3443通信 オンライン  
みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

fmいずみ ラジオ3443通信 アレルギー調査14

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

fmいずみ ラジオ3443通信 アレルギー調査(14)目次

177 ル・ポットフー

An.:  三好先生、前回はカモガヤ花粉症に始まって、その発生には牧草地が必要なこと、江戸時代以前の日本には牧草地がなかったこと。それは仏教の影響から肉食の習慣が当時は珍しかったこと、それ故明治時代以降になって日本でも牧畜が珍しくなくなってから、カモガヤやその花粉症が広まったこと。
 そんなお話を伺いました。
Dr.:  江澤さん。そんな江戸時代でも、「四つ足」意外の動物性蛋白質、具体的には鳥肉はけっこう庶民的なレベルでのご馳走で、当時偏りがちだった庶民の食事に豊かな彩りを与えていてくれたんです。
An.: だから「鴨取り権べえさん」のような昔話の生まれる素地があった・・・・・・。
Dr.:  だけど似たような言い伝えは、日本だけじゃなくって、昔のドイツにも存在しており、少女時代の江澤さんはお母さんから、お伽話として聞かされて育った。
 江澤さんのトークの背景に、豊かな文化的素養がいつも見え隠れしているのは、江澤さんのお母さんや江澤さんの育った酒田市という街自体に、典雅な雰囲気が漂っていたからなんですね(笑)。
An.:  江澤はそんなこと・・・・・・恥ずかしながら、ちっとも知りませんでした。
Dr.:  ご自分でも気が付かないくらい、ごくさりげなく身についているというのは、やはり良いもので。お母さんに感謝しなくっちゃあ(笑)。
An.:  で、その母から聞いていたお伽話に、「鴨取り権べえさん」みたいな昔話がありまして・・・・・・。
Dr.:  たしか、「ミュンヒハウゼン男爵の冒険」でしたよね!
An.: 別名を「ほら吹き男爵の冒険」って言うらしいんですけど。
Dr.: お伽話にしては、ウルトラC級のハイ・レベルですから、ね。
 江澤さんは、それを聞かされながら・・・・・・却って目がサエてしまっちゃったんじゃあ?
An.: 三好先生はそれを見ていらしたんですか!? たしかに今思い起すと、江澤はお話の続きをねだって、なかなか寝付けなかった記憶があります(笑)。
Dr.:  前回のOAでも触れたんですけれど、江澤さんの多感な少女期を過ごした酒田市は、当時の日本でも有数の文化都市だったので。
 江澤さんは、その記憶を、頭の片隅に止めておられますでしょうかしら?
An.: そう言えば先生、頭のこっちの片隅にちょっぴりと、当時のふるーい街の記憶のかけらが、ひっかかっているような(笑)。そんな気がします。
Dr.:  先日、会話の合間に江澤さんに話を振ったら、「ル・ポットフー」という酒田市の伝説的な名レストランの名前に、閃くものがあったような素振り・・・・・・(笑)。
An.: 先生、その「ル・ポットフー」です。江澤の頭の片隅にぶら下っていたのは!
Dr.:  江澤さん。いつも私の引用する丸谷才一さんの著書「食通知ったかぶり」の中に、こう書いてあります。
 江澤さん。ご当地のことですから、江澤さんのなめらかなトークで、どうぞ! 
An.: 先生、この本のこの部分ですね。
 わぁホントに酒田のことがかいてあるぅ!! 読みますねっ。
〝なにかの会で開高健さんと一緒になったとき、この声の大きな男が普段よりももっと殷々と鳴り響く声で、「すばらしいフランス料理屋を見つけた、酒田で」と言ったのには驚いた。「酒田って山形県の酒田かい?」と思わず問い返したのは、彼ほどの食通を満足させるフランス料理屋があの町にあるはずがないと、反射的に考えたからである。わたしは酒田のちょっと南にある鶴岡の生まれなので。・・・・しかし、ものはためし、酒田の清水屋デパートの五階にある、ル・ポットフーへ出かけた。”
 すてきですね。本当にル・ポットフーへ、味見に行くんですね!
Dr.:  江澤さん。当時の酒田市の地理を覚えていますぅ?
 夜行列車で東京から一晩、昼間だったらまともに8時間は、国鉄に揺られて行くんですよ(笑)。
 そんな時代に、思い立って酒田市まで試食に出かけるんですから。
An.: それだけ、ル・ポットフーの放つ魅力が大きかったんでしょうね?
Dr.:  江澤さん。早く続きを読んでくださいな。
An.:  母親の寝物語に、江澤もよくそう言って、先をねだりました(笑)。
〝ル・ポットフーの趣向は、昭和四十一年製の秘蔵初孫といふ極上の日本酒の肴として、フランス料理をたべさせようといふのである。”
 先生、江澤はもうよだれが止まりません。
Dr.:  そこをなんとか堪えて、江澤さん(笑)。
An.:  〝うまい酒はやはりうまいのだから仕方がないし、その銘柄のなかでも一段格が上のものとなると、もう文句のつけやうがない。わたしは程よく冷えた辛口の秘蔵初孫をちびりちびりと飲みながら、まづ、そば粉のクレープでキャビアを食べた。とたちまち、出羽のひなびた穀物の味とさながらに凝脂(ぎょうし)のやうなカスピ海の魚卵とは、贅美をつくした別天地をわたしの口中に合成する。わたしはここに至ってまことに他愛もなく前言を取り消し、さすがにあの男は目が高い、かつて芭蕉は酒田に遊んで初真桑をくらひ、いま開高は裏日本随一のフランス料理屋を発見した、などと感心していた。素直なたちなのである。”
 ですって、先生(笑)。
 この江澤にも、母親のさりげない教養の背景となった、酒田市の空気が理解できたような気になりました。
Dr.:  で、このお店のことを紹介した魅力的な本がここにありまして・・・・・・。
An.:  先生、本のタイトルがすごいですね!
「世界一の映画館と日本一のフランス料理を山形県酒田市につくった男はなぜ忘れ去られたのか」って、ながーい題名ですねぇ。
Dr.:  江澤さん。「ほら吹き男爵の冒険」のタイトル名。「ミュンヒハウゼン男爵の奇想天外な水路陸路の旅と遠征、愉快な冒険」を、思い出しますよね(笑)。
An.:  江澤の故郷・酒田市には、ほら吹き男爵に負けないキャラの人間が、住み着いているんでしょうか(笑)?
 先生、このお話の続きが楽しみです。
ル・ポットフー ル・ポットフー

#

前の話 次の話