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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

げんき倶楽部杜人

~シリーズ 学校健診その2~

 耳・鼻・喉に関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」。三好彰院長は、30年余り、耳鼻咽喉の診療に携わる。今回は、6月にfmいずみで放送された内容を紹介する。
An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

ハナ垂れ
An.:
三好先生、前回は中耳炎には、急性中耳炎・慢性中耳炎・滲出(しんしゅつ)性中耳炎があると伺いました。急性中耳炎は風邪で、ばい菌が鼓膜の内側に入って腫れる病気。慢性中耳炎は鼓膜に穴が開き、時々膿が出るタイプでしたね。では滲出性中耳炎は、どのようなものでしょうか。
Dr.:
滲出性中耳炎の場合、鼓膜は正常ですが、内側に水のような炎症性の液体がたまり、鼓膜の動きが鈍くなります。
An.:
では、鼓膜が細かく動かなくなりますね。確か、鼓膜の内外で気圧が同じでないと、音波が鼓膜にうまく伝わらないんですよね。
Dr.:
その通り。滲出性中耳炎は子どもや高齢者に多いのが特徴です。鼻の奥や喉から中耳腔(くう)につながる耳管が、鼓膜の内側の換気をしています。
An.:
それでは中耳腔は、あまり湿らないのでしょうか。
Dr.:
いいえ。換気がよくないと中耳腔に炎症性の液体がたまり、耳が詰まったような不快感があります。
An.:
子どもや高齢者は、換気があまりよくないのですか。
Dr.:
子どもの耳管、つまり喉側の入り口には、アデノイドというリンパ組織があります。これは子どものときに体の免疫機能を担う部分で、その名残があると耳管をふさぐように喉に残ることがあります。ほとんどが4、5歳ぐらいで目立たなくなります。
An.:
高齢者はどうですか?
Dr.:
耳管は筋肉の働きで開きますが、年を取ると筋肉が衰え、開きづらくなります。そのため加齢による難聴だけでなく、滲出性中耳炎で悪化していることも考えられます。
An.:
滲出性中耳炎の聞こえの悪化は、治療で改善されますよね?
Dr.:
鼓膜の内側にたまった液体を取り除くと、よく聞こえるようになります。
An.:
では、高齢者が耳の遠いときは、やはり専門医に相談するのがいいですね。
Dr.:
そうですね。治療後に補聴器の適合検査などもできますよ。

気付きにくい滲出性中耳炎

耳の中で暴れるばい菌 耳の中で暴れるばい菌
An.:
先生、滲出性中耳炎は子どもや高齢者に多く、なかなか発覚しにくいんですよね。
Dr.:
高齢者は加齢による聞こえの悪化と間違われがち。子どもは自分から耳が聞こえにくいと訴えることは、あまりありません。学校健診で子どもたちの耳をチェックすることは、耳の健康を保つのに良いきっかけとなります。
An.:
先生、子どもの滲出性中耳炎について教えてください。
Dr.:
子どもの場合、急性中耳炎のときの耳の痛みに比べ、はっきりした自覚症状がないので発覚しにくいのが現状です。
An.:
具体的に、どんな状況がありますか?
Dr.:
最初に耳が聞こえにくくなります。「ボーッとしていることが多くなった」「テレビの音量をやたらと上げるようになった」など、本人より周りの人が先に気付きます。それとチクチクと痛むことがあるようです。
An.:
そうですか。本人が自覚症状を訴えるのは、少ないということですね。
Dr.:
診察の際、親御さんが子どもの症状を説明するとき「新幹線でトンネルに入った瞬間の耳の感覚」と表現します。
An.:
それ、分かります。何となくツーンとして、耳がふさがれた感じになります。
 高い山に登ったときも似た感覚になります。
Dr.:
さすが江澤さんです。そういうときは、江澤さんが得意の耳抜きをすると治りますよね。
An.:
耳抜きというと、鼻をつまんで思い切り力むことですよね。
Dr.:
それを「ヴァルサルヴァ法」といいます。耳管を通じて中耳腔に空気を送り、内外の気圧を調節する手法です。
An.:
子どもには少し難しそうですね。
Dr.:
それ以外にも、さまざまな治療法があるので、そのときの状態に応じて工夫しています。
An.:
子どもの滲出性中耳炎は、アデノイドの大きさや成長により、変化することが多いですから。
Dr.:
子どもの場合は成長して体が大人に近づくにつれ、頻繁に悪化しなくなります。
An.:
どうしてですか?
Dr.:
大人に比べ、子どもは耳管が太く、短く、横向きになっているので、喉に炎症を起こすばい菌が中耳腔に入り込みやすいからです。どうしても中耳腔に急性中耳炎の軽い炎症が出てしまう。そんなメカニズムで起こる滲出性中耳炎も、子どもの耳管の構造に関連して発症します。
An.:
大人の耳管とは構造が違うんですか?
Dr.:
大人は体が大きいので、耳管もそれに伴って細く、長く、斜めになります。このため喉に炎症を起こすばい菌も、子どものときほど簡単に入らなくなります。これが子どもと異なり、急性中耳炎や滲出性中耳炎になりづらい理由です。
An.:
子どもと大人の体で区別していますが、年齢は大体いくつで分かれ目となるのでしょう。
Dr.:
生後の男女の区別が第一次性徴(せいちょう)。これに対し、成長するにつれて男女の体つきが異なっていくのを第二次性徴と呼びます。それが9歳前後なので、子どもと大人の体の分かれ目といっていいでしょう。
An.:
9歳なんですね。
Dr.:
これぐらいの年齢を過ぎると、中耳炎の発症原因や病態も大きく変わります。
An.:
三好先生、次回の話も楽しみです。