3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

2013年 北京訪問レポート3 総務課 青柳 健太

ラスト?エンペラー
ラスト?エンペラー

 北京滞在3日目の9月14日(土)、秋葉副大臣と院長は食料流通の視察のため、北京市内にあるイトーヨーカドーを訪れる予定になりました。人数の関係で、私は本隊とは別行動を取る事に……。

 はて? 初めての北京で何をしたら良いのか? この日は帰国日のため、午後のフライトに間に合う予定を考えなければなりません。とりあえず、昨日訪れた中南海(前号を参照)の東隣りにある北京の観光名所の代名詞「故宮」を見学することにしました。

古代中国の王宮・故宮を見学

 故宮は紫禁城とも呼ばれ北京市の中心に建てられています。1406年(明王朝時代の永楽4年)に建設が開始され15年後の1421年に完成。それと同時に、明王朝の首都を現在でいう南京から北京に遷都しました。

 その後、満州族による清王朝が明を滅ぼし、一度内乱で消失した故宮を再建、現在に残る多くの建物はその際に建て直されました。

(図1)周囲を城壁で囲まれた午門
(図1)周囲を城壁で囲まれた午門

 現在の故宮の規模は、周囲を幅52mの護城河(お堀)に囲まれ、南北961m、東西753m、宮殿建築の遺構としては世界最大の規模を誇っています。

 中国国内でも有数の観光名所なので、平日でもかなりの数の観光客が集まるそうです。特に今回は土曜日という事もあり、ほとんど人の海に沈んでいるような感覚でした。

 故宮は、南内壁にある午門(午は南を指す)からのみ入場することが出来ます(図1)。

 午門は、故宮の正門にあたり、逆凹字型(へこんだ部分に門がある)をしています。丁度、鳳凰が翼を広げている様子に見立てて五鳳楼とも呼ばれています。

 日本のお城で言う枡形門に似ており、周囲の壁上から攻撃を仕掛け門から侵入する外敵を撃退するという、防御力に優れた建築様式となっています。

 その午門から中に入ると、「外朝」と呼ばれる公式行事や儀式を行うオフィシャルエリアが広がっています(図2)。

 外朝にあり、故宮の中心的な建物が太和殿です(図3・4)。ここは故宮の正殿にあたり、白大理石の三重の基台上に中国最大の木造建築である本殿が建てられています。ここでは、皇帝の即位式や婚礼、祝日の祭典、詔書の発布など、重要な国家的式典が行われてきました。映画「ラストエンペラー」において、皇帝が即位するシーンを思い浮かべる人も多いのではないかと思います。

 今から数百年前、まさにこの場所で、文武百官が広場を埋め尽くし、一人の人間を崇める様を想像すると、言いようのない感動が湧き上がってきます。

 本殿の裏には、中和殿・保和殿という、皇帝の休憩室や衣装替えをする建物等が軒を連ねています。

(図2)故宮「外朝」の地図
(図2)故宮「外朝」の地図
(図3)故宮の中心的な建物である太和殿
(図3)故宮の中心的な建物である太和殿
(図4)太和殿の内部
(図4)太和殿の内部
#

 その先には「内廷」という皇帝一家が居住したプライベートエリアがあり、外朝エリアとは打って変わって、やや色合いも優しくこじんまりとした雰囲気があります(図5)。

 その中でも乾清宮は皇帝の寝室にあたります(図6)。

 寝室の壁には、「正大光明」と描かれた額が飾ってあり、清朝時代の皇位継承に大きな役割を果たしていました(図7)。清の五代皇帝・雍正帝(1678~1735年)は先の皇帝・康煕帝(1654~1722年)が後継者選びに苦労した経緯から、兄弟の序列に関係なく最適任と思われる皇子の名を勅諭(書簡)で残し、自身の手元と寝室に飾られている「正大光明」の額の後ろに保管したそうです。そして、皇帝の位を移譲する際、二つの勅諭を照らし合わせて後継者を公表しました。

 血縁ではなく、能力や人格を重視した後継者制度は、その後の清代の歴史の中で暗愚な皇帝を産み出す事はなく、国の基盤固めを確固たる物としました。

 私は、脈々と受け継がれた歴史の残り香を感じつつその場を後にしました。

 故宮最後の見学場所は、内廷の裏側(北側)にある御花園という庭園エリアです。立場上、気軽に故宮の外へ出られない歴代皇帝はこの庭園を遊楽し、公務の疲れをとったと言われています。故宮の中では珍しく、様々な植物が植えられている場所ということで、やはり限られた人間のみに与えられた特別な空間だと言うことが伺い知れます(図8)。

 故宮見学後は、軽めの昼食を済ませ(図9)、本隊と合流すべく北京空港へ向かいます。

 週末という事もあり、交通渋滞に悩まされつつも無事本隊と合流。帰国の徒につきました。

 今回は、3日間という短い期間ではありましたが、内容は極めて濃い時間を過ごしたのだと実感しました。

 院長始め、お忙しい公務の合間を縫ってご一緒頂いた秋葉副大臣、清華大学の劉江永先生、細かい調整をして頂いた新華社の張可喜様、アテンドをして頂いた在北京日本大使館の皆様の他、関係各位に心から感謝申し上げます。

(図5)故宮「内廷」の地図
(図5)故宮「内廷」の地図
(図6)皇帝の寝室・乾清宮
(図6)皇帝の寝室・乾清宮
(図7)寝室に飾られた「正大光明」の額
(図7)寝室に飾られた「正大光明」の額
(図8)皇帝・妃が故宮の眺めを楽しんだ「御景亭」
(図8)皇帝・妃が故宮の眺めを楽しんだ「御景亭」
(図9)ツルッとした喉越しがクセになる広東料理
(図9)ツルッとした喉越しがクセになる広東料理
#