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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

fmいずみ ラジオ3443通信 耳の日(12)

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

fmいずみ ラジオ3443通信 耳の日(8)目次

154話 難聴児の言語教育と発声法①

An.:  三好先生前回は、電話を発明したことで有名なアレクサンダー・グラハム・ベルが、実はその祖父から教えられた独特の発話法の教師をしていたこと、この発話法は正統なクィーンズ・イングリッシュを、英国の地域の住民たちの地域なまりの強い英語を、そもそもは訓練することに役立っていたけれども、やがて難聴児など耳から聴覚の情報が入らず、その発音・発声の歪んでいた聴覚障害児・聴覚障害者の、言語教育に応用するようになった、と教えて頂きました。
Dr.: 実は、イライザという名前の、ベルの母親も実際には難聴気味だったのですが、ベルの祖父の考案したこの発話法は、ベルの両親の会話に役立っていたように思えます。
An.: 発話法は、のどや口の形を整えてしゃべるだけでなく、江澤のアナウンサー訓練のときのような、発声の特訓が必要になるんじゃありませんか?
Dr.: さすがは1を聞いて10を知る江澤さん。難聴児はほとんどが、声を出そうとするときに、口をパクパクさせることはできるんですが・・・・・・(笑)。
An.: お腹の底から、声を出してやらないと、口パクが音として他人の耳には届かない(笑)。
Dr.: 江澤さんが訓練で苦労したのも、それが一番の問題でしたもの、ね。
An.: 繰り返しになりますが、先生。
 以前のOA152の内容をもう一度、リスナーの皆様にも聞いて頂きたいと思います。
Dr.: 江澤さん。アナウンサーとしての、発音練習の特訓。キツくなかったですか?
An.: キツい・キツくない、よりもまず、途惑ってしまいました。
 江澤が考えていたのと、まるっきり違うんですもの。
Dr.: と、言いますと?
An.: 口の形が、外から見てはっきり判るくらい、大げさなほどに口を動かす訓練。まぁ、これは予想していた通りだったんですけれど。
Dr.: 江澤さんには、いったい何が想定外だったんでしょうね?
An.: 江澤は訓練以前はしゃべるとき、どちらかと言うとおしとやかで(笑)、東北人特有の口篭もるような話し方だったんですけど。
Dr.: どのように変身したんでしょうね、江澤さんは(笑)。
An.:   発音をするのに、口元からではなくって、お腹の底から声を出すんです。
 「ア」一つにしても(実演する)、口元だけの「ア」じゃなくって、お腹の底から息を吐いて『ア』っていうふうに(笑)。
Dr.: 江澤さんの『ア』は、よく通る、リスナーにもはっきり聞こえる発音ですね!
An.: でもこの発音を身に付けるのに、腹筋つまりお腹の筋肉を駆使するものですからぁ。〞
Dr.: と言うようなやりとりが、あったわけなんですけれど。これは、現実に難聴児教育では忘れられがちなんです。
An.: 耳の不自由な子どもたちは、実体験として会話の音声が耳に届かないから・・・・・・。
Dr.: 自分で声を出すときも、相手に声を届けるとの発想がまったく生まれないんです
An.: そうすると子どもたち同士、お互いに口パクだけになってしまっていて、耳に聞こえる声にはなっていない、みたいな(笑)。
Dr.: 江澤さんみたいに、模範的アナウンサー発声の訓練が欠けているから、そんな一見奇妙な現象が起こります(笑)。
An.: ベルのおじいさんの発話訓練には、それはもちろん完備していたんですよね?
Dr.: そんな経緯から、グラハム・ベルの教え込まれた発話法は、なまりのある「仙台弁」式英会話をクィーンズ・イングリッシュに矯正するだけでなく、吃音つまりどもりの矯正にも有用でしたし、何よりもともと耳の不自由だった難聴児の言語教育に役立ったんです。
An.: そうすると先生。
 ベルがおじいさんから教育された発話法は、まず吃音の矯正に有効だった。それから、セント・アンドリュースのような地方のなまりのあった英語を、美しい発音に統一することができた。そして3番目に、耳の不自由な子どもたちつまり難聴児の言語教育に活用することができた。
 すっごく、いろんな効用のある独創的な教育法だったんですねぇ!
Dr.: これまでお話ししましたように、ことに2番目のなまりのキツイ英語を徹底的に矯正する教育法の現場は、端から見ていてすごく興味を引かれるものがあったみたいで・・・・・・。
An.:  ベルのお母さんの実名を名乗った、「イライザ」という主人公が登場する、「マイ・フェア・レディ」のミュージカルになっちゃってますもの、ね(笑)。
Dr.: オードリー・ヘップバーン主演(笑)。
An.: このミュージカルは、1964年のアカデミー賞を受賞してますもの、ねぇ。
 まさかこの中に出演している「ヒギンズ」教授が、ベルの発声法を指導しているとは思っても見ませんでした!
 でもミュージカルの中のヘップバーンは、見事その期待に応えて上流階級のレディに、変身しちゃいますもの(笑)。
Dr.: ミュージカルの原作の戯曲に、バーナード・ショーは「ピグマリオン」と名付けます。
An.: 先生。その名前は?
Dr.: 「ピグマリオン」とは、ギリシャ神話に出てくるキプロスの王様の名前です。彼は、自分で作った彫刻の美女に恋をしてしまい、本気で結婚したいと願うんです。
 王の焦がれようを目にした、ギリシャ神話の美の女神アフロディテは彫刻に命を与え、キプロス王の夢をかなえたとされています。そこからピグマリオン効果、という用語が生まれました。
 これは、教育の現場や職場などで、可能性を見いだされ期待されて育てられた人材は、必ずその期待を裏切らない成長を遂げる、というお話です。
An.: その神話が、戯曲とミュージカルに命を吹き込んだんですね、ステキ!!
Dr.: 次回は、グラハム・ベルが難聴児教育で活躍し、あのヘレン・ケラーを育てたエピソードについて、ご説明します。お楽しみに!
ピグマリオン効果? ピグマリオン効果?

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