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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

げんき倶楽部杜人

~シリーズ 学校健診その3~

 耳・鼻・喉に関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」。三好彰院長は、30年余り、耳鼻咽喉の診療に携わる。今回は、昨年6・7月にfmいずみで放送された内容を紹介する。
An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

換気をしなくても爽やかな江澤さおりアナウンサー 換気をしなくても爽やかな江澤さおりアナウンサー
An.:
三好先生、前回の話では中耳炎は9歳を境に耳管の構造が大きく変わると聞きました。今回はその続きですね。
Dr.:
子どもの体は9歳を過ぎると中耳炎に関連する耳管が大人の構造になります。このため、風邪で喉に炎症を起こしても耳管まで広がらず、中耳腔(くう)にまでばい菌が入りにくくなります。急性中耳炎になりづらくなるのは、このためです。
An.:
急性中耳炎になりにくいということは、滲(しん)出性中耳炎にもかかりにくくなるんですか。
Dr.:
その通りです。この年齢になると頻度が減ります。
An.:
この年齢に達するまでの滲出性中耳炎への管理が重要なんですね。
Dr.:
聞こえづらく、コミュニケーションもスムースではなくなるので、友達との付き合いに差し支えることもあります。仲間外れになり、精神的に不安定になることもゼロではありません。
An.:
そんなに滲出性中耳炎は、聞こえにくくなるんですね。
Dr.:
日常会話が聞き取りづらくなるほど悪化することも少なくありません。本人が困るのはもちろん、滲出性中耳炎の子どもは集中力が乏しく見えます。江澤さん、「ハナ垂れ小僧さん」の話を覚えていますか。
An.:
えぇ、昔懐かしい。真っ青な2本の鼻水をぶら下げた、あのハナ垂れ小僧さん。
Dr.:
ハナ垂れ小僧さんは、何となくぼんやりしている印象がありますが、実はハナ垂れに伴う滲出性中耳炎で聞こえが鈍かったといわれます。
An.:
えっ、そうなんですか。
Dr.:
それどころか、幼児が言葉を覚える時期に滲出性中耳炎になると、言葉の習得に差し支えるといわれています。
An.:
自分で聞こえづらいことを自覚できない時期の子どもの滲出性中耳炎は、重大な影響を及ぼしますね。
Dr.:
親御さんの観察も大切ですが、3歳児健診には滲出性中耳炎の検査があり、早めに検出できるようにシステム化されています。

滲出性中耳炎の治療

水銃を使って耳の中を洗います 水銃を使って耳の中を洗います
An.:
自覚症状に乏しい滲出性中耳炎を、どう見つけ出して治療するんですか。
Dr.:
耳鼻咽喉科外来を受診する滲出性中耳炎の子どもは、すでに急性中耳炎などを起こし、痛い思いをしてから訪れます。親御さんは子どもの聞こえ具合を医師に伝えてくれます。
An.:
それなら診断がつきやすいかも。
Dr.:
一般の耳鼻咽喉科学校健診は、子どもがさざめく保健室で行うため、滲出性中耳炎を見つけづらいのも事実です。それに子どもの耳の中には…。
An.:
耳かすがたまっている(笑)。鼓膜が見えないと診断が難しいかもしれませんね。
Dr.:
3歳児健診では、最初から滲出性中耳炎の検出を目的として「ティンパノメトリー」という機器を使って健診します。
An.:
それは便利ですね。
Dr.:
耳かすが詰まっていては正確な結果が出にくく、健診日に風邪気味だった子どもの結果も怪しくなります。それに学校健診は大体プールが始まる直前の5・6月。その時期の耳鼻咽喉科外来は、学校健診の用紙を持った子どもと親御さんで満杯になります。
An.:
それは大変そうですね。
Dr.:
耳かすを取り除かないとプールでふやけて聞こえが悪くなったり、その奥に潜む滲出性中耳炎を見逃したりします。しかし、子どもの耳かすをきれいに取るときは大騒ぎなんです。
An.:
子どもが驚いて泣き出すかもしれませんものね。
Dr.:
ライトを頭に付けた医師が、冷たい金属性の医療機器を使って耳の中をのぞくんですから。もし、私が逆の立場だったら絶対に泣きます(笑)。
An.:
耳かすは、どうやって取り出すんですか。
Dr.:
耳かすをふやかす水薬を使い、それから水鉄砲のようなスプレー型の器具で洗います。親御さんや看護師が必死で支えますが、子どもは泣くし、鼻水を垂らすし(笑)。そこへ水鉄砲ですから、みんな消火活動の後みたいに水浸しになります。それでも、固まった耳かすは一度で洗い切れません。
An.:
そのときはどうするんですか。
Dr.:
耳かすをふやかす水薬を処方し、子どもさんの耳の中へ何回か垂らします。1回目はだまされた子どもも、二度とこちらのいうことを聞きません。素早く準備して、あっという間に洗います。
An.:
耳かすは大変なんですね。耳の中さえきちんと見られれば取り除けると思っていました。
Dr.:
ただの耳かすに見えても、慢性化した中耳炎の耳垂れが乾燥したものだったりします。その内部に、ひどい炎症が隠れていることもあります。
An.:
そうやって学校健診でチェックされると耳鼻咽喉科を受診するんですね。
Dr.:
健診で指摘された子どもは、疑わしい病名とプールの可否をまとめたプリントを学校から渡されます。
An.:
昔、中耳炎の子どもはプールに入ってはいけないと聞いたことがありますが、本当ですか。
Dr.:
全ての中耳炎がそうではありませんが、次回ご説明しましょう。