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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

げんき倶楽部杜人

~シリーズ 学校健診その4~

~シリーズ 学校健診その4~

  耳・鼻・のどに関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」。三好彰院長は、30年余り、耳鼻咽喉の診療に携わる。今回は、昨年6月にfmいずみで放送された内容を紹介する。

An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

院長の医学コミック(3) 「中耳炎世界の冒険」はこちらからご覧になれます 院長の医学コミック(3) 「中耳炎世界の冒険」がご覧いただけます
An.:
三好先生。中耳炎だと水泳はできないと聞いたことがありますが、それは本当ですか。
Dr.:
中耳炎には、急性中耳炎、滲出(しんしゅつ)性中耳炎、慢性中耳炎の3種類がありますが、プールが禁止なのは急性中耳炎と慢性中耳炎の耳垂れのひどい時期です。
An.:
それ以外は、どうなんでしょうか。
Dr.:
滲出性中耳炎は治療する際に鼓膜に穴を開け、中耳腔(くう)を換気するためのチューブを入れることがあります。その場合は要注意。そうでなければ、大部分の滲出性中耳炎はプールOKです。慢性中耳炎でも、耳垂れのない状態が続いているときは泳げます。
An.:
「頭から水に飛び込むと、中耳炎になっちゃうからね。水に飛び込んではいけないよ」と小さいころにお年寄りから注意されました。
Dr.:
ははぁ、江澤さんはとても活発な子どもだったんですね。
An.:
いいえ、とてもおしとやかないい子でした(笑)。
Dr.:
そのお年寄りは「頭から水に入ると耳の穴から水が入り、中耳炎になる」と聞かされて育ったんでしょう。
An.:
でも、お風呂も頭まで入ってしまうと、お湯が耳の中に入ります。
Dr.:
江澤さん、耳はどういう構造でしたか。耳の穴を外から順番に考えてください。まずは耳たぶですね。
An.:
次は耳の穴があって、内部につながっています。
Dr.:
それを外耳といい、耳の構造のうちの一番外側の部分です。次は江澤さんお得意のfmいずみの微妙なサウンド、つまり空気の動きを感じ取る…。
An.:
鼓膜ですね。
Dr.:
鼓膜の内側を中耳腔といい、中耳炎の発生する部分でもあります。中耳腔と耳の穴の間には、薄い1枚の膜が張っているので、お風呂に頭から飛び込んでもお湯は中耳腔には届きません。そのお年寄りが言っていることは、恐らく小児期に急性中耳炎を患い、鼓膜が傷ついたまま放置していた人もいたからだと思います。
An.:
それでは鼓膜の穴から、不衛生な水やお湯が中耳腔に入り込みますね。
Dr.:
慢性中耳炎で耳垂れが出ているときもよくありません。
An.:
ばい菌に感染していますものね。
Dr.:
慢性中耳炎や鼓膜の穴の名残があっても、工夫次第で泳げるんです。
An.:
先ほど滲出性中耳炎の治療で「鼓膜に換気チューブが入っていても」と伺いましたが、それはどういうことなんでしょうか。
Dr.:
滲出性中耳炎の中耳腔は、空気の入れ替えができない密閉した部屋みたいなもの。中耳腔もじめじめすると滲出液がたまります。
An.:
滲出性中耳炎だとのどや鼻の奥と中耳腔をつなぐ耳管がうまく開かないので、中耳腔が閉鎖空間になるんですよね。
Dr.:
中耳腔の換気をうまく行うと、中耳腔の滲出液が出て鼓膜は元通り動くようになります。
An.:
聞こえも良くなるんですね。
Dr.:
治療法の一つが鼓膜に換気用のチューブを入れること。ただし、水泳やお風呂ではチューブの管理に注意が必要です。

プールは要注意

耳の中で暴れるばい菌 耳の中で暴れるばい菌
An.:
滲出性中耳炎は鼓膜内外の気圧調節に関わる耳管の働きが不十分になり、中耳腔に炎症の起きている状態でしたよね。
Dr.:
そのため鼓膜の内側に炎症性の液体がたまり、鼓膜の動きが鈍くなります。そこで中耳腔を換気して液体を耳管から外へ出します。
An.:
滲出性中耳炎の場合、耳管がうまく開かないので炎症がひどくなります。確か、子どもはアデノイドというのどのリンパ組織が大きくて耳管が詰まりやすく、お年寄りは耳管を開くための筋力が低下するのが関係しているんですよね。
Dr.:
耳管を中耳腔の換気をするドアに例えます。閉め切った部屋では空気がよどみ、中がじめじめします。中耳腔も耳管が閉ざされた状態では、炎症性の液体がたまります。
An.:
とてもイメージしやすいです。
Dr.:
耳管の反対側の鼓膜に小さな穴を開けたり、そこに空気を通す換気チューブを差し込んだりしておけば…。
An.:
そのチューブが窓の役目を果たすので、閉鎖腔だった中耳腔も空気の入れ替えが楽にできるわけですね。
Dr.:
さすが1を聞いて10を知る江澤さん。
An.:
あれ、それでも耳管はアデノイドや耳管筋の筋力低下で、半分くらいしか開かないんじゃないかしら。
Dr.:
実際に閉め切った部屋で実験をすると分かります。半分開いたドアでも、反対側の窓が全開だと空気の流れはどうなるでしょう。
An.:
なるほど、空気は部屋全体を通り抜けますね。これで滲出性中耳炎の原因だった耳管の詰まりが解決します。逆に、水泳のときはプールの水が鼓膜の中へ入ってきてしまいますね。
Dr.:
泳ぐときは口から息を吸い、鼻から吐き出します。プールの水は鼓膜に穴がなければ耳管ののどの入り口で止まり、耳管の内部に入りません。
An.:
もしも換気チューブが鼓膜に入っていたら…。
Dr.:
プールの水は耳管を通り抜け、中耳腔は水だらけになるでしょう。
An.:
では、プールの水が耳の中に入らない魔法でもあるんでしょうか。
Dr.:
次回は、その魔法について話します。