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fmいずみ ラジオ3443通信 アレルギー調査7

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

fmいずみ ラジオ3443通信 アレルギー調査(8)目次

171 毛択東の大躍進運動

An.:  三好先生前回は、産業革命後の荒れ果てた英国の自然を改善しようと、英国全体にガーデニングのブームが起こったこと、そのブームを背景に世界中から観賞用の植物が集められたこと、その集める役を担った植物学者たちを「プラント・ハンター」と称したこと、などについてお話を伺いました。
 そして、当時の「清」の国から輸出厳禁だった「お茶の木」を持ち出し、英国の紅茶のいわば国産化を成功させたのが、ロバート・フォーチュンというプラント・ハンターだったこと。
 何よりこのフォーチュンは、三好先生のスギ花粉症の研究対象でもある中国のスギの木を発見し、その学名として自分の名前を付けたことで、忘れがたい存在なんですよね?
Dr.:  以前にも話題にしましたが、日本スギの学名を「クリプトメリア・ジャポニカ」と言います。それに対して、中国スギのことは「クリプトメリア・フォルトネイ」と称していて、つまり「フォーチュンのスギ」という意味なんですよ。
An.: 三好先生はたしか、そのクリプトメリア・フォルトネイでも、ジャポニカと同様スギ花粉症が発生することを、世界で初めて証明されたんでしたよ、ね!
Dr.:  そんな経緯で、ロバート・フォーチュンのお陰で私は、中国大使館でスギ花粉症の講演をすることになったような、そんな気もします(笑)。
An.:  そうそう、花粉症シーズンの到来で途中になってしまいましたけれど、大使館での講演はいかがでしたか?
 江澤はお話が聴きたくって、ウズウズしてます。
Dr.:  江澤さんは、毛択東とスギの関連について、ご存知でしょうか?
An.:  毛択東とスギ、ですか? それは、もしかすると、毛択東がひどい花粉症患者だったとか・・・・・・(笑)?
Dr.:  日本でスギ花粉症が国民病となったのは、戦後ハゲ山となった全国の山々で洪水が多発し、その対策としてスギ植樹による治水がなされたためでした。
An.: その植樹されたスギの木が、樹齢30年になって一斉に花粉を飛散させるようになった、その結果だと。
Dr.: 大使館でも話題になるほど、スギ花粉症が問題になっているのは、日本だけじゃなくって中国本国でも、似たような経緯からスギ花粉症が増加しているからです。
An.: まさか中国でも、山々の木々を切り倒し、洪水が多発して、あわててスギの植樹がなされた。まさかそんなことが(笑)、あるはずないですよねぇ?
Dr.:  1を聞いて10を知る江澤さん。私は江澤さんのことを、そう、理解していました。
 だけどそれにも増して、今朝の江澤さんはサエてますね!
 毛択東が1958年に開始した、「大躍進」運動のことは、江澤さん、有名ですよね?
An.: ユン・チアンの「ワイルド・スワン」という、ベスト・セラーにその「大躍進」のことが、記されていました。
Dr.:  ちょうどここに、その「ワイルド・スワン」を持ってきていました。
 その部分を、江澤さん。いつものように、朗読してくださいな。
An.: エヘン! では、読みます。
 〝この騒ぎは、毛択東が中国を第一級の近代国家に仕立てるという夢想にとりつかれて走りだしたことから始まった。毛は「鉄がすべてに優先する」と言って、1957年に年間535万トンだった鉄鋼生産を翌58年には1070万トンに倍増するよう指示した。毛択東は全人民を動員することにした。職場ごとにノルマが課され、人々はノルマを達成するためにふだんの仕事を放り出して何ヶ月も鉄くずさがしに奔走した。経済発展の指標が何トンの鉄を生産できるかという単純な目標に集約され、全人民がこの作業にかかりきりになった。政府の推計でも国の食料生産を支えていた1億近い農民が鉄の生産にかり出された。山林の樹木を伐採して燃料に使ったので、あちこちで茶色の山肌が露出するようになった。しかし、全人民を動員した狂騒の結果は、何の役にもたたぬ牛のクソ程度にしかならなかった。
 先生、先生。
 なんだか、スゴイことになってしまいました(笑)。
Dr.:  これが、毛択東の有名な「大躍進」運動の結果だったんですけれど。
 その結果、中国全土がハゲ山だらけ。
An.: ちょうど日本の戦後の状況と、似たような環境ができてしまったんですね。
Dr.:  そうすると江澤さん。さすがにキャスリン台風は中国には、存在しないんでしょうけれど(笑)。
An.: 中国女性の名前の台風が実在するのかどうか、それは冗談として(笑)。
Dr.: わずかな降雨でも、日本同様中国の山々も洪水を引き起こします。
 そしてそれに対する、もっとも有効な治山治水の方法は・・・・・・。
An.:  ハゲ山に木々を植樹することです。
Dr.:  中国でも、さかんに緑化運動が行われました。
 そしてなんとこの際に使用された樹木は、日本とまったく同じスギの木だったんです。
An.:  だって先生、スギはいずれ花粉症の原因になってしまうかも・・・・・・?
Dr.:  なぜそのときに、スギの木が選ばれたのか、私たちにも長い間のナゾでした。
 ところが江澤さん。このナゾは、私たちが、中国革命揺籃の地と言われる井崗山の風景をみた瞬間、すべて氷解しました。
 なぜなら江澤さん、この井崗山は全山がみごとなスギの木に彩られており、しかも当時の毛択東の住居さえ、スギ林の目の前に建てられていたんです。
An.:  と言うことは、つまり?
Dr.:  毛択東とともに青春を革命に費やした、若い中国共産党幹部、この人たちはのちに全員政府の幹部になったわけですが。
 幹部たちの柔らかい頭脳には、スギの木ですべてが覆われた緑の山が、鮮やかに刻み込まれているんです。
 この現象を、専門用語で「インプリンティング」と言うんですけど。
 その幹部たちが植林対策を実施するとしたら、何の木を植えるでしょう、江澤さん?
 この続きは、次回のお楽しみです
スギ林の中にある毛択東の住居 スギ林の中にある毛択東の住居

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