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みみ、はな、のどに関する病名、症状などの用語集

fmいずみ ラジオ3443通信 咽頭異物1

An.:…江澤アナウンサー、Dr.:…三好院長]

fmいずみ ラジオ3443通信 咽頭異物(1)目次

179 誤嚥とサバの骨

An.:  三好先生、このラジオ3443通信は、江澤の出身地である山形県酒田市の、美食と文化の発信基地であった、レストラン「ル・ポットフー」と映画館「グリーン・ハウス」のお話が進行しています。
 江澤としては、なつかしいやら、その頃はまだ子どもで、良くその価値が判らなかった文化の高さのエピソードに、もったいなかったような、なんとも言えない気分でいます。
Dr.:  江澤さん。その江澤さんの気分に水を注すようで・・・・・・ホントに申し訳ないんですけれども。最近当院を訪れた患者さんのお話に、耳を貸して頂きたいんです。
 これは美食を堪能してもらう上でも、頭に入れておいた方が、良いと思いますので。
An.: そのお話、江澤はぜひお伺いしたいと。
Dr.:  美食は当然ですが、食べ物のその含まれている栄養価をすべて人体内に摂取しようと心がけるなら。
 江澤さん、食物はよくよく噛んで体内に吸収されるよう、努力することが大切です。
An.:  江澤は小さい頃、母親からごはんは何回も何回も、しっかりと噛み締めて、それから飲み込むよう、それは厳しく躾けられました。
Dr.:  良く噛むことによって、消化も良くなりますし、唾液の分泌も良好になります。
An.:  口の中に入れた食べ物の、味わいをじっくりと引き出すことになりますし、至福を感じる時間が長くなりますし・・・・・・。
Dr.:  焦って食べると、量的に大量の食物を一度に飲み込みますから。
An.: 先生、江澤は太ってしまいます(笑)。
Dr.: 肥満予防にも、それはもちろん良い効果が得られるんですけれども(笑)。
 私が今回強調したいのは、誤嚥の可能性が高くなる、というお話なんです。
An.: そ、その、ゴエンってなんのことでしょうか?
Dr.:  ごく簡単に言うと、食べ物と一緒に余計なものまで、口に入れてしまう危険性が増えるってことです。
An.: それは? つまり先生、具体的には何のことでしょうね?
Dr.:  あんまりお腹が空いていたり、とっても料理が美味しすぎたりすると、うっかりそんなに噛まずに食べ物を飲み込むことが・・・・・・。
An.: (笑)江澤は、そういうことも、たしかにゼロではありません。
Dr.:  そうすると、例えばお魚のホネをノドに引っ掛けてしまって・・・・・・。どんなにあせっても、どうしても取れなくなっちゃうことが。
An.: (笑)センセ。ありますよねぇ!
 とくにサンマの小骨なんかは、ついつい気付かずに。
Dr.:  大根卸しとお醤油をたっぷりと掛けて、アツアツのご飯とともに、思いっきり口の中に放りこむと・・・・・・。さぁ大変!
 小骨がノドのどこかに刺さってしまって、どうしても出てこない。
An.: うがいを繰り返しても、ご飯の固まりを丸ごと飲み込んでやっても、どうしてもノドのチクチクが取れなくって・・・・・。
Dr.:  泣きたくなります(笑)。
An.:  泣いても取れるもんじゃありませんし、ね(笑)。
Dr.:  サンマのホネもそうですが、ウナギのホネとか季節性を感じさせる風物詩みたいな異物もありますし(笑)。
An.:  先生、その「異物」って、何でしたっけ?
Dr.:  スギ花粉症についての第167回目のOAでご説明しましたが、もともと正常な人体の内部には存在しない、外部からの侵入物のことです。
An.:  つまり先生、「エイリアン」みたいな(笑)。
Dr.:  「エイリアン」ではなくって、ですね。
 そうそう江澤さん。この異物のことを、ラテン語では「コルプス・アリエヌム」って言うんですよ。
An.:  先生、それはつまり?
Dr.:  「コルプス」という単語は、「物体」のことです。
 まあ、半分ギャグだと思って聴いて欲しいんですが、ムリヤリ日本語に翻訳すると、異物すなわち「コルプス・アリエヌム」は、「正常な人体内にはあり得ないもの」と訳することができるわけで(笑)。
 つまりやっぱりギャグの一種です(笑)。
An.:  ギャグで済むなら、それに越したことはありませんが、先生。
 ギャグで済まないような異物だって、うっかりすると誤嚥しちゃうことはありそうですね。
Dr.:  今回のOAでは、その注意をしようと思ったんですが。
 だって、サンマやウナギのホネならひっかけてもノドが痛いだけで、合併症の危険はそれほどありません。
 ところが先週末、当院を訪れたのはサバのホネをノドの奥に刺してしまって。
An.:  ご自分では、どうやっても出すことができない!?
Dr.:  耳鼻科医はノドの奥深く内視鏡つまりファイバー・スコープを挿入して、ホネを除去しようとするんですが・・・・・・。患者さんはノドの反射、つまりゲッとなっちゃうわけで。それが強い方の異物除去は、ご本人も耳鼻科医もとてつもない苦労をするんです。
An.:  患者さんはゲーゲー言いながら、涙を流して苦しがるんですね?
Dr.:  耳鼻科医はそのために、内視鏡の目の前にあるサバのホネにどうしても近付けないんです。本当に、目の前に見えているんですけれどもね。
An.:  その方は結局、どうなったんでしょうか?
Dr.:  反射を止める麻酔をしまして、よだれを止める注射も併用して、30分もかけてなんとかホネを取りました。3㎝もあるサバのホネでした。
An.:  美食の陰に苦労在り、ですね!
Dr.:  美食家は美味をゆっくりじっくり噛み締めてください。あせって誤嚥したりせぬよう!!
こっ、これは「アリエヌム」! こっ、これは「アリエヌム」!

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