々も、そうやって歩きまわっておられるのではないか、と想像したからである。

 以下に述べられているのは、そういった我々が足で調べて来た事実である。

2.研究方法

 最初に我々は難聴児に関連のあると思われる役所・施設をまわってみた。
役所では、

施設では、

 次に我々は実際に難聴児を持たれ、身体障がい者手帳によって補聴器の交付を受けておられる難聴児の親の方々のお話を伺った。対象となった児童はいずれも桜城小「きこえの教室」の上級児である。
 その際の質問項目は、

 さらに、盛岡と比較する意味で、仙台のヒアリングセンターで訓練を受けている難聴児についてアンケートをとってもらった。
 以下はそのアンケート項目である。

Ⅰ.難聴の発見から現在に至る経過

Ⅱ.子供の難聴について

1.両親の知識はどの程度か

2.その知識はどこで得たものか

3.難聴の程度、教育、社会保障などについて何らかの説明を受けた場所があればそれはどこか

Ⅲ.難聴児の社会保障について

1.手帳を持っているのか

Ⅳ.難聴児本人の生活

1.現在通っている学校は

2.難聴学校に

3.難聴学級以外に指導を受けている場合、それはどこか

4.学校での生活状態はどうか

Ⅴ.難聴児を持ったことに対する両親の気持ち、又もし過去にその気持ちに変化があったとすれば、そのきっかけは何か

Ⅵ.難聴児を持った親同士語り合える場所があるのか

Ⅶ.難聴児本来の、ひいては親の将来性について

 以上の調査結果について、岩手医大耳鼻科立木教授その他の専門医のご意見を伺い、これからの社会保障を考える指針とすることにした。

3.結 果

A.難聴児に対する当時の社会保障制度、並びに岩手県内の難聴児の現状

a.身体障がい者福祉法の適用(聴力障害に関する)

以上の聴覚又は平衡機能の障害が永続するもの

b.身体障害程度等級分類及び解説(聴力障害に関するもののみ記載)

2級:
両耳の聴力損失がそれぞれ90dB以上のもの(両耳全聾)

3級:
両耳の聴力損失が80dB以上のもの(耳介に接しなければ大声を理解しえないもの)

4級:

6級:

解 説

 聴力測定には純音による方法と言語による方法とがある。

(ⅳ) 言語による検査

備 考

ろうあの障害程度等級について(昭和31・2・1社発 第63号の結論)ろうと重複して音声機能又は語言機能の障害を有するものは一律に2級と認定すべきものである。

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オーディオグラム(当時)人声の範囲 オーディオグラム(当時)人声の範囲

備 考

表Ⅰ  c.補聴器交付基準(当時) 表Ⅰ c.補聴器交付基準(当時)

e.難聴児の現状

(ⅰ) 岩手県内

・難聴児総数(0~17才)【県庁】

計337名の内、

(以上の内わけのうち1級、5級は重複障害によると思われる。)

表Ⅱ  盛岡における推移〔盛岡補聴器センター〕
表Ⅲ  全国における推移〔リオン仙台営業所〕