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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

fmいずみ ラジオ3443通信 アレルギー調査7

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

fmいずみ ラジオ3443通信 アレルギー調査(7)目次

170 紅茶スパイ

An.:  前回は三好先生、先生の研究までは日本特有の「国民病」と誤解されてきた、スギ花粉症。それが中国にも存在することを、先生が世界で初めて証明した。
 その後から中国本土でも、スギ花粉症に悩まされる住民が増加して、今では結構問題視されるに至った。
 そう、伺いました。
Dr.:  おまけに、中国で最初にスギの木を学問的に記載したのが、このOAでも何回か話題にした英国人のプラント・ハンターであった、ロバート・フォーチュンという人で。
 この人は、当時の「清」がお茶の最大の輸出国で、清潔な飲み物がジンやビールしか手に入らなかった英国で、紅茶というノン・アルコールの手軽な飲み物がとっても貴重だったその時代に・・・・・・。
An.: 産業革命のときの英国人は、ジンやビールが主な飲み物だったのでは、精密機械の操作ができず、かと言って汚染されたテムズ川の水を飲むと、コレラなどの伝染病の流行が恐ろしくって・・・・・・。
 日常的にノドを潤すための、適切な飲料が全国的に不足していたんでしたよね?
Dr.:  その点紅茶は、アルコールは入っていませんし、紅茶に使用するテムズ川のやや不潔な水も、煮沸消毒をすることによって快適に水分を摂取することができました。
An.:  そう言えば、緑茶には沸騰させたお湯は不向きですけれども、紅茶にはたぎるくらいの熱いお湯が必要です。
 今から考えると、あれは水源であるテムズ川の煮沸消毒に、最適だったんですねェ(笑)!
Dr.:  そんな経緯から、英国では紅茶のニーズが非常に高まったんですけれども、ね。
An.:  その貴重品であるお茶は、「清」の国の最大の輸出品だったんでしたよね?
Dr.:  清の国はこの紅茶の輸出を、最大の輸出品として大事にしましたので、その製法や生産現場は英国人など他の国の人には、秘密にしていたんです。絶対に見せなかったみたいですし。
 もちろん、輸出するのは完成品としてのお茶の葉だけで、茶の木そのものの国外持ち出しは厳禁されていました。
An.: それじゃあ、当時の中国製の紅茶は、とっても高価だったんでしょうね、先生?
Dr.: 英国は、ご説明したような理由から、どうしても紅茶が必要だったんですけれども、中国から紅茶を購入するための財源に困ってしまったんです。
  その時代、清の国は大変に豊かで、国内で生産する物産品だけで、経済が成り立っていたんです。
An.: ってことは、先生?
Dr.:  英国など、他の国々とわざわざ取引をする必要性は、まったくなかったんです。
An.: でも英国は、紅茶の葉がどうしても、欲しいんですよねぇ(笑)?
Dr.:  歴史的にはその英国の欲望が、あの「アヘン戦争」につながるんですけれども・・・・・・。
An.: このOAは、「英国紅茶の旅」の流れでお話が進んでいます(笑)。
Dr.:  英国は、多くのプラント・ハンターを中国に派遣し、なんとしてでもお茶の木を入手しようとしたんです。
An.: そしてそれら多くのハンターたちの中で、たった一人、ロバート・フォーチュンが茶の木を手に入れるわけなんですね(笑)?
Dr.:  さすがは1を聞いて10を知る江澤さん。その通りなんです(笑)。
An.: 江澤が耳にしたところでは、その頃の清は外国人の入国が禁止されていたはず、なんですけれど。
 おまけに今の先生のお話のように、お茶の木の国外持ち出しは厳禁だったはずですから・・・・・・。
 先生、いったいどうやってフォーチュンは、茶の木を入手し英国まで送ることができたんでしょうか?
Dr.:  まあ、お茶の木さえ入手できれば、英国本土は無理としても、英国の植民地だったアジアの他の地域でそれを栽培して、製品化された紅茶を英国へ輸送することは、むずかしくありませんから、ね(笑)。
An.:  でもそれをいったい、どうやって?
Dr.:  江澤さん。すごく重要なヒントを1つだけ・・・・・・。
 江澤さんの大好きな、ジェームズ・ボンドって、どこの国の人間でしたっけ(笑)?
An.:  英国です、先生。
 ってことは、まさか・・・・・・(笑)?
Dr.:  江澤さん、その通りです。
 ロバート・フォーチュンは、中国の、それもその当時の清の商人に変装して、中国内を旅行するんです。
 江澤さん。ここに、1冊の本があります。
An.:  ええっと、先生。この本は、サラ・ローズというアメリカのジャーナリストの書いた本ですね。
 「紅茶スパイ」というタイトルで、「英国人プラントハンター、中国をゆく」との副題付きです。
 もしかすると、先生。
 ロバート・フォーチュンは、植物学者の本業の傍ら、ジェームズ・ボンドみたいに、スパイ活動をバイトでやっていた(笑)わけじゃあ、ありませんよね?
Dr.:  産業革命による住宅地の変貌、中でも緑地帯があれ放題となってしまった経緯については、以前話題にしました。
 でも、今現在の英国は「ガーデニング」という言葉に象徴されるように、見渡すかぎり緑地に覆われています。
 荒地だった産業革命直後の英国に、ガーデニング・ブームをもたらし、現在の緑の英国を作りあげたのが、彼らプラント・ハンターたちだったのです。
An.:  プラント・ハンターたちは世界中から、珍しい植物の数々を集め、英国に定着させたんですね?
Dr.:  そんな植物収集の一環として、現地では持ち出し禁止のきわめて価値の高い植物も、英国に集められたんです。
An.:  女王陛下のために、植物スパイを任務として行なった。
Dr.:  それがロバート・フォーチュンたち、だったんです。お話はつづく、です。
紅茶スパイ 紅茶スパイ

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