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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

fmいずみ ラジオ3443通信 耳の日(16)

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

fmいずみ ラジオ3443通信 耳の日(16)目次

161話 難聴児の言語教育と発話法⑧

An.:  三好先生、前回までヘレン・ケラーの障害、つまり三重苦のお話を伺ってきました。
 ヘレンは盲聾唖と称して、目が見えない、耳が聞こえない、そしてしゃべれない、この3種類の障害を抱えていました。
 私たちでしたら、これら3つのうち1つでも障害があったら、とっても大変だと思うんですけど、ヘレンは・・・・・・。
Dr.:  これらのいずれの障害をも克服して、同じような障害のために苦しみ、偏見に満ちた環境の中にあった人々のために、社会保障の改善に一生を捧げたんです。
An.: 偏見と言いますと、三好先生?
Dr.:  感覚器、五感と呼ばれる人間の知覚の中でも、とりわけ聴覚と視覚は「精神に近い感覚」と呼ばれており、思考に必要不可欠な感覚だと、されています。
An.:  そのお話、江澤は先生からお聞きしたことがあります。
 聴覚や視覚に対して、味覚や嗅覚は「生命に近い感覚」と呼ばれるんでしたよね?
 食べたり飲んだり、人間の生命維持に直接関わっている、感覚ですから。
Dr.:  聴覚や視覚が、思考に関わっているという事実については、世界中のあらゆるものに「名前」がつけられていて、私たちはその名前を自由に駆使して、会話や議論をしている。そんなことからも、簡単に理解できますね。
An.:  逆に言えば、聴覚や視覚が不自由だったとしたら、会話や議論を十分に尽くすことが難しくなる。
 そんなことも、考えられますね、先生。
Dr.:  私の副業(笑)が耳鼻咽喉科なので、ことに聴覚の不自由な場合について、より具体的なご説明ができるんですけど(笑)。
An.: 三好先生、聴覚が不自由なときには、どのような偏見が付きまとうんでしょうか?
Dr.: 1例として、視覚障害をお持ちの方の場合、端から見て、すぐにその方が視覚障害だと判断できることも、少なくありません。
An.: 目の不自由な方は、私たちが端から観察していても、たいていその障害に気付きます。
Dr.:  ご本人も、ことにそれを隠す必要がありませんし、安全上の理由からも白い杖を活用するのは、合理的です。
An.: それに較べると耳の不自由な方は・・・・・・。
Dr.:  かなりのお年の方で、いかにも耳が遠そうに見える方はともかく、若い難聴者で補聴器の目立たない場合には・・・・・・。
An.: 端から見て、その方の不自由さに想像の及ばないことも。
Dr.:  決してゼロでは、なさそうです。
An.: そうした方の耳の障害に気付かないまま、私たちは不自由を強いてしまうことがあるかも、と。
 ちょっと心配になります。
Dr.:  実際耳の聞こえない人間が、何の配慮もないままに、いきなり通常の日常会話の渦の中にさらされるというのは。
 英語のものすごく苦手な私たちが、突然アメリカ人だけの集団に放りこまれたようなもので・・・・・・。
An.: 江澤だったら、ものすごく心細くなってしまいます(笑)。
Dr.:  英語ができない劣等感に苛まれているところに、ベラベラッとしゃべりかけられたりしたら?
An.:  江澤は無理です、無理です(笑)!
Dr.:  耳の不自由な方が、何の配慮もなしに毎日の日常会話に巻き込まれるのは、そんな気分なんです。
An.:  心理的に・・・・・・、江澤だったら少しめげそうになっちゃうかも。
Dr.:  そういう理由から、難聴者の方はどうしても消極的な考え方に染まりがちなんです。
An.:  でも先生。偏見と言われるようでしたら、もっと他にも事情がありそうな気がします。
Dr.:  重要なのは、そこなんです。
 耳が不自由だと、声を懸けられても気付かないですし、会話の内容もなんとなくはぐれがちで的を射ない。そんな場合も、皆無ではありません。
 そうすると、会話の相手は・・・・・。
An.:  難聴者の方を注意不足だとか、誠意がないとか、思っちゃうかも知れません。
Dr.:  それどころか、会話のとどこおる難聴者の方は、理解力や能力の不足と勘違いされたりすることもありますし・・・・・・。
 言いたくはないのですが、難聴者は知能の低い人間と誤解された時代だって。
An.:  あったかも知れませんね(タメ息)。(コラム参照)
Dr.:  偏見というのはまさにそのことでして、ヘレン・ケラーの時代には、聴覚や視覚の不自由な方は能力の低い人間として、いわば差別されていたんです。
 いえいえ差別ならともかく、現実には隔離に近い状態にあったのかも知れません。
An.:  その社会状況を、ヘレン・ケラーが!
Dr.:  そうなんです。
 盲聾唖の三重苦の人間であっても、厳しい訓練によって通常の、いや通常以上に社会的な活躍ができる。
 今思えば当然の真実を、ヘレン・ケラーは実証したんです。
An.:  それでこそ、ヘレンは三重苦を克服した偉人として、世界中で尊敬されたんですね?
Dr.:  本人の偉大な努力もですが、それを理解し支えてあげる人材が、ヘレンの傍にいたことも、忘れてはなりません。
An.:  アニー・サリバン先生のことですね。三好先生!
Dr.:  加えて、その背後にここまで話題にしてきた、あのアレキサンダー・グラハム・ベルが存在した。それが大切だと思います。
An.:  グラハム・ベルって、電話を発明したり、マイ・フェア・レディの原作になったり。
 それだけでもスゴイのに!
 三重苦の偉人であるヘレン・ケラーの教育にも、関わっていたんですね。
Dr.:  ヘレンの教育については、まだまだ多くの偉大な体験が伝えられています。次回です。

読者の声 元北海道新聞・記者 伊藤直紀様

 いつもお声を頂いている元北海道新聞・記者の伊藤直紀様から、記事を読んだ感想を頂きました。
ご自身も幼少時からの難聴で、周囲とのコミュニケーションに悩んでおられたそうです。

●無視したと言われ・・・・・・

札幌いちご会・いちご通信 札幌いちご会・いちご通信

「子どもの頃の中耳炎が原因で、右耳がほとんど聞こえず、左も高音域が聞こえづらいんです。随分と病院にも通ったんですが・・・・・・。  
たまに右後ろから声をかけられると、右耳が聞こえないので反応できず『無視された』と非難される事もありました。  なので、『難聴児の言語教育と発話法』は真剣に読んでいます。」  

貴重なご意見をありがとうございました。  伊藤様は、障がい者の自立を目指す福祉団体「札幌いちご会」を創設されています。

■札幌いちご会ホームページ

http://www.s-ambi.jp/ichigokai.html



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