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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

第78回 聴力測定技術講習会レポート  ~看護課 高橋 美江

初めての講習会

 2014年2月17日(月)~21日(金)の期間、東京都TOC有明ウエストタワーで開催された第78回聴力測定技術講習会に参加してまいりました(図1・2)

 講習会では、聴器の解剖・生理についてや、実際に現場で行われている聴力検査の手技の実践等、たくさんのことを学びました。

 講義だけではなく、2月20日(木)には昭和大学病院(図3・4)にて、聴力検査の様子を見学したり、参加者の所属する各施設で日頃行われている検査の方法について、より正確な検査結果を出すための工夫等、あらゆる情報交換ができたため、有意義な時間を過ごすことができました。

 それでは、講習で学んだことを紹介していきます。

はじめに

 耳鼻科では、耳が聞こえづらくなったことを「難聴」と言います。難聴は、脳が原因で聞こえづらくなる中枢性難聴や、大きな音を聞いて耳にダメージをうけておこる騒音性難聴、ある日突然、耳が聞こえなくなる突発性難聴など、色々な要因で起きる症状です。

 他にも、鼓膜自体に穴があいて音が聞こえづらくなったり(鼓膜穿孔)、中耳炎などで、鼓膜の内側に膿がたまり鼓膜が動きづらくなっても音が聞こえにくくなります。

 また、幼児など言語を獲得する前の子供は自覚症状を訴えることが出来ません。特に3歳位までに音が聞こえていないと、言語獲得に影響を及ぼすことも考えられます。もし生活の中で「呼んでも反応がない」「大きな音に反応しない」といった場面があったら、是非検査をすることをお勧めしています。

 このように、難聴と言っても非常に様々な要因や影響が絡んできます。

(図1)講習会初日は快晴でした!
(図1)講習会初日は快晴でした!
(図2)会場からは海が近く、風がとても強かったです
(図2)会場からは海が近く、風がとても強かったです
(図3)昭和大学の外観
(図3)昭和大学の外観
(図4)こちらは、昭和大学病院です。どちらも歩いて3分位の位置にあります
(図4)こちらは、昭和大学病院です。どちらも歩いて3分位の位置にあります

*耳の解剖・生理*

(図5)耳の断面図です
(図5)耳の断面図です

外  耳

 外耳は耳介と外耳道からなります(図5)

 耳介は主に軟骨でできており、音を集めて大きくする作用と、顔の両脇に左右一対あることで音源の方向を知る働き(音源定位)があります。

 ただ、ヒトでは他の動物に比べると集音に関してあまり大きな働きはしていません。

 外耳道はわずかに湾曲した管であり、その一番奥には鼓膜が張っています。耳の入り口から鼓膜までの深さは約24㎜~36㎜程なので、耳掃除をする際には、あまり奥まで耳かきを入れすぎないように注意しましょう。

中  耳

 中耳は鼓膜を境にした、側頭骨内の空間です。鼓膜の内側の空間を鼓室といいます。
鼓膜は厚さ約0.1㎜、縦径約9㎜、横径約8.5㎜のほぼ円形をなし、外耳道に対して前、下、側方に傾いた状態で張っています。

 鼓膜の内側にはツチ骨の柄が強固に付着しています。ツチ骨はキヌタ骨、アブミ骨と関節により連結し、耳小骨連鎖を形成しています。アブミ骨底は前庭窓におさまっており、この耳小骨連鎖によって音は増強し、内耳へ伝わります。

 ちなみに、アブミ骨はヒトのおよそ200個ある骨の中で一番小さな骨なのだそうです。

 鼓室は耳管により咽頭とつながっています。

 耳菅は通常は閉鎖していますが、ものを飲み込んだ時やあくびをする時に開き、その際に外界と鼓室との圧を平衡に保っています。

 鼓膜は外側と内側の圧が等しくなった場合に最も振動しやすいのですが、耳菅が炎症などで閉塞してしまうと、内耳の気体は吸収されて、鼓膜は内側に陥凹し、聞こえが悪くなります。

 また、耳菅は細菌の通路となることがあり、上気道に炎症が起こった際、このルートにより中耳炎が起こります。

 なお、小児の耳管は成人のものと比べると、太く、短く、水平に位置しているため、より中耳炎になりやすいといわれています。

内  耳

 内耳には蝸牛があり、内耳液で満たされています。

 蝸牛の内部には音を電気信号に変えて脳へ伝えるために重要な細胞があります。

 この細胞には毛が生えており、有毛細胞と呼ばれます。

 実はこの有毛細胞は、加齢などに伴い、一度抜けてなくなってしまうと、悲しいことにもう再生されることはありません。

*難 聴*

 耳の解剖・生理で述べた、外耳、中耳、内耳の、どの部分に病変があるかで難聴は分類されます。

伝音難聴

 外耳から中耳に起こった障害をいいます。
 例を挙げると、耳垢や炎症などによる外耳道の狭窄や閉鎖。耳掻きで直接鼓膜に傷をつけてしまったり、平手打ちや耳の近くでの爆風で鼓膜に穴が開いてしまったもの。他にも、中耳炎、耳菅の狭窄、耳小骨の形状に異常がある場合等です。

感音難聴

 内耳性のものが多く、先天性の難聴は、遺伝や、妊娠中に母親が風疹に罹患した場合などに生じます。
 後天性難聴は、一度の強大音にさらされた際や、ヘルペス科ウイルス、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)などのウイルス感染によるもの、メニエール病や老人性の難聴などがあります。

混合性難聴

 伝音難聴と感音難聴のどちらの要素もあるものです。

*検 査*

 障害の部位や原因を知るためにも、正確な検査結果を得ることはとても重要となります。
 以下、当院で行われている検査の一部を紹介します。

純音聴力検査

 防音室にてJIS規格(日本工業規格。工業標準化法に基づいて制定される国家標準の一つです。工業製品などの規格を統一することで、どんな場所・状況でも共通して使用できるようにした規格です)を満たした機器を使用して行います(図6)

(図6)当院の聴検室です。
(図6)当院の聴検室です。

 被験者に装着したヘッドホンから「ピーピー」や「ポーポー」という音を出し、音量を少しずつ大きくしていきます。
その音を感知することができたら付属のボタンを押してもらい、ボタンを押したその値が、被験者の聞こえの閾値(やっと聞こえる値)となります。

 純音聴力検査結果は、グラフで表されます。
 横軸を検査音の周波数とし、音の高低さをHz(ヘルツ)で表します。縦軸は音の大きさで、dB(デシベル)で表します。
 純音聴力検査は、空気を伝わる音の聞こえ(気導聴力)と、被験者の頭蓋骨を伝わる音の聞こえ(骨導聴力)を測定します。
 気導聴力検査の場合、右耳は○印、左耳は×印で閾値を記入し、直線で結びます。
 骨導聴力検査の場合、右耳は右が開いたカギカッコ([)、左耳は左が開いたカギカッコ(])で記入します。

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