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2013年北京訪問レポート5~北京・清華大学での講演~ 院長 三好 彰

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 前号に引き続き2013年9月、私が後援会長を務める秋葉賢也代議士と共に北京を訪れた際のお話です。
 今回は、北京にある清華大学で行われた、秋葉代議士の講演「東日本大震災からの復旧・復興」についてご紹介いたします。

はじめに

(図1)熱心に講義する秋葉代議士
(図1)熱心に講義する秋葉代議士

 みなさんこんにちは。劉先生から丁重なご紹介を頂きました厚生労働副大臣並びに復興副大臣(当時)をしております衆議院議員・秋葉賢也と申します。

 劉先生とは、ちょうどこの建物でしたが、6~7年前に北京に伺ったときに私の後援会長である三好先生に劉江永先生をご紹介頂きまして、それ以来のお付き合いでございます。

 劉先生は、中国において日本通の第一人者でございますから、私も書物なりを通じて、お名前はもちろん存じていたわけでありますが、三好先生のおかげで知遇を得て、それからいろいろとご指導を頂いているところでございます。

 また、劉先生には1年半前に仙台にわざわざお見舞いにおいで頂いて、大変すばらしい達筆の書を頂戴いたしました。暫く我が家の狭い床の間ではありますけれども、ちゃんと飾らして頂きました。

 いろいろとご心配を頂戴致しまして、あらためて感謝申し上げたいと思います。

 今日は、私にとって2回目の清華大学への訪問ですけれども、今回は、これからの中国、あるいはそれぞれの母国に帰って国を引っ張っていくだろう若い皆さんの前で、お話しをできる事は大変光栄に思います。

 清華大学と言えば、最近の中国指導部は北京大学にも増して清華大学の出身者が増えておりますので、皆さんもいずれお国のリーダーとして頑張って活躍頂くのだろうと思います。今日はそういった意味で大変貴重な機会を頂いたと思っております。


東日本大震災の被害

 私は今、厚生労働省では医療分野を、そして復興副大臣としては震災からの復旧・復興の担当ということで二つの役所を兼務しておりますが、今日は、震災からこれまでの状況についてお話をさせて頂きたいと思います。

 昨日は、大震災からちょうど2年半ということで一つの節目の日でございました。中国からは、政府はもちろんでございますけれども、国民の皆さんからも多くの義援金をお寄せ頂いたり、本当に親身なご支援を頂きました。まずはお礼と感謝を申し上げたいと思います。

 今日は、7月にまとめた復興の状況と最新の取り組みについての冊子をお配りしておりますので、それを参考にしながらお話しをさせて頂きたいと思います。

 3月11日の大震災から2年半経過をしておりますが、あらためて震災の状況を振り返ると、被災の規模が非常に広範囲だったということ。人的被害も1万6千人の尊い命が失われ、今でも2700~2800人が行方不明者になっています。ですから、約2万人ということは戦後日本の災害史上はじめてと言っていい規模の災害でありました。

 また、亡くなられた方のその原因にも特徴があるわけですね。

 今回は津波による被害が大きく、大体波高が平均5メートルから10メートル位でした。

 日本の地図をよく見て頂ければご理解頂けると思いますが、宮城県でも気仙沼をはじめとした太平洋側はリアス式海岸という地形で、大変入江が入り組んでます。ここに10メートルの津波がくると競り合ってより高い波になるんです。ですから最大で40メートルの津波が押し寄せてきたという事になります。

 40メートルというと何十階建てのビルに相当します。ですから1万6千名が亡くなりましたが、9割以上が水死です。

 今回は、地震による被害も大きかったんですが、地震による被害以上に津波による被害が大きいのが特徴だったんだろうと思います。

 2年半経った今でもですね、ご遺体の捜索が定期的に行なわれているのが現状です。通常、こんなことは日本では考えられないことであります。

 避難者の数も未だに約29万人の人達が仮設住宅や、あるいはいろんな民間の住宅に引っ越しをしているという状況です。


復興の見通し

(図2)パンフレットより一部抜粋
(図2)パンフレットより一部抜粋

 パンフレットを見てもらうと、復興の見通しイメージが2016年(平成28年)まで載っています(図2 全文はP.14に記載の厚労省HPから閲覧できます)。

 国民の避難者の数が29万8千人と出てますが、今は少し減って約29万人となっています。

 国も宮城県も復興の期間を10年と定めて計画を作っており、それに基づいて今いろんな事業が進められています。特にインフラ関係は一定の復旧が進んでおりますが、当面、我々がやらなければならない最大の目標は、29万人の避難者の自宅の再建、または自立再建ができるようにするというものがまず第1の目標です。

 2番目にはやはり津波による被害、地震による被害に加えて、今回の東日本大震災によって起きた福島の原発事故問題があります。

 福島については除染、原発の安定化が図られているわけであります。汚染水についても、確かにヘッドラインだけ見てれば皆さん不安に思うかも知れませんが、総理のオリンピック招致の演説ではありませんが、極めて細かい調査をしております。

 私も食の安全を所管している省庁の副大臣ですが、原発の周りで基準値を超える値は出ておりません。そこは安心なんだろうと思います。

 いずれにしても、この2つが当面の課題だと思います。

(図3)清華大学当代国際問題関係研究院副院長・劉江永先生
(図3)清華大学当代国際問題関係研究院
副院長・劉江永先生

 パンフレットの2ページなどには、1995年に発生した阪神・淡路大震災という大変大きな地震災害について載っています。

 あの時も自民党は与党の一角を担っていましたが、総理大臣は旧社会党の党首でありまして、今回の大震災も自民党は野党におりました。

 どういうわけか、日本に大きな震災が来るときは自民党は与党にいないという認識を私は持っているんですが、そういう中で、これはもちろん与党・野党ということの対立を超えた問題なわけですから、我々は野党であっても様々な議員立法を出しました。

 つまり、これだけ大きな災害の規模になると、今ある法律を当てはめようとしていたのではなかなかスピードアップできません。やはり柔軟に法律の見直しを行う、場合によっては新しい法律を作らなくてはいけないわけです。

 ですから今回、復旧・復興に本格的に対応しようということで復興庁という新しい組織を議員立法でつくりました。

 また、日本ではゴミ処理というのは市町村の義務ですが、小さな市町村のなかには職員の方が亡くなったり、あるいは役場そのものが流され、役場そのものの機能が喪失したということもありました。

 そういうことがありましたから、国では瓦礫の処理法案を作り市町村ができないときは県がやりますよ、県でもやれない時は最後は国が持ちますよ、という形にしました。

 その法案に代表されるように現状の課題解決のために様々な立法措置をしてきました。

 そして、その中心を担ったのは、当時野党であった私ども自民党だという認識をしております。瓦礫の処理法案だけではなくて、二重ローンの解決のための法案など、8本ぐらい議員立法で成立させました。

 中国ではあまり津波被害というのは聞いたことがありませんけれども、しかし国内ではしばしば地震による大きな災害、あるいは集中豪雨による土砂崩れなど、日本でも伝えられております。規模が大きくて甚大な場合には、迅速にルールの見直しを行い、ある意味で超法規的な対応をしていくということが、大変重要なんだろうと思っております。

 今回、3年ぶりに政権に戻った私どもが、まず実施したのは復興庁の組織作りでした。新しい役所ですから、いろんな関連の省庁から人がきているので、結局縦割りの弊害を是正できなかったんです。2、3ページに書いていますように、復興庁が縦割りの弊害を除去するよう司令塔としての機能を強化しました。

 民主党政権下ではやれなかった様々な法律の改正も追加でやりましたし、また運用していく中で改善される物もありました。いろんな面でスピードアップにつながってきてはいるのかなという気はしています。

 特にそうした組織の評価に加えて、もうひとつは予算のフレームの見直しです。5年間で19兆円としていた民主党政権の復興予算も増額し、予算の面でも復興を重点的に行うというメッセージになったのではないかと思います。

 この復興予算というのは、具体的には復興交付金という形で、市町村や都道府県に配分します。普通は国から地方自治体に出すお金というのは交付税と補助金という2種類しかありません。

 しかも、大概は国は、地方自治体の事業に必要な額の3分の1とか、あるいは多くても3分の2位の規模しか出さないのが通常なんですが、この復興交付金というのは、地方自治体の事業であるゴミ処理、瓦礫の処理、家を建てるなど40の基幹事業を選定し、全額を国費である復興交付金で負担するというものです。

 細かい話をしているときりがありませんが、着実に復旧・復興は進展しているというふうに思っています。

 5ページには避難者の状況が出ていますし、6ページには瓦礫の処理の状況が出ております。そして7ページには街づくり、住宅再建の工程表が出ておりますけれども、被災者の皆さんからはあまりにも復興のスピードが遅いというご批判をずっと頂いてきました。しかし道路や橋の建設、あるいは港の復興というのは着実に進んでますし、住宅再建に向けても前進してるということはまずお伝えしたいと思います。

 特に政府は、瓦礫の処理は3年以内でやろうという目標を掲げてきましたが、私の選挙区である仙台市は98パーセントを今年7月に終了致しました。

 石巻や気仙沼は来年度にはなってしまうと思いますが、大体目標通り3年で全て終えるでしょう。仙台市は本当に7月に単に処理を終えただけでなくて、瓦礫の4割をリサイクルに活かすことまで実現しています。

(図4)若い学生さんを交えての講演
(図4)若い学生さんを交えての講演

 7ページを見て頂きますと街づくり、住まいの工程表というのが出てますけれども、やはり一番大事なのは先程冒頭言いましたように住宅の再建です。計画が岩手、宮城、福島の3県中心に出ているわけであります。

 今回特徴的なのは沿岸部の住宅が全て津波で流されてしまい、若い世帯ですと家をまた新しく土地を買って建てるという自立再建が可能ですけれども、高齢者などの年金収入だけで生活をしている人は住宅ローンを組めないし、なかなか家をつくり直すといっても大変です。ですから今回は仙台市や宮城県がつくっていたような災害公営住宅、公がつくる住宅を安い家賃で提供します。

 そういうのを整備するということと、それから津波被害のあった地域では住居制限をかけた所がほとんどですから、どこかに移転をしないといけないわけです。その移転先を確保して、そこに公営住宅と、自力再建する人のための土地のサポート、この二つを市町村では取り組んでいます。

 復興庁のホームページを見て頂ければ、もちろん日本語ですけれども、市町村ごとに公営住宅がどういう処に何月までにできます、いつ頃引っ越しができますということが書いてあります。あるいは一戸建てを建てる人も、このエリアにどれ位の戸数で一戸建てを供給するようにしますということが全部ご覧を頂けるようにしておりまして、住宅再建における〝見える化〟というふうに私たちは言ってますけれども。やはり何がいつまでにどうなるんだという見通しを被災者の皆さんにしっかり示していくことが大事だということで、そういう取り組みをしております。

 例えば私の地元は、選挙区は仙台市になるんですが、仙台市は3000戸の災害公営住宅をつくるわけですね。これを6ヶ所位にわけて建設し、年内にほとんど完成させ、入居の抽選や手続きをして頂き、2014年4月からそこにお住まいを頂けるような見通しがたっています。

 そういうことに加えて、今年はなかなか土地の確保だけで精一杯で分譲は来年からということですが、1戸建ての再建を大体3年を目途に具体的には進めてきております。

最後に

(図5)会場前で
(図5)会場前で

 ちょうど私に与えられた40分になりましたので結びの言葉にしたいんですけれども、残念ながら日本語の資料でありますけれども、9ページ以降にも様々なインフラの復旧復興の進捗状況、あるいは様々な産業、農業、農業の復旧状況が掲載されております。

 水産業についても風評被害などの問題があります。

 また中国におかれましても10都県について輸入制限措置がとられておりますが、食の安全については世界で一番厳しい規制を敷いているコーデックス規格(CODEX=食品の国際規格)を上回る規制を日本では敷いており、現在流通している食品はその審査をパスしておりますので、なんの健康に与える問題はないんだということでアピールしていきたいと思っております。

 とにかく、「新しい東北」の創造に向けてという事で、震災前の状況に戻すのではなくて、新しい付加価値を付けて、より魅力的な街にしていくんだという発想でこれから取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞ引き続き温かく見守って頂きたいと思います。

 ご清聴ありがとうございました。