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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

げんき倶楽部杜人

~シリーズ 学校健診その28~

 耳・鼻・のどに関する病気を扱う「三好耳鼻咽喉科クリニック」の三好彰院長は、耳鼻咽喉の診療に携わって30年余り。今回は2013年2月にfmいずみで放送された内容を紹介する。
[An.…江澤アナウンサー、Dr.…三好院長]

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

~シリーズ 学校健診その28~

An.: 三好先生、前回は雲南省の西双版納(シーサパンナ)地域の住宅が、奈良の正倉院を連想させること。高床式住宅の建て方が、日本の在来工法と呼ばれる建築様式の基礎になっていること。そういったお話を伺いました。この在来工法の住宅は、温度と湿度の高い亜熱帯気候の風土に根付いていた工法で、外気の通り抜けやすい家屋構造が特徴だとか。
Dr.: 江澤さんは「徒然草」という書物のことを覚えていますか?
An.: もちろん覚えています。高校の古文の授業で、清少納言の「枕草子」や鴨長明の「方丈記」と合わせて日本三大随筆の一つと呼ばれると教わりました。
Dr.: さすがは江澤さん、今日もエンジン全開ですねぇ(笑)。その徒然草の第55段に「家の作りやうは、夏をむねとすべし」という一節があるんですよ。
An.: それ、いまだに覚えています。「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり」。わぁ、授業風景まで思い出してしまいました。
Dr.: これを書いた吉田兼好、いわゆる兼好法師が住んでいたのは京都です。私は京都大学大学院の非常勤講師をしていたこともあって京都の気候は知っていますが、あそこは盆地なので夏はすごく暑いんです。
An.: 中国の「三大ストーブシティー」みたいな感じでしょうか?
Dr.: それを和風にしたような感じですね。いずれにしても夏は蒸し暑く、冬は寒いんです。そんな夏の一夜を過ごすために、京都市民は市内を流れる鴨川に納涼のための座席を作りまして。川床や納涼床などと呼ばれるんですが、そこで酒を酌み交わすんです。
An.: まぁ、すてき! 江澤も一度、夏の京都で夕涼みをしてみたいです。
Dr.: でも実際には狭くて蒸し暑い中で酒を飲むので、風流ではありますが少し窮屈な思いもしますよね。とはいえ、夏の京都を涼しく過ごすための工夫として、体験してみる価値はあると思います。

 

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開放型住宅とログキャビン

An.: 兼好法師が指摘したように、京都の住まいは夏を快適に、という目的で考えられているのでしょうか。
Dr.: 基本的に源氏物語以来の住居とその思想は共通していまして、家屋は風が通り抜けやすいようにできています。
An.: それが亜熱帯気候の住宅の特徴なんですね?
Dr.: 外気が通り抜けるので、夏は快適ですが冬はとっても…。
An.: 寒そうですねぇ。
Dr.: 伝統的な日本の暖房は、火鉢などのように1カ所を暖めるだけなので、冬の京都では寒かったみたいです。レディーの前でお話しするのは少しはばかられますが(笑)、京都での冬の過ごし方として、火鉢の上にまたがって下半身を暖めるといったことが、当時の戯画、つまり漫画で残されているんですよ(笑)。
An.: 漫画ですか!
Dr.: それで、開放型住宅と呼ばれるその住宅の作り方が在来工法住宅、つまり床を作り柱を立て、屋根を載せて、それからハンギングウォール、つまり源氏物語時代の御簾(みす)、まぁカーテンみたいな感じの壁を作るんです。
An.: 在来工法住宅の壁は、亜熱帯気候の住宅のカーテンの名残なんですね?
Dr.: 日本の都は基本的に京都が中心で、洗練されたライフスタイルは京都風が1番と信じられていました。ですから、地方でも住環境は京都に似たものとなりがちです。
An.: 在来工法の開放型住宅が日本中にあるのは、そのためなんですね?
Dr.: ですが、この夏向きのしゃれた住まいは、例えば仙台のような冬がつらい地域には向いていません。暖房も火鉢だけでは厳しいものがあります。
An.: 仙台ですらそうなんですから、もっと北では、なおさらですよね?
Dr.: それでも戦前のサハリン、つまり樺太では、日本人がこうした開放型住宅に住み、冷たい外気が入り込む環境で、たき火に当たりながら震えて冬を過ごしたそうです。
An.: それは寒そう!
Dr.: ですから現地のロシア人たちからは、日本人がひと冬の間に使うまきの量で1軒の家が建ってしまうと、とても笑われたんですって。
An.: ということはロシア人の家屋の構造は、日本人の開放型住宅とはだいぶ違うんですね?
Dr.: さすが、1を聞いて10を知る江澤さん。ロシアや樺太のロシア人住宅は、ログキャビンと称する丸太木組みの頑丈な家屋です。冷たい外気をはじく構造になっていて、冬でも寒くないようにできています。
An.: ログキャビンの家なんですね。暖かそう。江澤もその言葉の響きに憧れちゃいますぅ。
Dr.: 次回は、南方の亜熱帯気候に適した開放型住宅と、ロシアのような北方に最適なログキャビンの家についてお話しします。
An.: ありがとうございました。
西双版納(シーサパンナ)の高床式住宅 西双版納(シーサパンナ)の高床式住宅

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